著者
波照間 永子
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.68, pp.289_3, 2017

<p> 琉球芸能の世界で重要視される言葉に、「『かぎやで風』に始まり『かぎやで風』に終わる」がある。『かぎやで風』とは、琉球王国時代、国王や国賓の御前で上演した『御前風』五曲の一つで、今日では芸能公演や祝宴の座開きに踊られる。また、古典舞踊の教授過程においては、入門時に学ぶ演目でありながら、人間国宝級の演者がその技量を示すべく上演するものでもあり、古典の基本が凝縮されているとされる。『かぎやで風』の技法研究に関しては、振りの記録(儀保・西平、金城)や作品構成の研究(小橋川・花城)等を目的に研究がなされてきたが、「扇」の扱いに着目したものはない。</p><p> 本研究では、「扇」の操作性を指標に技法の動作を分析するとともに、その象徴性を抽出・考察することを目的とする。あわせて、本研究の分析指標を日本舞踊・韓国舞踊・中国舞踊等の東アジア地域の舞踊にも適用し比較する一助としたい。</p>
著者
波照間 永子
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会号
巻号頁・発行日
vol.53, 2002

本シンポジウムでは、民族スポーツが東アジアの国において、文化政策との関連でどのように位置づけられ、展開されてきたのか、ということについて議論する。民族スポーツは周縁的な存在と取られがちであるが、現実には近代国家によって、国家を構成する諸民族の統合のためや、自らの文化的アイデンティティを創造し認識させるために、政策的に展開されてきた一面も存在する。一方、民族スポーツの担い手が、それによってさまざまに自分たちの文化を解釈し、再創造しながら今日に至っている面もある。それらの視点から各国の民族スポーツの事例を取り上げ、文化政策を基軸に概観する。
著者
石井 浩一 波照間 永子
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
日本体育学会大会予稿集
巻号頁・発行日
vol.68, pp.50_1, 2017

<p> 1988年、日本体育学会にスポーツ人類学専門分科会が設立され、本年(2017年度)に30周年を迎える。その間、1998年には日本スポーツ人類学会が、そして2009年にはアジアスポーツ人類学会が結成され、国際的な協働体制を構築しつつ発展してきた。</p><p> 30周年という節目の年にあたり、今一度「スポーツ人類学研究」の意義と課題を再考するとともに、グローバル化が進展する現代社会において、研究成果を「教育」に還元する方法を討議し、専門領域の今後の方向性を模索する一助としたい。</p><p> 本シンポジウムでは、全体を二部構成とし、前半にて専門分科会立ち上げを担われた寒川恒夫先生にご登壇いただき、スポーツ人類学研究の成果を「文化理解」教育へとつなげる視点と手法についてご講演いただく。後半では、大学の授業等でこの課題に継続して取り組まれている田里千代(民族スポーツ)、ソリドーワル マーヤ(武道)、弓削田綾乃(舞踊)の各氏より話題提起を受け全体討論を行う。</p>
著者
波照間 永子 花城 洋子 大城 ナミ
出版者
明治大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究は、琉球舞踊の技法「動作単元」のデータベース化を企図したものである。動作名称・動作特性・伝承方法等の総合的なデータを記録しているが、今回は、伝承方法に焦点をあて、5名の県指定無形文化財保持者およびそれに準じる者に聞きとり調査を実施した。その結果、1960年代初頭の流派発足以前は、複数の師から十八番芸を学ぶ「複数師匠型」の伝承スタイルであり、動作単元の定義や伝承方法に多様性が認められることが明らかになった。これらの多様性をも視野に入れたデータ内容の検討が必要である。