著者
武居 明美 伊藤 民代 狩野 太郎 小野関 仁子 前田 三枝子 堤 荘一 浅尾 高行 桑野 博行 神田 清子
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.133-139, 2005 (Released:2006-07-07)
参考文献数
31
被引用文献数
5 1 6

【背景と目的】 外来化学療法を施行しているがん患者の不安を把握する目的で調査を行なった. 【対象と方法】 A病院外来点滴センターに通院中で同意の得られた男性33名女性48名, 平均年齢58.6±10.0歳の81名を対象とし, STAI質問紙を用いて調査した. 【結果】 不安得点は男性より女性が高く, 非乳がん患者より乳がん患者が, 60歳以上より60歳未満が有意に高かった. また診断からの年数では, 1年未満より1年以上が, PSが良い者より悪い者が高かった. 【結論】 外来で化学療法を受けているがん患者は正常成人と比較し, 状態不安得点が高かった. 不安得点が高くなる要因として, 5つの項目が明らかになった. 今後は不安内容を特定すること, 不安得点が高くなる要因がある患者への優先的な援助, 実践的援助法をシステム化してスムーズに対応していくことが課題である.
著者
小湊 慶彦 中島 たみ子 佐野 利恵 浅尾 高行
出版者
群馬大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

ABO式血液型は個人識別に重要な指標として法医学、犯罪鑑識において利用されている。しかし、ABO式血液型遺伝子の転写調節機構は不明である。そこで我々はENCODEプロジェクトから明らかにされた赤白血病細胞K562におけるDNaseI高感受性領域に基づき、レポータープラスミドを作製した。K562細胞を用いたプロモーターアッセイから、ABO遺伝子第1イントロン内に赤血球特異的エンハンサーを同定し、その領域にGATA転写因子が結合することを証明した。また、B_m型およびAB_m型112例中111例に第1イントロンのエンハンサー領域を含む約5.8kbの欠失を見出したが、通常の血液型1005人において欠失はなかった。また、欠失がないB_m型一個人ではエンハンサー内のGATA結合サイトに一塩基置換があり、その一塩基置換によりエンハンサー領域へのGATA転写因子の結合を阻害され、エンハンサー活性が完全に消失していた。以上から、エンハンサーの欠失や塩基置換に基づくエンハンサーの機能喪失から転写活性が低下し、血球系細胞におけるB抗原量の産生低下からB_m型が生じたと考えられた。従って、上記の赤血球特異的エンハンサーが細胞内において機能することが推測された。一方、B_m型は血液型亜型の半数を占めるものであり、その遺伝子診断が可能となったことから、本研究はABO式血液型の遺伝子診断の実現に貢献したと考えている。