著者
興野悠太郎 米澤拓郎 野崎大幹 小川正幹 伊藤友隆 中澤仁 高汐一紀 徳田英幸
雑誌
研究報告モバイルコンピューティングとユビキタス通信(MBL)
巻号頁・発行日
vol.2014-MBL-70, no.26, pp.1-7, 2014-03-07

本論文では,着脱可能な電線によって充電,給電しながら上空をセンシングするプラットフォームである EverCopter を提案する.バッテリー駆動による UAV(Unmanned Aerial Vehicle) は,地上の障害物を気にする事無く,広大な範囲をセンシングできる事が最大のメリットであるが,バッテリー容量による制限を受けてしまう.EverCopter は以下の 2 つの特徴により,長時間かつ広範囲なセンシングを可能とする.まず,複数に接続された EverCopter の一方は,地上の電源装置に接続され,給電されている.このことで,それぞれの EverCopter はバッテリー無しで飛行する事ができるため,半永久的な飛行が可能となる.また,末端の EverCopter はバッテリーを備えており,任意のタイミングで着脱が可能である.よって,UAV 本来の自由なセンシングも可能である.
著者
伊藤 直子 山崎 貴子 岩森 大 堀田 康雄 村山 篤子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 創立40周年日本調理科学会平成19年度大会
巻号頁・発行日
pp.106, 2007 (Released:2007-08-30)

【目的】 食肉を軟化させるためには、熱帯植物であるパイナップルやパパイヤ、キウイフルーツなどを利用することが知られている。これらの植物の持つプロテアーゼは比較的熱安定性が高く、調理中に食肉のタンパク質に作用するため、食肉が軟らかくなる。しかし、これらの食材は独特の香りがあり、メニューが限定される。一方、プロテアーゼ活性が高いものの中にはキノコがある。キノコは食肉とも相性の良い食材であり、食物繊維などが豊富で旨味成分も多く含まれ、健康志向の高い食品である。そこで、まず我々は、様々なキノコを用いてプロテアーゼの検索を行い、さらに高いプロテアーゼ活性を有するキノコのプロテアーゼの特徴について基礎的な検討を行った。 【方法】 キノコは市販のエノキタケ、ヒラタケ、エリンギ、シイタケ、ナメコ、ブナシメジ、マイタケを用いた。キノコの重量の2倍量の水を加え、ホモジェネート後、ろ過して得られた抽出液を試料とした。この抽出液のカゼイン分解活性及び牛肉抽出液分解活性を調べた。これらの中より分解活性の高かったものを選び、最適温度、最適pH、熱安定性などを検討した。さらにプロテアーゼの性質を調べるため、部分精製を試みた。 【結果および考察】 35℃でプロテアーゼ活性を測定すると、最も活性が高かったのは、ヒラタケであった。しかしながら、50-60℃ではマイタケのほうが活性が高くなった。さらに、熱安定性をみると、最も安定であったものはマイタケであり、ヒラタケのプロテアーゼ活性が70℃1時間の保温で失活するのに対し、マイタケは70℃8時間でも活性が残存していた。また、最適pHは6-7であった。このことより、マイタケは肉軟化のために有効な食材であると推察された。
著者
伊藤 謙一 川嶋 和晴 大庭 芳和 播谷 亮 木村 享史 板倉 智敏
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.50, no.9, pp.523-526, 1997-09-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
13
被引用文献数
1 2

岡県の一観光牧場で, 9日間に成兎60羽中53羽 (88.3%) が沈うつ症状を示して発症後数時間で死亡し, 死亡3例について病理学的に検索したところ, 兎出血病 (Rabbit hemorrhagic disease: RHD) に特微的な病変が認められた. すなわち, 組織学的に壊死性肝炎, 肺・腎臓における播種性血管内凝固が認められ, 抗RHDウィルスIgGによる免疫染色で肝細胞に陽性反応が認められた. また, 電子顕微鏡学的には, 壊死肝細胞細胞質にカリシウイルス様粒子が観察された. 死亡例の肝臓乳剤を接種された2羽の兎で本病の再現がなされ, 肝臓からカリシウイルス粒子が精製された. 今回の例は1994年 (北海道) に続いてわが国における第2件目であった.
著者
伊藤 正直
出版者
国立研究開発法人 科学技術振興機構
雑誌
情報管理 (ISSN:00217298)
巻号頁・発行日
vol.54, no.11, pp.707-714, 2012 (Released:2012-02-01)
参考文献数
2

東京大学経済学部において,企業・団体・個人資料等の収集・保存・管理・公開の任にあたっている経済学部資料室について,現在に至るまでの推移,現時点での役割と機能について紹介する。また,資料室の最大のコレクションである山一證券資料に関して,その受入からその後の公開,出版に至るおよそ14年間の軌跡と,その過程で生起したさまざまな課題について明らかにし,山一證券資料の概要とその学問的・社会的意義についても論じる。
著者
矢澤 浩治 川村 正隆 伊藤 拓也 松山 聡子 松井 太 松本 富美 島田 憲次
出版者
日本泌尿器内視鏡学会
雑誌
Japanese Journal of Endourology (ISSN:21861889)
巻号頁・発行日
vol.28, no.2, pp.285-289, 2015 (Released:2015-10-31)
参考文献数
8

【目的】われわれの施設ではこれまでに男子小子宮/男性膣に対して様々な方法で手術を行ってきた.最近では腹腔鏡下摘除術を行うようになってきており,その症例につき臨床的検討を加えた. 【対象・方法】1992年より2014年10月までに大阪府立母子保健総合医療センターで男子小子宮/男性膣に対して腹腔鏡下摘除術を行った5例を対象とした.手術時間,出血量,術後の合併症について検討を行った. 【結果】手術時間は,159±19.4分,出血量は,6.6±3.1mlであった.術後,Clavien-Dindo分類でGradeⅠの合併症も認めなかった. 【結論】男子小子宮/男性膣に対する腹腔鏡下摘除術は,開腹手術よりも良好な視野で手術が可能であり非常に有用な手術方法と思われる.
著者
南 由優 塩崎 由梨 加藤 千晶 伊藤 真貴 竹内 紀子 小柳 桃朱 荻野 敏
出版者
Japan Rhinologic Society
雑誌
日本鼻科学会会誌 (ISSN:09109153)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.481-489, 2010 (Released:2010-12-23)
参考文献数
29
被引用文献数
5 5

Japanese cedar pollinosis (JCP), an unfortunately common chronic breathing problem, interferes with cognitive function, impairing work productivity and inducing economic loss. We evaluated JCP impact on work productivity, QOL, and symptoms.Our study, conducted during Japan's peak pollen season, used questionnaires on work productivity and activity impairment allergy-specific (WPAI-AS) and Japanese rhino conjunctivitis QOL (JRQLQ).The pollen count in 2009-4067.5/cm2 was 3 times that in 2008-1468.4/cm2. Subjects numbered 227 (202 employees and 25 students) in 2008 and 308 (277 employees and 31 students) in 2009. Mean workplace absence was 0.9% in 2008 and 1.2% in 2009 and mean work efficiency loss 33% in 2008 and 42% in 2009. Mean classroom absence was 0% in 2008 and 1.5% in 2009 and mean study efficiency loss 33% in 2008 and 48% in 2009, showing a positive correlation between work productivity score, QOL, and symptoms. Work productivity decreased more in 2009 with increased pollen count.With the large economic loss due to pollinosis, both symptom severity and QOL must be improved to increase work productivity.
著者
齋藤 雅史 伊藤 毅志
雑誌
ゲームプログラミングワークショップ2022論文集
巻号頁・発行日
vol.2022, pp.159-166, 2022-11-04

現在,将棋AI はプロ棋士をはるかに凌駕するレベルにある.それに伴って,近年ではプロ棋士が将棋AI を用いた将棋研究を行うことが普通になってきた.こうした背景から,将棋AI が近年のプロ棋士の棋譜に大きな影響を与えていると言われているが,実際にどのような影響が生じているのかについて,定量的分析を行った研究はまだ少ない.そこで,本研究では将棋AI を用いて近年のプロ棋士の棋譜に現れる変化を定量的に分析した.その結果,強い将棋AI が普及し始めた2017 年前後において,プロ棋士の棋譜は将棋AI との一致率が有意に高くなることが示された.また,平均損失を調べたところ,序盤(40 手目まで)では平均損失の上昇が見られたが,中盤以降(41 手目以降)ではA 級棋士以外上昇が認められなかった。
著者
伊藤 秀史
出版者
経済学史学会
雑誌
経済学史研究 (ISSN:18803164)
巻号頁・発行日
vol.49, no.2, pp.52-62, 2007-12
被引用文献数
2

The purpose of this article is to offer an overview of contract theory, a highly successful and active research area in microeconomics, with particular emphasis on its history and influence on modern economics. According to Bolton and Dewatripont (2005), currently a standard textbook in this field, the theory of incentives, information, and economic institutions is generally referred to in short as contract theory. Contract theory is thus a theory of imperfect markets, mainly because of asymmetric information such as moral hazard and adverse selection. Contract theory is also a theory of economic institutions and as such applies far beyond markets. The basic model of moral hazard and that of adverse selection both use agency (or principal-agent) relationships as the main analytical framework, in response to various attempts to lay open the black-box nature of the firm in the standard neoclassical model. Furthermore, theories of boundaries of the firm, originating out of Coase's classical work, are today analyzed in the framework of incomplete contracts that leads to the third basic model of contract theory, along with those of moral hazard and adverse selection. Although these basic models are games with specific extensive forms, they are formulated as optimization problems subject to incentive compatibility and participation conditions, and are solved without explicit reference to equilibrium concepts. Contract theory is thus related to both price theory and game theory, but it has developed its own analytical frameworks and tools to solve problems under conditions of asymmetric information or incomplete contracts. Contract theory is also a theory of incentive design. Incentive design is not important under perfect competition but is crucial when there is asymmetric information or contractual incompleteness. Myerson claims that today, "economists can define their field more broadly, as being about the analysis of incentives in all social institutions." (Myerson 1999) I argue that it is contract theory that enables us to define today's field more broadly.
著者
伊藤 大幸 浜田 恵 村山 恭朗 髙柳 伸哉 野村 和代 明翫 光宜 辻井 正次
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.451-465, 2017 (Released:2018-02-21)
参考文献数
37
被引用文献数
5 9

クラスサイズ(学級の人数)が学業成績および情緒的・行動的問題に及ぼす影響について,要因の交絡とデータの階層性という2つの方法論的問題に対処した上で検証した。第1に,学年ごとの人数によってのみクラスサイズが決定されている学校を調査対象とする自然実験デザインにより,学校の裁量に起因する要因の交絡や逆方向の影響の発生を防いだ。第2に,マルチレベルモデルの一種である交差分類(cross-classified)モデルを用いて,データの特殊な階層性を適切にモデル化した。第3に,学校内中心化によって学校間変動を除外することで,クラスサイズの純粋な学校内効果を検証するとともに,学校規模との交絡を回避した。9回の縦断調査で得られた小学4年生から中学3年生のデータ(11,702名,のべ45,694名,1,308クラス)に基づく分析の結果,クラスサイズの拡大は,(a)学業成績を低下させること,(b)教師からのサポートを減少させること,(c)友人からのサポートや向社会的行動の減少をもたらすこと,(d)抑うつを高めることが示された。こうした影響の広さから,クラスサイズは学級運営上,重大な意味を持つ変数であることが示された。
著者
佐藤 裕紀 伊藤 毅志
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告. GI, [ゲーム情報学] (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.37-43, 2008-06-27
参考文献数
6
被引用文献数
3

カードゲーム「大貧民」では、ローカルルールに応じて、プレースタイルのバリエーションが増える。本研究では、電気通信大学で開催されているUECda2007の基本的なローカルルールをもとに、考えうるプレースタイルを想定したプログラムを作成し、それぞれのプレースタイル間の相性を詳細に調べた。その結果、階段処理を行い、単体とペアを最弱縛りで縛るのが最も強いアルゴリズムであることが明らかになった。
著者
伊藤 翔 唐沢 康暉 星野 太佑 藤井 雅史 衛藤 樹 鶴 純也 柏戸 千絵子 黒田 真也
出版者
一般社団法人日本体力医学会
雑誌
体力科学 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.223-227, 2019-06-01 (Released:2019-05-18)
参考文献数
20

We clarify the effect of combination of low-carbohydrate diet and resistance exercise training on physical characteristics and plasma concentrations of metabolites and hormones in humans. Intervention of low-carbohydrate diet and resistance exercise training were performed on 7 healthy men and 3 women (age 39.6 ± 7.0 year; BMI 25.1 ± 3.6 kg/m2) for 8 - 12 weeks. Physical characteristics and 106 test items including and blood concentrations of metabolites and hormones were measured before and after the intervention. The effects of intervention were analyzed by a paired t-test, in which multiple testing was corrected by the method of Storey (significant variation q <0.1). In both men and women, carbohydrate and energy intake per day were low, and protein intake per day was almost the same as the recommended dietary allowance. Because carbohydrate intake were limited (174 kcal), resulting in reduction of total energy (1186 kcal). After the intervention, body weight, BMI (Body Mass Index), fat mass, body fat, muscle mass and body water content significantly decreased, while muscle mass per body mass significantly increased. Glycine, 3-methyl histidine, inorganic phosphorous, urea nitrogen, urea nitrogen per creatinine, were significantly increased, while HbA1c, white blood cell count, β-aminoisobutyric acid, adrenalin, free T4, blood ammonia, γGTP, cholinesterase, and leptin were decreased.
著者
砂田 安秀 甲田 宗良 伊藤 義徳 杉浦 義典
出版者
日本パーソナリティ心理学会
雑誌
パーソナリティ研究 (ISSN:13488406)
巻号頁・発行日
vol.26, no.3, pp.253-262, 2018-03-01 (Released:2018-03-06)
参考文献数
25

本研究では,約半数のADHDの成人に併発する症状である成人のSCT症状を測定する尺度を開発し,妥当性を検討した。この新たな尺度の狙いは,既存の尺度の項目が抑うつと類似しているために抑うつとの弁別性が乏しい問題を克服することであった。文献のレビューによってSCT項目が選定され,専門家によって内容的妥当性の検討が行われた。これらの項目は抑うつ気分でないときの状況について回答されるものであった。大学生471名が質問紙に回答し,因子分析によって項目の選定が行われた。ジョイント因子分析によって,本SCT尺度は抑うつからの十分な弁別性を有していることが示された。最終的なSCT尺度(9項目)は,収束的妥当性,弁別的妥当性,内的一貫性の高さが示された。
著者
伊藤 美奈子
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.65, no.1, pp.26-36, 2017-03-30 (Released:2017-04-21)
参考文献数
21
被引用文献数
11 8

昨今, 深刻化・複雑化するいじめについて, 小学生(3,720人), 中学生(3,302人), 高校生(2,146人)に調査をおこなった。いじめの被害・加害経験を尋ねた結果より, いじめの加害役割と被害役割が固定したものではないことが明らかになった。また, いじめの被害者は自尊感情が低く情緒不安定な特徴を有するが, それに加害経験が加わるとより一層, 自尊感情(とくに人間関係における自己肯定感)は低くなることが示唆された。また, クラスメートをからかうことを「悪くない」「おもしろい」と認知するものの割合は, 年齢とともに多くなること, その傾向は, とくにいじめ加害経験を有するものに多いこともわかった。いじめによる不登校や希死念慮は, ネット上のいじめ・集団無視・金品たかりといういじめでとくに強く経験される。またこれらの辛さは, 加害経験がなくいじめ被害のみのものに強く, 仕返し願望は, いじめ加害経験者により強い。いじめを見たときの反応(注意する・誰かに相談する・傍観する)も, 発達段階による違いが見られた。さらに, そうしたいじめに対する反応の背景にも, いじめ加害経験や自尊感情の低さが関与していることがうかがえた。
著者
伊藤(高山) 睦代
出版者
日本神経感染症学会
雑誌
NEUROINFECTION (ISSN:13482718)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.124, 2022 (Released:2022-05-12)
参考文献数
20

【要旨】2020 年5 月に日本では 14 年ぶりとなる狂犬病の輸入症例が発生した。患者はフィリピンで犬に咬まれてから8 ヵ月後に発症し、治療の甲斐なく約1 ヵ月後に亡くなった。狂犬病は狂犬病ウイルスにより引き起こされる致死的な神経感染症であり、世界では年間推定 59,000 人が亡くなっている。日本は 1957 年の清浄化後国内での発生はないが、これまでも 1970 年と 2006 年に計3 件の輸入症例が報告されている。狂犬病は一度発症すると有効な治療法はないが、長い潜伏期を利用して咬傷後すぐにワクチン接種を行うことにより、ほぼ100%発症を予防できる。渡航者への啓蒙活動と医療関係者への注意喚起が重要である。
著者
伊藤 暢章 正村 哲也
出版者
日本生命倫理学会
雑誌
生命倫理 (ISSN:13434063)
巻号頁・発行日
vol.30, no.1, pp.30-39, 2020-09-26 (Released:2021-08-01)
参考文献数
30

本稿は,法律家の立場から輸血拒否患者に対する診療拒否の問題点を提起するものである。無断輸血訴訟最高裁判決( 2000年) 以降,患者の意思尊重とは逆行するケースがあることが懸念される。いわゆる相対的無輸血の方針の名の下に,輸血同意書への署名がなければ,輸血拒否患者の診療自体を一律に避ける病院がある。こうした対応は,患者の自己決定権を侵害する上,医師法の根拠たる憲法25条の生存権保障の趣旨に反し,応招義務違反となる可能性が高い。令和元年12月25日付で発出された厚生労働省通知の指針からすれば,診療時間内に病状の深刻な輸血拒否患者から診療を求められた場合に診療拒否が正当化されるのは,事実上診療が不可能といえる場合に限られる。医師は診療を拒否する代わりにどのような対応をすべきか,併せて提言する。
著者
黒岩 将 安本 慶一 村田 佳洋 伊藤 実
雑誌
情報処理学会論文誌数理モデル化と応用(TOM) (ISSN:18827780)
巻号頁・発行日
vol.6, no.1, pp.47-56, 2013-03-12

合コン(お見合いパーティ)では,できるだけ多くのカップルを成立させたいという要求が発生する.本論文では,合コン結果から,カップルが成立しやすい男女の属性情報の組(好相性と呼ぶ)を,進化計算を用いて求めることで,理想的な合コンメンバ(合コン参加者名簿)を決定するシステムを提案する.提案システムでは,男女の属性情報の組を進化計算の解集団(初期個体群)としてシステムに持たせ,合コンでのカップル成否を解の評価値(適応度)としてフィードバックしながら,好相性を表現する準最適解集団の獲得を目指す.提案システムの実現には,複数の好相性の同時探索,様々な参加者による多数の合コンの実施が必要である.これらの課題を解決するため,進化計算の新しい選択法,過去の合コン結果の新たな解評価への再利用法を考案した.提案システムを評価するため,カップルになった男女の属性情報を解としてそのまま利用する比較手法を用意し,計算機シミュレーションにより比較を行った.結果,提案手法が,比較手法に比べて,半分の合コン実施回数で,約2倍のカップル成立数を達成できることを確認した.