著者
浅野 行蔵 富永 一哉 吉川 修司 田村 吉史 柿本 雅史 北村 秀文 森本 良久 津村 弥
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.94, no.4, pp.338-345, 1999-04-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
10

協会701号および901号の乾燥酵母を製造し, これらの醸造特性を小仕込み試験および実製造スケールの醸造試験で調べた。乾燥酵母を約40℃ の湯に投入して水戻し, 酒母なしの酵母仕込みを総米約3tonで行った。発酵は, 前急にもならず, 順調に進行した。アルコール濃度が高くなったモロミの後半においても, 発酵力は衰えず, ボーメの切れの良いモロミ経過となった。得られた原酒は, それぞれの協会酵母の特徴を示す, すがすがしく香りの豊かな酒となった。多数の実製造試験を行った結果, モロミ経過の再現性は高かった。現場からの評判も良好で, 乾燥酵母が実用に適することを示した。
著者
菊地 政則 中島 幸一 浅野 行蔵 高尾 彰一
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.2, pp.176-180, 1996-02-15 (Released:2009-05-26)
参考文献数
11
被引用文献数
4 4

北海道の伝統的漬物,ーシン漬の発酵品質に及ぼす食塩濃度および発酵温度の影響について検討し,以下のような結果を得た.発酵の初期段階では,野菜由来のグラム陰性細菌が多かったが,乳酸菌の増殖に伴なう乳酸の生成によって,発酵が進行するに連れてグラム陰性菌は減少した.野菜由来の乳酸菌は乳酸球菌が主流で,106/gであるのに対し,乳酸桿菌LactobaciLLiは103/g以下であった.食塩3.5%添加では,2.0%に比べ乳酸菌の増殖は緩慢で,そのたあ,グラム陰性細菌の増殖が若干認められた.漬物の発酵は5℃より10℃の方が速く進んだ.これは乳酸菌の増殖が,5℃より10℃で速やかに行なわれたためである.しかしながら,10℃発酵では,後半にPichia属の増殖が認められ,品質が不安定となった.したがって,ニシン漬の発酵温度は比較的低温の5℃のものが長期間の品質維持には有効と思われる.