著者
岡野 孝雄 大和田 進 清水 公裕 須納田 豊 川手 進 浜田 邦弘 岩波 弘太郎 菅野 雅之 佐藤 啓宏 高木 均 小山 佳成 青木 純 森下 靖雄
出版者
北関東医学会
雑誌
The KITAKANTO medical journal (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.113-118, 2004-05-01

【背景と目的】肝細胞癌に対する経皮的なラジオ波焼灼術(以下RFA)は,局所療法として有効な治療法の一つである.しかし,横隔膜直下の肝細胞癌は,経皮的に超音波での描出や経皮的な穿刺が困難な場合がある.そこで我々は,胸腔鏡下に超音波プローブを用いてRFAを行い,その有効院と安全性を検討した.【対象と方法】2001年3月から2003年12月までに5症例,7回の胸腔鏡下ラジオ波焼灼術(以下TRFA)を行った.方法として,分離肺換気下に,胸壁の2ヵ所にトロカールを挿入し,それぞれ胸腔鏡と超音波プローブを挿入し,経横隔膜的に腫瘍を描出する.超音波プローブにほぼ垂直になるようにPTCD外套針を経皮的に挿入し,これをガイドとして,RF針を経横隔膜的に腫瘍内に穿刺し焼灼する.【結果】全例がHCV(+)の肝硬変であった.Child-Pughスコアは5〜7点であった.平均腫瘍径は2.4(2.0〜3.0)cm,セッション数は症例1の初回TRFA時に6回施行した他は,各3回であった.平均手術時間は180(90〜280)分,出血量は18(0〜50)mlで,平均術後在院日数は10.4(4〜22)日であった.合併症として,ポート部の熱傷を1例に認めた. RFA術後のダイナミックCTでは,全例で低吸収域となり,治療は有効であると判定した.5症例の平均観察期間は21(7〜33)ケ月であった.1例で術後の局所再発が疑われ,同部に2回同様の手技で治療した.1例に,異所性の再発を認め,動脈塞栓療法(以下TAE)を行った.脳梗塞で24ヶ月目に死亡した1例の他は,全例が無病生存中である.【結語】TRFAは,2つのportで行うことが出来,低侵襲で,繰り返し安全に施行可能であった.経皮的なRFAが困難な症例に対して,新しい治療法になりえる.
著者
中村 光伸 井原 則之 荻野 隆史 浜田 邦弘 飯野 佑一
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.113-117, 2006 (Released:2006-09-27)
参考文献数
11

【背 景】 近年, 自殺企図患者が増加している. 群馬大学医学部附属病院救急外来における自殺企図症例について分析した. 【対象・方法】 平成16年1月から12月に当院救急部に搬送, 受診された自殺企図患者の診療録を調査した. 【結 果】 当該期間に受診した全救急患者数は4068例であり, そのうち自殺企図症例は47例で, 複数回受診した患者は4名であった. 年齢別では男女共に20代が最も多く, ついで男性は50代, 女性は30代であった. 自殺企図に用いられた手段として薬物・毒物が27例, 刃物を用いての自傷15例, 縊頸が4例, 高所からの投身未遂が1例であった. 外来診察にて帰宅可能であった症例は23例であり, 入院が必要な症例は20例, 救急外来での死亡は4例であった. 【結 語】 自殺企図患者の診察には精神科医との連携が重要である. また, 中高年の自殺企図も多く, 社会的な問題も懸念される.