著者
中野 哲宏 清水 公裕 大谷 嘉己 懸川 誠一 森下 靖雄 竹吉 泉
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.21, no.6, pp.859-864, 2007-09-15 (Released:2008-11-19)
参考文献数
17
被引用文献数
2 6

症例は69歳,女性.検診の胸部単純X線写真で右上肺野に異常陰影を指摘された.胸部CTで,右肺上葉S3に径1cm大の小結節を認め,CTガイド下経皮的肺針生検を施行した.穿刺直後に意識消失,ショックに陥った.蘇生処置後のCTで中大脳動脈領域に空気泡が複数見られた.空気塞栓症の診断で,高圧酸素治療を開始したところ,脳血管内の気泡は著明に減少し,意識レベルも改善した.以後連日6日間の高圧酸素治療で,当初認められた左半身の麻痺は徐々に改善し,発症後7日目の時点で左手指に軽度の運動障害を残すのみとなった.CTガイド下経皮的肺生検による合併症の中では,空気塞栓症の頻度は極めて低いが,重篤であり,速やかな診断と適切な治療を要する.
著者
三島 修治 平林 耕一 清水 公裕 江口 隆 三浦 健太郎 松岡 峻一郎 濱中 一敏 原 大輔
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2023-04-01

本研究では、主に肺腺癌に対する新たな治療戦略の一つとしての新規キメラ抗原受容体発現遺伝子改変T細胞療法(CAR-T療法)の開発を目的とします。私たちはすでに、このCAR-T細胞が新たに標的とする抗原を特定し、この標的に対して特異的に結合しうるタンパク質の遺伝子配列を複数同定しています。本研究では、肺腺癌の腫瘍細胞株を用いた実験に加え、マウスを使った動物実験により、この新規CAR-T細胞の有効性を検証します。
著者
岡野 孝雄 大和田 進 清水 公裕 須納田 豊 川手 進 浜田 邦弘 岩波 弘太郎 菅野 雅之 佐藤 啓宏 高木 均 小山 佳成 青木 純 森下 靖雄
出版者
北関東医学会
雑誌
The KITAKANTO medical journal (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.54, no.2, pp.113-118, 2004-05-01

【背景と目的】肝細胞癌に対する経皮的なラジオ波焼灼術(以下RFA)は,局所療法として有効な治療法の一つである.しかし,横隔膜直下の肝細胞癌は,経皮的に超音波での描出や経皮的な穿刺が困難な場合がある.そこで我々は,胸腔鏡下に超音波プローブを用いてRFAを行い,その有効院と安全性を検討した.【対象と方法】2001年3月から2003年12月までに5症例,7回の胸腔鏡下ラジオ波焼灼術(以下TRFA)を行った.方法として,分離肺換気下に,胸壁の2ヵ所にトロカールを挿入し,それぞれ胸腔鏡と超音波プローブを挿入し,経横隔膜的に腫瘍を描出する.超音波プローブにほぼ垂直になるようにPTCD外套針を経皮的に挿入し,これをガイドとして,RF針を経横隔膜的に腫瘍内に穿刺し焼灼する.【結果】全例がHCV(+)の肝硬変であった.Child-Pughスコアは5〜7点であった.平均腫瘍径は2.4(2.0〜3.0)cm,セッション数は症例1の初回TRFA時に6回施行した他は,各3回であった.平均手術時間は180(90〜280)分,出血量は18(0〜50)mlで,平均術後在院日数は10.4(4〜22)日であった.合併症として,ポート部の熱傷を1例に認めた. RFA術後のダイナミックCTでは,全例で低吸収域となり,治療は有効であると判定した.5症例の平均観察期間は21(7〜33)ケ月であった.1例で術後の局所再発が疑われ,同部に2回同様の手技で治療した.1例に,異所性の再発を認め,動脈塞栓療法(以下TAE)を行った.脳梗塞で24ヶ月目に死亡した1例の他は,全例が無病生存中である.【結語】TRFAは,2つのportで行うことが出来,低侵襲で,繰り返し安全に施行可能であった.経皮的なRFAが困難な症例に対して,新しい治療法になりえる.