著者
深見 武史 堤内 亮博 井上 雄太 吉田 幸弘 村川 知弘 中島 淳
出版者
特定非営利活動法人 日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.444-447, 2012-05-15 (Released:2012-06-18)
参考文献数
18

症例は62歳,男性.1953年(8歳時)に甲状腺腫で甲状腺右葉切除後,1955年に全肺野の粟粒状陰影と頚部リンパ節腫脹を指摘された.リンパ節生検と右肺S3部分切除術が施行され,甲状腺乳頭癌肺転移,リンパ節転移と診断された.化学療法と放射線外照射施行後も変化は乏しく,経過観察となった.2008年5月検診にて前立腺癌を疑われ,精査中,胸部X線にて左肺腫瘤影を認めた.前立腺生検にて前立腺癌は否定されたが,胸部CTにて左肺上葉に21 mm大の不整な結節と両肺に数mm大の小結節を多数認めた.原発性肺癌もしくは甲状腺癌肺転移を疑い,確定診断目的に胸腔鏡下左上葉部分切除を施行.甲状腺癌肺転移とその多発陳旧性病変との診断を得た.甲状腺癌術後30年以上経過して再発する症例は稀であり,本症例が最長であった.
著者
深見 武史 堤内 亮博 井上 雄太 吉田 幸弘 村川 知弘 中島 淳
出版者
The Japanese Association for Chest Surgery
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 = The journal of the Japanese Association for Chest Surgery (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.26, no.4, pp.444-447, 2012-05-15
被引用文献数
1

症例は62歳,男性.1953年(8歳時)に甲状腺腫で甲状腺右葉切除後,1955年に全肺野の粟粒状陰影と頚部リンパ節腫脹を指摘された.リンパ節生検と右肺S<sup>3</sup>部分切除術が施行され,甲状腺乳頭癌肺転移,リンパ節転移と診断された.化学療法と放射線外照射施行後も変化は乏しく,経過観察となった.2008年5月検診にて前立腺癌を疑われ,精査中,胸部X線にて左肺腫瘤影を認めた.前立腺生検にて前立腺癌は否定されたが,胸部CTにて左肺上葉に21 mm大の不整な結節と両肺に数mm大の小結節を多数認めた.原発性肺癌もしくは甲状腺癌肺転移を疑い,確定診断目的に胸腔鏡下左上葉部分切除を施行.甲状腺癌肺転移とその多発陳旧性病変との診断を得た.甲状腺癌術後30年以上経過して再発する症例は稀であり,本症例が最長であった.
著者
中島 淳 垣見 和宏 村川 知弘 深見 武史 倉知 慎
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

【目的】治療困難・予後不良な肺癌再発例に対して自己活性化γδ-T 細胞(γδT)による免疫療法を試み、安全性および有効性について明らかにする。【対象と方法】原発性肺癌、非小細胞肺癌治療後再発例、本研究に同意された方。評価可能病変を有し、除外基準を持たないことを条件とした。【結果】腺癌8例・扁平上皮癌1例・大細胞癌1例計10例を対象とした。γδTは3-12回投与された(中央値6回)。全有害事象はGrade1のべ3回、Grade3のべ2回(細菌性肺炎・放射線肺炎)であった。いずれもγδT 治療と関連は無かった。投与後240-850日(中央値445日)観察され、最終観察時生存6、死亡4例であった。γδT投与中死亡は見られなかった。死因はいずれも肺癌再発増悪であった。RECICS 判定では5回投与後CR/PR/SD/PD=0/0/5/4であった。後観察期間では0/0/3/5判定不能2であった。CR+PR+SDの割合を病勢コントロール率とすると5回投与後では50%,後観察期間では30%であった。投与後末梢血中のVγ9-γδT 細胞数は次第に増加傾向にあった。FACT-BRM total score の経時的測定においてはGrade 3有害事象症例をのぞき、投与期間中はスコア値が安定ないし上昇し、治療期間中のQOLは良好に保たれた。【考察】非小細胞肺癌表面に過剰発現するMICA/B0を認識するNKG2DをγδTは発現しており、isopentenyl pyrophosphate をTCR/CD3のリガンドとして認識し、癌細胞に接触・破壊する。体内に多量の自己γδT を投与した場合の安全性ならびに有効性について明らかにしたが、さらに今後はこの細胞障害活性をより効果的に体内で発現させるための方策について検討を進めたい。