著者
小川 泰浩 清水 晃 久保寺 秀夫
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.88, no.5, pp.329-336, 2006-10-01
被引用文献数
2

1995年に雲仙普賢岳噴火活動が終息し数年が経過した時点において,降下火山灰が堆積した林地と火砕流堆積地における火山噴出物表層の透水性変化過程を明らかにするため,表層の飽和透水試験と土壌薄片による表層の土壌微細形態を解析した。リターが地表に堆積したヒノキ林地と広葉樹林地の火山灰層では粗孔隙が分布し,透水性はリターの堆積によって向上していた。ヒノキ林地の中でもリターが地表にみられない場所の火山灰層には薄層がみられ,孔隙率と飽和透水係数はヒノキリターが堆積した火山灰層に比べ低い値を示した。この薄層は,表面流で移動した火山灰が堆積して形成された堆積クラストであると考えられた。火砕流堆積地では細粒火山灰が流出した結果,孔隙特性が良好となって表層の透水性が上昇したと推察された。噴火活動終息後数年が経過することにより,林地と火砕流堆積地における表層の透水性には違いがみられ,土壌微細形態解析によってこの違いはリターの堆積や細粒火山灰の流出に伴う表層の堆積構造の変化により引き起こされていると推察された。
著者
Pak Son-Il Han Hong-Ryul 清水 晃
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.61, no.9, pp.1013-1018, 1999-09-25
被引用文献数
4 36

病院犬から分離したメチシリン耐性黄色ブドウ球菌(MRSA)12株の試験管内薬剤感受性, 毒力, パルスフィールドゲル電気泳動法(PFGE)による遺伝子型別を行った. 薬剤感受性試1験では, 大多数の菌株が供試したβ-ラクタム系に耐性で, 全株がグリコペプチド系に感受性であった. アミノ配糖体系は抗菌活性がなかった. LD<50>は菌液を腹腔内接種し, Spearman-Kardcr法で求めた. MRSAとMSSA(メチシリン感受性黄色ブドウ球菌)のマウス致死活性は, 正常マウスとサイクロフォスファミド処置マウスで意義ある違いが認められず, 両株は同等の毒力を有していた. MRSAとMSSAの間でエンテロトキシン産生率に違いがみられ, MRSAの83.3% (10/12),MSSAの14.3%(1/7)がエンテロトキシンを産生じ, MRSAの優勢エンテロトキシン型はB型であった. MRSAの全株が莢膜型5型に属し, 一方MSSAは多様な莢膜型(4株:5型, 1株:8型, 2株:型別不能)を示した. PFGE解析では, 12株のMRSAは48.5-630.5kbの間で9-11のフラグメントを産生し, 6つの異なったパターンを示した。 これらの結果から, エンテロトキシンの産生性と莢膜型はマウスに対する病原性に役割を演じていないこと, またPFGEはMRSAの特徴づけに有用な方法であることが示された. 本論文は韓国の獣医学領域における最初のMRSA分離報告例である.
著者
北井 智 清水 晃 河野 潤一 佐藤 絵理 中野 千紗 北川 浩 藤尾 公輔 松村 浩介 安田 亮 稲元 哲朗
出版者
社団法人日本獣医学会
雑誌
The journal of veterinary medical science (ISSN:09167250)
巻号頁・発行日
vol.67, no.3, pp.269-274, 2005-03-25
被引用文献数
6 61

全国47都道府県のスーパーマーケット145店舗で市販されていた鶏肉444検体(もも肉, 胸肉, 手羽, 肝臓, 筋胃, 心臓, 卵巣)について, 黄色ブドウ球菌とエンテロトキシン(SE)産生黄色ブドウ球菌の汚染状況を調べた.黄色ブドウ球菌は444検体中292検体(65.8%)から, また145店舗中131店舗の検体から分離され, 種類別による検出率には差がなかった.分離した黄色ブドウ球菌714株の約80%がPoultry型(57.1%)とHuman型(22.1%)の生物型に属した.供試した360株中78株(21.7%)がSEを産生し, 31都道府県・53店舗の78検体から分離され, そのSE型はB(50株), A(14株), C(8株), A+B(2株), A+C(2株)であった.SE産生株の多くがHumanとPoultry生物型, コアグラーゼVII, VIII, IV型に, またIII群のファージに溶菌した.同一のSE型・生物型・コアグラーゼ型・パルスフィールドゲル電気泳動法(PFGE)パターンの菌株が同一店舗の異なった種類の検体から, 同一県の異なった店舗の検体から, また複数県の検体から分離され, 疫学的に興味深い所見が得られた.SEB産生50株中27(54%)株が3つの類似したPFGEパターンを示し, 遺伝学的に近縁関係にあった.これらのパターンを示す菌株が11県・17店舗の検体から分離され, わが国の鶏肉の間で広く分布していることが示唆された.