著者
清水 研
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.55, no.5, pp.399-404, 2015-05-01 (Released:2017-08-01)
被引用文献数
1

本稿においては,心身医学講習会で取り上げた内容の中で,「心的外傷後成長」に焦点を当てて解説を行う.がん罹患に伴う精神的苦痛は大きく,うつ病などの病的な状況に陥る患者も少なくない.一方で,がん体験は必ずしも心理的に負の影響をもたらすだけではなく,精神的な成長を実感するなど,肯定的な変化をもたらすことも少なくない.このような外傷的な体験の後の肯定的な変化について,心理学的な手法を用いてまとめられた概念が「心的外傷後成長」である.心的外傷後成長モデルは人が危機的な状況に陥った後の心像の変遷について,わかりやすく示している.心的外傷を負った人のケアを担う医療者は,必然的に無力感に直面することになるわけであるが,心的外傷後成長モデルを知ることはその無力感をもちこたえ,治療者としてあり続けるためのヒントを与えてくれると筆者は感じている.
著者
清水 研
出版者
日本行動医学会
雑誌
行動医学研究 (ISSN:13416790)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.2-6, 2014 (Released:2014-04-17)
参考文献数
6

がん罹患に伴う精神的苦痛は大きく、患者がうつ病などの病的な状況に陥ることも少なくない。心のケアを含めた緩和ケアが推進される中、精神腫瘍医(精神腫瘍学の専門性を持ってがん患者の精神・心理面の症状緩和を担当する医師)への要請は大きい。精神腫瘍医は精神保健における専門性を持ちつつ、身体状態を十分理解したうえで他職種と十分に連携することで、全人的な医療の提供を可能にし、その仕事の内容はまさに心身医学が目指す方向性の延長線に存在する。
著者
清水 研明
出版者
川崎医療福祉大学
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.2, no.1, pp.25-31, 1992

言語の「経済性」, すなわち, 有限数の音素から数十万の形態素を, さらにその形態素からほぼ無限数の文をつくりだすことが可能なのは, 自然言語が「二重」に「分節」されているからである.チンパンジーを中心にした類人猿に手話や人工言語を習得させるプロジェクトにおいて, この「二重分節」に言及されることが多い.「二重」に「分節」された手話や人工言語を使って語や文を産出しているのだから, 類人猿達の「言語」にも経済性がみられる, といった評価が一般的である.しかし, 類人猿達の産出する語や文はタイプの数が限られており, 人間のそれとは比較すべくもない.本論では, 「二重分節」という構造を持つシステムの習得が, 「経済性」の発現を必ずしも保障しないことを論じる.
著者
惠藤 浩朗 佐藤 千昭 増田 光一 居駒 知樹 清水 研 畔柳 昭雄 山口 順子
出版者
社団法人 日本船舶海洋工学会
雑誌
日本船舶海洋工学会論文集 (ISSN:18803717)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.245-253, 2014 (Released:2014-08-28)
参考文献数
18

An innumerable number of buildings in the coastal part of the east side of Japan were devastated by the Great East Japan Earthquake and Tsunami. Medical institutions also suffered the damage caused by tsunami, and the function to carry out the medical act has been spoiled. And the disabled concentrated on the medical institution which avoided tsunami damage. Under such circumstances, assistance from the water area began three days after the earthquake disaster, and much support supplies reached the stricken area. It was revealed that the support from the water area including the river was extremely effective against the stricken area.And then, the Tokyo Inland Earthquake disaster was assumed, floating medical support system installed in the quay of Arakawa River in Tokyo was proposed. Floating medical support system is movable; furthermore, it is built in the structural system of having very high isolation characteristics. Therefore, feasibility study such as selection of suitable setting position of this floating structure on Arakawa River, floor planning and flow planning at the time of always and a disaster, facilities and storage of various material,structural strength of the floating base, and the effects of disaster risk reduction was carried out about floating medical support system.
著者
清水 研明
雑誌
川崎医療福祉学会誌 (ISSN:09174605)
巻号頁・発行日
vol.4, no.2, pp.15-20, 1994

読み手は, 書かれたテクストの内容に関する背景知識(内容スキ・一マ)と修辞構造に関する背景知識(形式スキーマ)とを, 明示的に示された情報と融合させることにより, テクストをインターアクティヴに読むことができる.本論は, このスキーマ理論を, 外国語としての英語の教育にどのように取り入れるべきかを論じたもの.