著者
菊地 雅子 渡邊 席子 山岸 俊男
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.23-36, 1997-06-30 (Released:2010-06-04)
参考文献数
46
被引用文献数
20 20

他者一般の信頼性についての信念である一般的信頼の高さが必ずしもその人の騙されやすさを意味しないというRotter (1980) の議論, および高信頼者は低信頼者よりも他者の信頼性 (ないしその欠如) を示唆する情報により敏感であるという小杉・山岸 (1995) の知見を, 情報判断の正確さにまで拡張することによって導き出された「高信頼者は低信頼者に比べ, 他者の一般的な信頼性についての判断がより正確である」とする仮説が実験により検討され, 支持された。この結果は, 他者一般の信頼性の「デフォルト推定値」としてはたらく一般的信頼の高低と, 特定の他者の信頼性を示唆する情報が与えられた場合のその相手の信頼性の判断とは独立であることを示している。すなわち, 高信頼者は騙されやすい「お人好し」なのではなく, むしろ他者の信頼性 (ないしその欠如) を示唆する情報を適切に処理して, 他者の信頼性 (ないしその欠如) を正確に判断する人間であることを示唆している。最後に, 社会環境と認知資源の配分の観点からこの知見を説明するための一つのモデルが紹介される。
著者
菊地 雅子 渡邊 席子 山岸 俊男
出版者
The Japanese Group Dynamics Association
雑誌
実験社会心理学研究 (ISSN:03877973)
巻号頁・発行日
vol.37, no.1, pp.23-36, 1997
被引用文献数
1 20

他者一般の信頼性についての信念である一般的信頼の高さが必ずしもその人の騙されやすさを意味しないというRotter (1980) の議論, および高信頼者は低信頼者よりも他者の信頼性 (ないしその欠如) を示唆する情報により敏感であるという小杉・山岸 (1995) の知見を, 情報判断の正確さにまで拡張することによって導き出された「高信頼者は低信頼者に比べ, 他者の一般的な信頼性についての判断がより正確である」とする仮説が実験により検討され, 支持された。この結果は, 他者一般の信頼性の「デフォルト推定値」としてはたらく一般的信頼の高低と, 特定の他者の信頼性を示唆する情報が与えられた場合のその相手の信頼性の判断とは独立であることを示している。すなわち, 高信頼者は騙されやすい「お人好し」なのではなく, むしろ他者の信頼性 (ないしその欠如) を示唆する情報を適切に処理して, 他者の信頼性 (ないしその欠如) を正確に判断する人間であることを示唆している。最後に, 社会環境と認知資源の配分の観点からこの知見を説明するための一つのモデルが紹介される。
著者
飯吉 弘子 渡邊 席子 西垣 順子
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

学生の「思考力(自分で考える力)」とその育成に焦点を当て、(A)「育成対象(思考力自体と学生の発達意識)」と(B)「育成主体(大学教員とその教育実践)」両面の文献調査・言説分析・質問紙調査の量的質的分析・ナラティヴ調査・実践事例研究等の各種調査分析を通して、「大学教育が担うべき思考力育成とその教育実践と教育の評価のあり方」の総合的研究を行い、批判的に思考する「態度」育成の重要性やその教育実践事例分類、学生の発達意識や教員の意識における思考力育成の可能性や重要性の認識分析、カリキュラムと教育の評価のあり方分析等を行い、批判的に思考する能力や態度の育成のあり方の方向性と可能性を考察した。