- 著者
-
温 文
- 出版者
- 日本視覚学会
- 雑誌
- VISION (ISSN:09171142)
- 巻号頁・発行日
- vol.35, no.2, pp.62-67, 2023-04-20 (Released:2023-04-25)
- 参考文献数
- 20
技術の発展により,バーチャルリアリティやアシストロボットなどの装置を用いて人間の身体能力が向上し,拡張する研究が注目されている.特に身体が不自由な人や,運動障害を持つ人のためのアシストやリハビリテーション手法の開発が進んでいる.本講演では,バーチャルリアリティやアシストロボットを利用するユーザの運動主体感に焦点を当て,身体拡張が運動主体感に与える影響を調べた研究を紹介する.身体拡張を行うと,自分の行動と異なる感覚入力を受けるため,運動主体感が低下してしまうことが多いが,身体運動のパフォーマンスに対してポジティブな介入を行った場合には,運動主体感を向上させ,身体表象の更新を促進できることが示されている.さらに,運動主体感に着目したリハビリ装置の提案や,人間の認知特徴を踏まえたシステム設計に関する研究も紹介する.