- 著者
-
大森 信
滝本 優枝
- 出版者
- 日本マーケティング学会
- 雑誌
- マーケティングジャーナル (ISSN:03897265)
- 巻号頁・発行日
- vol.37, no.4, pp.47-65, 2018 (Released:2019-05-31)
- 参考文献数
- 39
本稿は,欧州で経営戦略論の新しい研究アプローチとして進展してきた Strategy as Practice (SaP)から,Strategizing Activities and Practices (SAP)へと移行する現在までの過程に着目し,SAPの現状と課題を指摘し,その可能性について示す。日本では SaPの研究は少しずつ浸透しつつあるものの,SAPについての論考は未だ見当たらない。経営学と隣接する分野であり,市場戦略や競争戦略について研究展開がなされてきたマーケティング分野において両者の関係性について検討しておく必要性は少なくないと考える。本稿では,プラクティス理論に基づいた SAPの観点から,特に日本企業の周辺的活動が継続され習慣化されていく過程に着目する必要性を提示する。また研究の進展を通じて,新たな経営戦略観ならびに組織観を示すことができるとともに,特にリレーションシップ・マーケティングに対する含意も少なくないことを指摘する。