著者
大西 勝 元垣内 敦司 三宅 秀人 平松 和政 曽根 弘樹 川口 靖利 澤木 宣彦
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SDM, シリコン材料・デバイス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.68, pp.7-12, 1999-05-21

HVPE法によりGaNの選択成長を行い、その結晶学的評価を行った。格子パターンによるGaN選択成長では、マクロステップを有する表面モフォロジーがAFMで観察され、膜厚の増大とともに格子歪みが緩和した。ストライプパターンを用いたELO-GaNをマスクの材料により比較すると、SiO_2をマスクに用いたELO-GaNでは成長面でのc軸傾斜が大きいのに対し、W(タングステン)をマスクに用いた場合にはc軸傾斜が小さく、良質な結晶であることが示された。
著者
赤崎 勇 橋本 雅文 天野 浩 平松 和政 澤木 宣彦
出版者
名古屋大学
雑誌
試験研究
巻号頁・発行日
1987

1.前年度に引続き、GaNの高品質MOVPE結晶成長条件下でZnを添加することによりMIS構造に必要な抵抗率の高いi層を実現し、MOVPE法による高性能MIS型青色LED(発光効率0.3%)を実現した。2.カソ-ドルミネッセンス(CL)法によりZn添加GaNの発光微細特性及び発光スペクトルを評価した結果、「GaH表面微細構造」と「発光波長及び発光強度」の間に密接な関係があることを見出し、面内で均一な青色発光を得るための成長条件を明らかにした。3.MOVPE法によりMg添加GaNの結晶成長を行い、以下の結果を得た。(1)Mg濃度はMg原料流量に対し線形的に制御できる。(2)Zn添加の場合と異なりMgの添加効率は基板温度によらず一定である。(3)Mg濃度を制御することにより室温のPL測定において青色発光(440〜460nm)を得た。(4)電子線照射処理を施すことにより、青色発光強度が1桁以上も増加すること、かつp形GaN(正孔濃度〜10^<16>cm^<-3>)が得られることを見出した。(5)pn接合形LEDを試作し、その発光スペクトルを測定したところ、青紫色及び紫外発光が観測された。以上の結果、Mg添加はGaN系短波波長発光素子の作製に極めて有効な方法であることが明らかになった。4.GaN上にGaAlNを成長させヘテロ接合の作製を行った結果、GaAlN層にクラックが発生することが分かった。このクラック発生はGaAlN層の組成及び膜厚を制御することにより抑制できることが明らかになった。またこのクラック抑制技術に基づきGaNとGaAlNの多層構造を作製した結果、表面平坦性の優れた多層膜が得られた。
著者
澤木 宣彦
出版者
名古屋大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
1999

消費電力が大きな従来型の計算機システムの弱点を克服するための結合量子井戸構造における波動関数の変化を利用する新しい演算システムの構築の可能性を探ることを目的とする。1.結合ドット構造への電子波束の注入法を探るため、磁場中の量子ディスク、量子細線における電子波束の運動を詳しく検討した。磁場が強い場合には波束の崩壊は起こらないこと、磁場に直交する電界を印可すると、波束は横方向へのドリフト運動を行うことがわかった。2.電子線露光法により、砒化ガリウムにシリコンを原子層ドープした構造に微小電界効果トランジスタを作製した。チャネルの幅ならびに長さは100-500ナノメートルとし、サイドゲート構造とすることによりチャネルの伝導制御を試みた。ドレインには分岐点を設け、原子層ドープ構造におけるパーコレーション的な伝導の効果を見いだすことを試みた。しかし、今年度の実験ではそのような効果を見いだすことはできなかった。サイドゲートによるポテンシャル変調が十分でなかった可能性がある。3.結合ドット構造からの信号の光による入出力の方法として、プラズモンポラリトンを用いる方法の有効性を検討した。半導体量子井戸構造の試料の表面に電子線露光法によって金属膜グレーティングを作製した。ヘリウムネオンレーザの光を特定の角度から入射することによって、半導体表面にプラズモンが励起できた。ついで、この角度付近で、量子井戸からの発光の強度が増加することを見いだした。量子井戸の励起子系と表面に局在した電磁波との相互作用の可能性が実証された。
著者
灰野 正絋 山口 元男 元垣内 敦司 三宅 秀人 平松 和政 澤木 宣彦 家近 泰 前田 尚良
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ED, 電子デバイス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.100, no.57, pp.41-46, 2000-05-11
参考文献数
6

W / n-GaN接合の電極特性の評価とELOによるWN_xマスクの埋め込み構造の作製を行った。W / n-GaN接合はWの蒸着温度の上昇とともに良好なショットキー特性を示した。この接合をH_2、N_2+H_2、NH_3+H_2雰囲気中で熱処理を行った。H_2処理では、Wが分解し、GaN表面は荒れていた。N_2+H_2処理では、Wが粒界化し、GaN表面上にGaN針状結晶(whisker)が認められた。NH_3+H_2処理では、WがWN_xとなっており、WN_x / n-GaN接合はショットキー特性を維持した。また、WN_xをマスクに用いたELOを行ったところ、触媒作用によるGaNの分解が減少し、良好な埋込み構造を得ることができた。
著者
長谷川 英機 澤木 宣彦 小間 篤 岩見 基弘 菅野 卓雄 安田 幸夫
出版者
北海道大学
雑誌
重点領域研究
巻号頁・発行日
1996

本研究の目的は、ナノ構造の原子スケール制御に対し、十分な研究実績をもつ班員の実績を活かして、「ナノ構造の表面・界面の制御と単電子トンネル障壁の最適化」の研究を担当し、室温動作の単電子デバイスや、新しい機能もつ単電子デバイスを、単体ないし小規模集積レベルで実現する要素デバイス技術およびプロセス技術を確立することにある。主要な成果として、まず、化合物半導体の2次元電子ガスに対する新しいインプレーンゲート、ラップゲート構造による単電子トランジスタについて、従来のスプリットゲート素子に比較して、動作温度の大幅な向上、動作機構の理解、1以上の電圧利得の達成、論理インバータ回路・BDDスイッチ回路などの小規模集積回路の試作と実証など、世界に先駆け大きな進歩がもたらされた。また、シリコン系については、プラズマプロセスで形成したシリコンドットにおける室温のクーロン階段の観測や、単電子トランジスタの動作確認、縦形トランジスタでの量子化コンダクタンスの観測、ホッピング伝導系でのクローンブロケッド現象の発見、非対称トンネル障壁構造を用いてデバイス特性を最適化する研究が推進された。さらに、シリコン系および化合物半導体系量子ドット構造を、表面・界面の原子配列と電子物性を評価・制御しつつ形成する手法について、大きな進展が認められた。また、「トンネル障壁」におけるトンネル時間やドット内の波束の運動の検討など、単電子過程を解明する基礎研究も進展した。