著者
濱田 宏 木村 健一 遠藤 恵美子 福井 明 藤田 喜久 高折 益彦
出版者
THE JAPAN SOCIETY FOR CLINICAL ANESTHESIA
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.11, no.4, pp.471-479, 1991-07-15 (Released:2008-12-11)
参考文献数
23

局所麻酔薬に添加した血管収縮薬が脊椎麻酔の持続時間に及ぼす効果を検討した.下肢の予定手術患者を対象に,ネオペルカミンS単独群(C群),エピネフリン0.1mgおよび0.2mg添加群(E1群,E2群),ノルエピネフリン0.1mg添加群(NE群)に分けた.最高レベルより2椎体,4椎体低下する時間(分)はE1群でそれぞれ平均120分,178分,E2群でそれぞれ145分,191分,NE群でそれぞれ142分,180分で,ともにC群の95分,135分より有意に延長していた.しかし,E1,E2,NE群の間に有意差を認めなかった.NEがEより勝る利点を見出すことはできなかったが,NEの添加でも有意な延長効果を認めた.
著者
三好 寛二 中村 隆治 安氏 正和 中布 龍一 濱田 宏 河本 昌志
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.564-568, 2012 (Released:2012-10-11)
参考文献数
8

術中にアナフィラキシーを生じた肝門部胆管癌症例を経験した.アレルゲンは術中には確定できなかったが,後日行った薬剤リンパ球刺激試験でタココンブ®と判明した.タココンブを貼付したまま閉腹したためか,術後もアドレナリンの持続投与が必要な状態が続き,約20時間後にアドレナリンを離脱できた.血漿中ヒスタミンとトリプターゼの定量測定では,両者とも検出できず,これらを介さない機序でのアナフィラキシーを生じたものと考えられた.
著者
倉地 聡子 濱田 宏 田上 正 内野 博之
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.73-77, 2023 (Released:2023-03-16)
参考文献数
8

【目的】東京医科大学病院(以下,当院)緩和ケアチームの過去5年間の活動状況と新型コロナウイルス感染症(COVID-19)が与えた影響を調査した.【方法】2016年4月から2021年3月の期間に当院緩和ケアチームが介入した患者データを後方視的に比較・分析した.【結果】2016年度から2020年度までの延べ依頼数,患者背景,依頼・介入理由に大きな変化はみられなかった.2020年度の依頼時PS 0の患者数は他年度と比較し有意に増加し,自宅退院患者数も有意に増加していた.【考察】調査結果から緩和ケアの早期からの導入が進んでいることがわかった.当院でもCOVID-19流行後,入院患者の面会制限が行われ自宅療養を選択する割合が増えている可能性が考えられた.【結論】緩和ケアチームへの介入依頼はCOVID-19流行の影響なく,5年間で有意な変化を認めなかったが,入院患者への厳しい面会制限は緩和ケアを実践するうえで障壁となった.