著者
三好 寛二 中村 隆治 安氏 正和 中布 龍一 濱田 宏 河本 昌志
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.32, no.4, pp.564-568, 2012 (Released:2012-10-11)
参考文献数
8

術中にアナフィラキシーを生じた肝門部胆管癌症例を経験した.アレルゲンは術中には確定できなかったが,後日行った薬剤リンパ球刺激試験でタココンブ®と判明した.タココンブを貼付したまま閉腹したためか,術後もアドレナリンの持続投与が必要な状態が続き,約20時間後にアドレナリンを離脱できた.血漿中ヒスタミンとトリプターゼの定量測定では,両者とも検出できず,これらを介さない機序でのアナフィラキシーを生じたものと考えられた.
著者
河本 昌志 大澤 恭浩 藤井 宏融 弓削 孟文 向田 圭子
出版者
広島大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

日本国内での悪性高熱症(MH)を発症した患者やその血縁者およびMHと関連性が疑われる疾患の患者を対象とし,骨格筋小胞体のCa-induced Ca release(CICR)機構の以上亢進と,CICRチャネルであるリアノジン受容体(RYR1)の遺伝子の異常との関連性について研究した.方法は,対象者の同意を得て末梢血からDNAを抽出し,RYRl遺伝子領域のPCRプライマー7組を用いて増幅し,制限酵素断片長多型(RFLP)による解析と同近傍領域のマイクロサテライトプローブを用いた解析を行った.また,骨格筋を生検してサポニン処理して化学的にスキンドファイバーを作製し,遠藤らの方法でCICR速度を測定した.これまでの2年間に26家系72名よりDNAを抽出した.また筋生検によるCICR速度の測定は26名で行った.このうち臨床的に劇症MHを発症した4名とその家系の3名でCICR速度の異常亢進が認められたが,C1840Tの変異はいずれの対象者にも認められなかった.しかし,1家系でRFLPとマイクロサテライト法により,RYRl遺伝子領域の異常とMH素因(CICR速度異常亢進および劇症MH)との関連性がより明らかになった.従ってこの家系では末梢血採血という最低限の侵襲で,より広範囲の遺伝子検索ができる可能性が高くなった.さらに従来報告された遺伝子変異を検出するためのPCRプライマーを作製中で,これを用いて広範囲のDNA異常を検討する予定である.MHは希な疾患であり,しかも筋生検は侵襲的であるために,承諾を得てCICR速度測定を実施できる症例数は限られる.今後はこのプライマーを用いて最低限の侵襲で広範囲のDNA異常を検討する必要があると考えている.
著者
秋吉 駿 古居 彬 平野 陽豊 隅山 慎 棟安 俊文 三戸 景永 曽 智 笹岡 貴史 吉野 敦雄 神谷 諭史 中村 隆治 佐伯 昇 吉栖 正夫 河本 昌志 山脇 成人 辻 敏夫
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.Annual57, no.Abstract, pp.S236_2, 2019 (Released:2019-12-27)

【目的】ヒトの疼痛を客観的に定量評価することを目的として,著者らは末梢交感神経活動を反映する血管剛性と電気刺激時の主観的疼痛度の間に有意な関係があることを見出した.本報告では,血管剛性から筋交感神経信号の分散を非侵襲推定し,推定した分散から主観的疼痛度をより高精度で客観的に定量評価する方法を提案する.【方法】広島大学・医の倫理委員会承認のもと事前にインフォームド・コンセントが得られた健常成人男性22名(22.7±1.0歳)を対象に皮膚電気刺激実験を行った.刺激中の心電図,血圧,指尖容積脈波から求めた血管剛性を用いて筋交感神経信号の分散を推定した.その後,ウェーバー・フェヒナー則を用いて筋交感神経信号の分散と主観的疼痛度の関係をモデル化し,モデルによる推定値と実測値との相関解析を行った.比較のため,血管剛性と主観的疼痛度の間においても同様の解析を行なった.【結果】筋交感神経信号の分散から推定した主観的疼痛度と実測した主観的疼痛度の相関は,血管剛性の場合と比較して上昇した(提案法: r = 0.60, p < 0.001, 血管剛性: r = 0.47, p < 0.001).【結論】提案法は主観的疼痛度を従来法より高精度かつ客観的に定量評価可能であった.
著者
秋吉 駿 神谷 諭史 中村 隆治 佐伯 昇 吉栖 正夫 河本 昌志 山脇 成人 辻 敏夫 古居 彬 平野 陽豊 隅山 慎 棟安 俊文 三戸 景永 曽 智 笹岡 貴史 吉野 敦雄
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.S236_2, 2019

<p>【目的】ヒトの疼痛を客観的に定量評価することを目的として,著者らは末梢交感神経活動を反映する血管剛性と電気刺激時の主観的疼痛度の間に有意な関係があることを見出した.本報告では,血管剛性から筋交感神経信号の分散を非侵襲推定し,推定した分散から主観的疼痛度をより高精度で客観的に定量評価する方法を提案する.【方法】広島大学・医の倫理委員会承認のもと事前にインフォームド・コンセントが得られた健常成人男性22名(22.7±1.0歳)を対象に皮膚電気刺激実験を行った.刺激中の心電図,血圧,指尖容積脈波から求めた血管剛性を用いて筋交感神経信号の分散を推定した.その後,ウェーバー・フェヒナー則を用いて筋交感神経信号の分散と主観的疼痛度の関係をモデル化し,モデルによる推定値と実測値との相関解析を行った.比較のため,血管剛性と主観的疼痛度の間においても同様の解析を行なった.【結果】筋交感神経信号の分散から推定した主観的疼痛度と実測した主観的疼痛度の相関は,血管剛性の場合と比較して上昇した(提案法: r = 0.60, p < 0.001, 血管剛性: r = 0.47, p < 0.001).【結論】提案法は主観的疼痛度を従来法より高精度かつ客観的に定量評価可能であった.</p>
著者
柴田 ゆうか 河本 昌志 木平 健治
出版者
日本臨床麻酔学会
雑誌
日本臨床麻酔学会誌 (ISSN:02854945)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.523-530, 2014 (Released:2014-09-06)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

手術室薬剤師業務は事故防止と薬品適正管理の観点から始まり,薬剤師の一元管理による薬品管理強化に貢献した.しかし薬物療法の適正使用への貢献において薬剤師の専門性が遺憾なく発揮されているとは言い難い.また多くの病院で薬剤師が充足しているとはいえない状況があり,いまだ手術室への薬剤師配置ができないところもある.手術室における薬剤師の参画を進展するためには,周術期医療における薬剤師業務の指針の作成や診療報酬上のインセンティブなど手術室への薬剤師配置のための環境整備が今後の課題である.
著者
柴田 ゆうか 河本 昌志 木平 健治
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.135, no.2, pp.163-167, 2015 (Released:2015-02-01)
参考文献数
3
被引用文献数
1

In an effort better to understand the application of pharmaceutical services in the operating room (OR) we conducted a survey among OR department directors of 526 hospitals throughout Japan. A total of 202 directors responded to the survey. Pharmacists are expected to achieve better outcomes in pharmacotherapy as well as play major roles as members of diverse perioperative care teams. Besides implementing medication safety standards, pharmacists' roles include optimizing drug therapy and other clinical interventions, both in OR and wards. Presently, few pharmacists in Japan participate in perioperative care, which is one of the reasons that the majority of pharmacy schools in Japan have been providing fewer lectures or rotations related to perioperative care. Yet, developing general perioperative management as another crucial role OR pharmacists play and incorporating it into pharmaceutical education would be important. Enriching perioperative care provided by pharmacists can contribute toward improving clinical competence in these professionals.