著者
本多 宣裕 越智 宣昭 山根 弘路 藤井 宏美 瀧川 奈義夫
出版者
特定非営利活動法人 日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.79-83, 2016-04-20 (Released:2016-05-18)
参考文献数
7

目的.本邦では化学療法による発熱性好中球減少症(FN)の重症化を予測するMultinational Association of Supportive Care in Cancer(MASCC)スコアが汎用されている.最近海外よりClinical Index of Stable Febrile Neutropenia(CISNE)スコアの有用性が報告され,その妥当性を検証した.方法.2011年4月から2015年3月の間に当科に入院し,化学療法によりFNを発症した症例のMASCCスコアとCISNEスコアによるFN重症化リスクを比較した.結果.対象は,肺癌38例,悪性リンパ腫16例,消化器癌5例,肉腫5例,卵巣癌4例など計72例であり,うちFNの重症化は10例に認められた.MASCCスコアによる高リスク群は28例(38.9%)で,重症化予測の感度,特異度,ROC曲線下面積はそれぞれ60%,69%,0.63であった.CISNEスコアによる高リスク群は16例(22%)であり,FN重症化予測の感度,特異度,ROC曲線下面積はそれぞれ40%,82%,0.48であった.結論.CISNEスコアはMASCCスコアよりFN重症化の予測が良好とは言えず,本邦における予測モデルを構築する必要があると考えられた.
著者
木浦 勝行 瀧川 奈義夫 市原 英基 中村 栄三 吉野 正 高田 穣
出版者
岡山大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

健常雄性 Slc: Wistar ラット 10 匹に鉄およびキレート剤を腹腔内へ反復投与し,5 匹で悪性腹膜中皮腫を認めたが,コントロール群,キレート剤投与群では認めなった。免疫染色(Calretinin, CEA 染色),電子顕微鏡による観察を行い,いずれも上皮型中皮腫であることを確認した。また,DNA 酸化損傷マーカーである 8-hydroxy-2-deoxyguanosine による免疫染色は陽性であり,従来の学説は確認された。ラジウムを含む微量元素を最終解析中である。