著者
樋口 雄彦 宮地 正人 熊澤 恵里子 遠藤 潤 樋口 雄彦
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

1.平田篤胤関係資料の整理・目録作成これまで総合的な調査がなされたことがない平田篤胤関係資料(東京都渋谷区代々木・平田神社に伝来し、本研究期間中に一部を除き国立歴史民俗博物館に譲渡された)について、すべてを調査・整理し、目録を完成させた。2.重要史料の翻刻・刊行平田篤胤関係資料のうち、今後の研究において基礎的史料として位置づけられる日記(文化13年〜明治4年)や明治初年の両親宛延胤書簡などについて翻刻作業を行い、それを『国立歴史民俗博物館研究報告』第122集、第128集に掲載した。また、日記に次ぐ重要度を持つ金銭出納簿についても翻刻・刊行準備を進めた。3.国立歴史民俗博物館での資料公開国立歴史民俗博物館では、特別企画「明治維新と平田国学」(平成16年)やフォーラムを開催し、展示・図録・講演会といった形で一般への普及・啓蒙をはかるとともに、同館所蔵に帰した資料のマイクロ撮影を進め、研究者に対する閲覧利用に供することとした。4.周辺資料の調査長野県・岐阜県・秋田県・千葉県など、主要な平田門人が存在した地域を調査し、門人側に残された関係資料の所在情報について収集を行った。また、国立歴史民俗博物館に寄託された幕臣出身の国学者・神道家秋山光條関係資料の調査・整理も実施した。
著者
熊澤 恵里子
出版者
東京農業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

幕末維新期来日外国人の平田国学研究の事例として、アーネスト・サトウとペーター・ケンペルマンを中心に日英独における史料調査・収集を行った。ドイツ書記官ケンペルマンについては、先行研究がなく詳細は不明であったが、本研究では現地調査により出自、学歴、職歴をはじめ、その人物像ならびに平田国学への関心を明らかにした。
著者
安部 由香子 御手洗 洋蔵 惟村 直公 熊澤 恵里子
出版者
日本ESD学会
雑誌
ESD研究 (ISSN:24365092)
巻号頁・発行日
vol.4, no.4, pp.36-52, 2021 (Released:2022-01-10)
参考文献数
13

The purpose of this study is to examine SDGs and ESD in agricultural education based on text mining analysis of agricultural high schools using an educational practice questionnaire survey. There are many ESD practices in Japan, however, ESD research is lagging behind in agricultural high schools. Even though agricultural high schools work on good practices, especially in environmental education, most of them do not have a cross-curricular approach that incorporates the SDGs and ESD perspectives. The UNESCOAssociated Schools Project Network (ASPnet) was put in place as the national network among schools in Japan for promoting ESD. Nonetheless, only eight agricultural high schools have joined ASPnet. This analysis revealed that the practices of SDGs and ESD have some points in common. Most schools tended to use the word "local" in their responses to this questionnaire and mostly the objective of the practices is to help students reconsider features of their own society. In addition, personal transformation through SDGs and ESD is related to students’ career decisions. We found that principals and other teachers showed high awareness of and positive opinions about SDGs and ESD, and designing educational curriculums and school goals from the perspective SDGs can encourage to prompt a whole school approach to ESD. This study clarified that many agricultural high schools use Good Agricultural Practices (GAP) education as one of their SDGs practices.
著者
熊澤 恵里子
出版者
東京農業大学農業経済学会
雑誌
農村研究 (ISSN:03888533)
巻号頁・発行日
no.113, pp.1-13, 2011-09

わが国の高等教育段階における農学教育は近代的化学分析に基づいた農学研究と農場における農業実習という「研究と実践」を兼ね備えた英国流でスタートした。しかし,その後のケルネルら独人教師の活躍の影に隠れて駒場農学校英人教師への正当な評価はすっかり忘れ去られてしまった感がある。本稿では,日本の高等農学教育に農芸化学を導入した第一人者といえるエドワード・キンチに焦点を当て,英国のサイレンセスター王立農学校文書館ならびにローザムステッド研究所文書館が所蔵する関係史科を中心に,キンチが日本の農芸化学界の発展にいかに寄与したかを明らかにした。キンチの誠実な化学分析は近代農業に対する人々の意識変革を促し,地域の特性を生かした産業の振興を援助するとともに,西洋社会がほとんど食しない根菜類,海草類など,ダイナミックな日本の食文化を世界に知らしめたという点でも先駆的である。
著者
熊澤 恵里子
出版者
東京農業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

越前松平家3代(慶永・茂昭・康荘)にわたる家譜並びに康荘海外留学関係書類、慶永日簿等の国内史料と英独墺の国外史料を収集・リスト化し一部翻刻を行い、大名華族の伝統的な子弟教育に翻弄された康荘の実際を辿ると共に、康荘の留学が衆議により旧領地福井の地域再生の方途として、私有地(城址)活用による試農場経営に生かされ、併設された園芸伝習所も含め民間モデルの先駆けとなったこと、及び、康荘随伴の旧臣にとって渡欧は「変則的な海外留学」であったが、自由闊達な学問研究と藩閥を越えた在外日本人ネットワーク形成を可能とし帰国後の近代化の一翼を担ったことを明らかにした。