- 著者
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小田谷 嘉弥
山口 恭弘
熊田 那央
- 出版者
- 日本鳥学会
- 雑誌
- 日本鳥学会誌 (ISSN:0913400X)
- 巻号頁・発行日
- vol.68, no.2, pp.317-325, 2019-10-25 (Released:2019-11-13)
- 参考文献数
- 12
- 被引用文献数
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ハス田における水鳥類によるレンコンの採食被害の防止のために,防鳥ネットが日本各地で用いられている.本研究では防鳥ネットの侵入抑制効果を検証するため夜間のハス田への飛来数および在不在を指標として,防鳥ネットの効果を他の環境要因と合わせて一般化線形混合モデル(GLMMs)で検証した.2011年の2月–3月(春期)と10月–12月(秋期)にそれぞれ6回の野外調査を茨城県土浦市およびかすみがうら市の80か所のハス田において行い,飛来している水鳥類の個体数を調査した.個体数の平均値は,春期,秋期ともに防鳥ネットを張ったハス田で少ない傾向が見られたものの,水鳥類の飛来数を目的変数としたモデル解析を行ったところ,いずれの季節/種においても防鳥ネットの有無や設置方法の違いは水鳥類の飛来数に影響を及ぼさなかった.一方,ハス田に残されたくずレンコンの量は,カモ類とオオバンFulica atraの合計,カモ類の合計,ヒドリガモAnas penelopeと秋期のマガモA. platyrhynchosの個体数に正の影響を与えており,湖からの距離は春期および秋期のオオバンの個体数に負の影響を,春期のヒドリガモに正の影響を与えていた.すなわち,防鳥ネットによって水鳥類の侵入を有効に抑制できているとは言えず,ハス田における被害対策のためには,防鳥ネットの隙間を作らないような適切な設置に加え,くずレンコンの除去などハス田の環境を考慮した対策が必要であることが示唆された.