- 著者
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熊野 直樹
- 出版者
- 九州大学
- 雑誌
- 挑戦的萌芽研究
- 巻号頁・発行日
- 2010
本研究の主たる目的は、第二次世界大戦期の「満」独阿片貿易の実態解明であった。特に、どのような経緯を経て、「満洲国」とナチス・ドイツ間の主要な交易品が満洲大豆から阿片に代わったのか、その際、誰が主導したのか、を明らかにするのが本研究の目的であった。 「満」独通商協定によって、両国は主に満洲大豆とドイツ製機械をバーター取引していたが、満洲大豆の不足によって、「満洲国」側は貿易赤字に陥った。その結果、ドイツ側はその決裁の手段として、満洲大豆に代わって阿片を要求するに至った。1941 年 5 月の「満独通商協定延長に関する第二次協定」において正式に両国の間で、阿片取引がなされることになった。その責任者が、「満洲国」側は古海忠之であり、ドイツ側がドイツ経済使節団代表のヘルムート・ヴォールタートであった。戦時中、両者が両国間の阿片貿易の責任者であった