著者
青木 裕見 木下 康仁 瀬戸屋 希 岩本 操 船越 明子 武用 百子 松枝 美智子 片岡 三佳 安保 寛明 萱間 真美
出版者
公益社団法人 日本看護科学学会
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.42, pp.21-30, 2022 (Released:2022-06-22)
参考文献数
14

目的:COVID-19パンデミックに対応した福祉施設管理者の体験を明らかにすることを目的とした.方法:7施設の福祉施設管理者8名を対象に半構造化面接を実施し,質的記述的分析を行った.結果:36のカテゴリと109のサブカテゴリが抽出された.研究参加者は,人的・物的な医療資源のない自施設で未曽有の感染症に果敢に対処していた.不安・緊張を抱える中,組織内のスタッフと情報共有を密にし,勤務体制の再編成を行い,支援の優先度を見極めつつ障害特性に応じた対応を工夫しながら,本人・家族への支援を続けていた.そこでは,従前からの組織内の関係性や対策,さらに一般社会との相互作用も影響しており,とくに地域の医療との協力は必須であった.結論:緊急時でも支援を継続させるためには,平時から組織内で情報共有を密にし,業務の優先順位を整理しておくことが重要であると示唆された.またパンデミックを乗り越えるには医療との協働は不可欠であり,看護支援のニーズが高いことが示唆された.
著者
片岡 三佳 谷岡 哲也
出版者
徳島医学会
雑誌
四国医学雑誌 (ISSN:00373699)
巻号頁・発行日
vol.75, no.3, pp.113-120, 2019-08-25

The purpose of this study was to compare the strengths-oriented attitude among psychiatric nurses(PNs), psychiatric social workers(PSWs)and occupational therapists(OTs)working at psychiatric hospitals using principal component analysis. Survey subjects were 899 PNs, 100 PSWs and 90 OTs employed at 17 psychiatric hospitals in Japan who consented to participate in the study. The self-administered questionnaire was mailed and returned between from October 2013 to January 2014. The subjects' strengths-oriented attitude was evaluated using the Strengths-Oriented Attitude Inventory(SOAI)developed by the authors based on the work by Rapp and Goscha. The loading of the primary ingredient of the SOAI was compared by Principal Component analysis among occupations. A common strengths-oriented attitude of PNs, PSWs, and OTs was the assessment for psychiatric inpatients' social life, the ability to perform activities of daily life (ADL), mental status, and taking care and therapeutic intervention. Especially, in the differences of characteristics depending on the specialty, PNs focus on physical health, PSWs emphasize economics and housing, and OTs emphasis on functional recovery of their ADL. Differences in strength-oriented attitudes have shown the commonality and specialty of each healthcare provider.
著者
片岡 三佳 野島 良子 豊田 久美子
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.26, no.5, pp.5_31-5_44, 2003-12-01 (Released:2016-03-31)
参考文献数
36

精神障害の中でも重篤とされる精神分裂病者にとっての生きられた入院体験を明らかにすることを目的に,入院体験のある精神科外来に通院中の精神分裂病者8名を対象に半構成的面接を行った。 録音後逐語録に転記した面接内容を Giorgi の現象学的アプローチを用いて分析した結果,258場面が抽出され,19カテゴリーに分類された。 精神分裂病者の生きられた入院体験は,1) 誰にも理解してもらえない苦しみとしての病い体験,2) 社会的存在の時間と場の喪失体験,3) <させられている>体験と感じる日常生活,4) 日常性のなかに新たな意味を発見する体験,5) 同類意識と他者に理解されていない孤独感の混じる他者との関係,として意味づけることができる。 そして,こうした入院体験全体の根底には深い孤独感が横たわっていると思われる。
著者
熊坂 隆行 升 秀夫 片岡 三佳 棟久 恭子 森田 優子
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.20-28, 2010-05-30 (Released:2010-06-24)
参考文献数
9

精神科病院の入院患者を対象として,看護支援における動物を用いたアプローチの有用性を検討した。動物とのふれあいの効果を検討したところ,このアプローチを必要としている患者の傾向と,アプローチによる患者の気分の変化が明らかとなった。患者の入院生活支援を24時間している看護師において,環境整備は重要な看護援助のひとつであり,動物が好きな患者において「動物がいる入院環境を整えること」は,情緒の安定,意欲の向上,環境の適応などに繋がる可能性が考えられた。