- 著者
-
大西 範和
斎藤 真
平林 由果
片瀬 眞由美
栗林 薫
塩之谷 香
- 出版者
- Japan Ergonomics Society
- 雑誌
- 人間工学 (ISSN:05494974)
- 巻号頁・発行日
- vol.41, no.2, pp.51-56, 2005-04-15 (Released:2010-03-15)
- 参考文献数
- 13
本研究の目的は, 筋電図の解析によりミュールを履いて歩行する際の身体的ストレスを評価することである. 被験者は11名の若年女性で, 50m/minの速度でトレッドミル上を, 裸足, スニーカーおよびヒール高9cmの3種類のミュールを履いて2分間歩行した. それぞれの歩行において後半1分間の上下肢の筋電図および心電図を記録した. 心拍数および歩調は, ミュールを履いて歩行した場合に, 裸足およびスニーカーと比べ統計的に有意 (p<0.05) に増加した. 股関節の屈曲, 膝関節の伸展および足関節の背屈に関係する筋において, 筋電積分値は, 裸足およびスニーカーを履いた歩行に対し, ミュールを履いた歩行の際に増加した. これらの筋活動の増加は, 爪先を上げてミュールの脱落を防止することや, 爪先と踵を同時に接地させて歩行の安定を図るための努力に関係すると推察される. ミュールを履いて歩行した際の前脛骨筋の活動増加は, 甲ストラップの装着により消失した. 歩行時にミュールを履くことで増加する身体的ストレスは, 構造を工夫することで低減され得ることが示唆された.