著者
片瀬 眞由美 平林 由果 渡辺 澄子 栗林 薫
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.94, 2003 (Released:2004-05-25)

【目 的】ここ数年、靴の踵を踏みつぶしてスリッパのように引きずって歩く高校生の姿が目につくようになった。どのような意識が隠されているのか、その背景を明らかにするために、女子高校生の靴や足に対する意識と実態を調査することにした。今回は通学靴に焦点をあて、靴選びや履き方に関してのアンケート調査を実施した。【方 法】愛知県下の高等学校に在籍する女子高校生に対し、通学靴の履き方の実態や靴選びに関して調査を実施した(自記式集合調査法)。調査時期は2002年12月、有効回答数は1257(通学靴を指定している高等学校759、指定していない高等学校498)であった。【結果および考察】通学靴としてローファーを毎日履いているものは48%、スニーカーは38%でローファー派の方が多かった。足で気になっていることについては、「靴ずれ」が最も多く、ローファー派では9割が訴えたが、スニーカー派では5割に過ぎなかった。その他、足部の痛みや巻き爪、外反母趾、肩こり、足の疲れなどの訴えもあり、女子高校生の多くは足の悩みを抱えていることがわかった。一方、自分の足のサイズに関しては、「測定はしていないが大体知っている」が77%、「知らない」が19%であり、正確な足のサイズへの認識度は低かった。「正確に足のサイズを測ってみたいか」では「思う」と「思わない」が半々で、足のサイズへの関心はそれほど高くないことが窺えた。通学靴の踵を「踏んでいる」のは16%で、その理由は「脱ぎ履きが簡単だから」であった。本調査の結果から、女子高校生は見た目を優先して通学靴を選び、脱ぎ履きの楽な靴を求めてサイズを選んでいることが足の悩みにつながっている可能性があることが示唆された。
著者
渡辺 澄子 片瀬 眞由美 平林 由果
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.87, 2005 (Released:2005-12-08)

目的 わが国では、足の症状で悩む人が非常に多くなってきた。それらの症状は急に現れるのではなく、幼少期からの靴の選び方や履き方に原因があるのではないかと考えられる。我々は既にわが国の幼児を対象に実態調査を行い多くの問題点を明らかにした。ここではさらに、靴文化の長い歴史をもつドイツにおける子供靴の実態を、ドイツの小学校の保護者へのアンケート調査をもとに分析し、いくつかの知見を得たので報告する。方法 調査対象者はドイツ3地域(ベルリン、フランクフルト、フライブルク各1校)計小学校3校の保護者338名である。調査時期は2004年5月_から_6月、配票留置法による自記式調査を行った。調査内容は、普段履く靴のタイプ、靴購入時の重視点、購入店、足のサイズ測定、価格、子供靴に対する不満、子供および保護者の足の健康状態、足の症状に対する対処法、子供が最初に履いた靴に対する記憶や保存等である。結果 普段履く靴のタイプは紐靴がほとんどである。留め具のない靴はほとんど履かれていない。靴購入時の重視点はフィット性と子供の足の健康であり、シューフィッターなどのいる靴専門店で足のサイズを測って購入している。普段の靴一足の平均購入価格は6570円(円換算)であり、わが国の平均価格よりかなり高い。靴購入時の不満では価格の高さを不満と答えているものが多いが、しかしながら中古靴に対して経済的だから履かせるというものはほとんどいない。子供の足の健康には非常に関心があると答えており、足のトラブル症状に対しては、専門家のいる靴店で靴を選ぶ、病院で受診していると答えていた。子供が最初に履いた靴を6割近くのものが大事に残しているのも靴文化の違いであろう。
著者
平林 由果 渡辺 澄子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.59, pp.37, 2007

【目 的】ファッションはその人のライフスタイルを反映し、個性を表現する。おしゃれをすることは、着る人の高揚感を高め、ストレスを軽減させ、免疫力を亢進させるのではないかと考えられる。そこで、気に入った服装とそうでない服装をした時にストレス負荷を行い、おしゃれの心理的効果とストレスホルモンへの影響を検討した。【方 法】ストレスの指標として、唾液中のアミラーゼ、コルチゾール、分泌型IgAを測定した。並行して服装時に生起する多面的感情状態尺度を肯定的・否定的な35項目について尋ねた。実験は女子大学生9名を被験者とし、5分間のクレペリン検査実施後、唾液を採取し、学内の人通りの多いロビーを通って売店で買い物をするというプロトコールで行った。服装条件(条件1: 気に入った服・化粧あり、条件2: Tシャツと短パン・化粧なし)を替えて同実験を実施し、その結果を比較した。【結果および考察】感情状態尺度において、実験後に条件1では肯定的感情状態の値が高くなり、条件2では否定的感情状態の値が高くなった。唾液中のアミラーゼ分泌量、IgA分泌量においては、服装条件の違いによる一定の傾向は認められなかった。コルチゾールの分泌量は9例中7例において、条件1の方が条件2よりも実験後の減少が大きく、有意差(P<0.05)が認められた。コルチゾール分泌量はストレス負荷により増加することが明らかにされている。この実験では、クレペリン検査によるストレスを買い物をすることで解消したが、気に入った服装時(条件1)の方がその効果が大きかったと推測される。これらの結果は、おしゃれを楽しむことがストレスを緩和し、心も体も元気にする可能性を示唆していると考えられる。
著者
長谷 博子 丸山 眞澄 佐橋 那央子 平林 由果
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.68, 2016

目的 生活の中の香りについて,香り付き商品の使用状況と香りに対する意識を探るため、アンケート調査を実施した. &nbsp; <br>方法 調査は,10歳代以上の男女を対象とし,2015年9月~10月に実施した.学生は集合調査法,その他は留置調査法により調査した.居住空間,衣服,身体に分け,香り付き商品の使用状況,香りに対する意識や嗜好を尋ねた.自意識尺度や生活習慣についても尋ね,それらとの関連を分析した.&nbsp; <br>&nbsp;結果 有効回答数は996部で,男性27.2%、女性72.8%であった.学生が77.7%を占めており,回答者の79.6%が10~20歳代で,30~40歳代,50~60歳代以上は,それぞれ1割程度であった.居住空間は,「何もしない」が居間・寝室・玄関では40~60%と最も多いが,香り付けには,ルームフレグランススプレー型と置き型が多く使用されていた.衣服から香りがする方が好きと回答したのは,約8割であった.香りを好む程度が高いほど、香り付けを行うという関係が認められた.衣類への香り付けには,柔軟剤や衣類用スプレー・ミストが主に使用されていた.ファッションに気を遣っている人ほど,また流行を意識している人ほど,衣類への香り付けをしていた.自意識尺度の高い人ほど衣類や身体からの香りを好み,自分や他人,居住空間のにおいを気にする傾向が確認された.このことから,香りへの意識の高さは、自意識尺度の高さと関係していることが考えられる.
著者
平林 由果 片瀬 眞由美 渡辺 澄子 栗林 薫
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.93, 2003 (Released:2004-05-25)

【目 的】制服にローファーを履いて通学する女子高校生の姿をよく目にする。ローファーは歩行に適した靴とは言えない。それにも拘わらず、ローファーを履いている高校生が多いのはなぜだろうか。そこで、高等学校における通学靴の現状を把握するため、生徒指導教諭と女子高校生を対象にアンケート調査を実施した。【方 法】調査1:愛知県下の全高等学校(男子校を除く)218校に調査用紙を送付し(郵送調査法)、通学靴に関する規定の有無とそれに関連する着衣や持ち物などに関しての規定について調査した。調査は2002年7月に実施し、127校(58.3%)から回答を得た。調査2:調査1の結果から、通学靴を指定している高等学校に対し、指定されていることに対する女子高校生の意識を尋ねる調査を実施した(自記式集合調査法)。調査時期は2002年12月、有効回答数は759であった。【結果および考察】調査1:通学靴を「指定している」高校は13%であり、すべてがローファーを指定していた。「規定を設けている」は61%であった。指定や規定を設けている理由としては、「制服との調和」、「高校生らしさ」などが多く挙げられていた。調査2:回答した高校生の67%が指定されているローファーを気に入っていた。指定靴に関して「制服との調和」、「色」は、ほぼ80%が満足していると回答したが、「価格」、「個性の表現」では、50~60%が不満足と回答した。指定靴がない場合でもローファーを履きたいというものは64%を占めており、靴を選ぶ第1の基準が「色・デザイン」であるという高校生の実態と関連していると思われる。
著者
大西 範和 斎藤 真 平林 由果 片瀬 眞由美 栗林 薫 塩之谷 香
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.41, no.2, pp.51-56, 2005-04-15 (Released:2010-03-15)
参考文献数
13

本研究の目的は, 筋電図の解析によりミュールを履いて歩行する際の身体的ストレスを評価することである. 被験者は11名の若年女性で, 50m/minの速度でトレッドミル上を, 裸足, スニーカーおよびヒール高9cmの3種類のミュールを履いて2分間歩行した. それぞれの歩行において後半1分間の上下肢の筋電図および心電図を記録した. 心拍数および歩調は, ミュールを履いて歩行した場合に, 裸足およびスニーカーと比べ統計的に有意 (p<0.05) に増加した. 股関節の屈曲, 膝関節の伸展および足関節の背屈に関係する筋において, 筋電積分値は, 裸足およびスニーカーを履いた歩行に対し, ミュールを履いた歩行の際に増加した. これらの筋活動の増加は, 爪先を上げてミュールの脱落を防止することや, 爪先と踵を同時に接地させて歩行の安定を図るための努力に関係すると推察される. ミュールを履いて歩行した際の前脛骨筋の活動増加は, 甲ストラップの装着により消失した. 歩行時にミュールを履くことで増加する身体的ストレスは, 構造を工夫することで低減され得ることが示唆された.
著者
増田 智恵 村上 かおり 平林 由果 永野 光朗
出版者
一般社団法人 日本繊維製品消費科学会
雑誌
繊維製品消費科学 (ISSN:00372072)
巻号頁・発行日
vol.50, no.2, pp.165-174, 2009

幅広い年齢の成人女子に適したITを利用した衣服購入用の情報を抽出するため,3次元人体形状イメージ分類を行い,体形イメージおよびサイズの異なる日本人成人女子のほぼ3世代(20-40-70代)の平均的3次元人体モデルを着衣基体として設定した.幅広い年齢の成人女子が評価可能なデザインイメージ評価用語を抽出し,それによる3次元着装シミュレーションによる実際のデザインイメージ評価を一連の研究として試みた.本報では実際の衣服選択のためのデザインイメージの分類と各イメージの特徴を示すデザイン要素,衣生活スタイル,印象などを抽出し,さらに具体的な服のデザイン要素からデザインイメージを予測した.高齢社会での消費者のためのネットなどを利用した衣服選択支援情報の抽出につながる情報が得られた.<br> 1. 3世代の平均的3次元人体モデルによる20種類の合計60のデザイン服のイメージをクラスタ分類した結果,前報で抽出した2つの主成分に対応したA1. レディ・フェミニン・A5. エレガント,A3. カジュアル,A4. スタンダード・レトロ,A2. シャープ・モダンの4つのイメージに分類された.サイズの異なる年代別でのデザイン服による大差はなく,同じデザイン服は同じ分類のイメージになった.<br> 2. 4つのイメージのデザイン要素,衣生活スタイル,印象などの主な特徴は次のようであった.A1&A5イメージ : スカートスーツやブラウススタイルなど,派手な色や無彩色の薄い素材の上衣でフット性の高い下衣など,背が高く体形カバーのあるデザインで,年上,異性,同年代の印象が良く,フォーマルおよびショッピング用の衣服傾向―A3イメージ : 上衣と下衣の組み合わせでキュロットやパンツにTシャツスタイルなど,柄物で柔らかい上衣,派手な色の下衣,若い年代や同性の印象が良く,家庭着で家族で利用可能な衣服傾向,A4イメージ : スカートスタイルに,柄のある袖やえり付きの上衣に派手な色の薄い素材でフット性のあるデザインの下衣など,家庭着でもフォーマルまた家族での利用も可能な汎用性のある衣服傾向一A2イメージ : パンツスーツやジャケットスタイルなど,明るく濃い色の上衣で,下衣は濃い色のミニ丈のものなど,細い体形に見えるデザインで若い年代での印象が良く,ショッピング用衣服傾向,であった.<br> 3. 4つのイメージを具体的なデザイン要素を用いて,2つの式 {<i>Y3</i>(R=0.98) : A1&A5-A3, <i>Y4</i>(R=0.96) : A4-A2} から精度良く予測可能とした.予測精度の高いデザイン要素でまとめると,A1&A5は主にフット性の高い下衣,派手な上衣,スカートスーツのデザインから<i>Y3</i>の予測値が大きく,逆のイメージのA3は主に鮮やかな色の下衣,柄物やTシャツの上衣で,上衣と下衣の組み合わせなどのデザインから<i>Y3</i>の予測値が小さく予測可能であった.A4は主に袖のある上衣と下衣はスカートのデザインから<i>Y4</i>の予測値が大きく,逆のイメージのA2は鮮やかな色,濃い色でフット性が高い下衣に対して,同じ濃い色,明るい色,無彩色でえりのあるミニ丈の上衣などで,パンツスーツなどのデザインで<i>Y4</i>の予測値が小さく予測可能であった.
著者
増田 智恵 村上 かおり 平林 由果 永野 光朗
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.57, pp.134, 2005

【目的】これまで女子大生を対象に,3次元ファッション・ファクトリ・ブティックシステムを構想し,消費者と販売間のコミュニケ_-_ションを支援する研究を行ってきた.本報では,学生を除いた成人女子の婦人服購入について,まずデザインイメ_-_ジとして捉えられている"イメ_-_ジ用語"の認識度を捉え,デザイン選択支援のための感性イメ_-_ジのキ_-_ワ_-_ド抽出を試みた.<br>【研究方法】1.イメ_-_ジ用語の抽出:2001年_から_2004年発刊のファッション雑誌約100冊から服のイメ_-_ジを表わす約1000用語を抽出,予備調査により136語にまとめた.2.イメ_-_ジ用語の分類:20代_から_70代の成人女子(九州,四国,近畿,東海,関東,東北の24都道府県在住)455名に,136用語を記したカ_-_ドを5_から_15のグル_-_プに分類,意味不明等の用語はその他として別にまとめさせた.3.分析方法:同一グル_-_プ用語を「1」,その他の用語の関係を「0」として136×136の行列を作成し,被験者単位に作成した行列を455名分合算して類似度行列を作成し,Ward法によるクラスタ分析を行った.<br>【結果・考察】1.136用語の詳細なグル_-_プとして,_丸1_レディ・ドレッシー系,_丸2_フェミニン・ゴージャス系,_丸3_大人系,_丸4_シャ_-_プ系,_丸5_モダン系,_丸6_トラッド系,_丸7_エスニック系,_丸8_カジュアル系,_丸9_レトロ系,_丸10_エレガント系,_丸11_シック系の11クラスタが抽出された.2.各クラスタの特徴をまとめると_丸1__から__丸3_は女性的,_丸4__から__丸5_はメンズライクを含む個性的,_丸6__から__丸8_は着心地の良いカジュアル的,_丸9__から__丸11_はオ_-_ソドックスで正統派的などのイメ_-_ジのデザインを示す用語となり,さらに大きくは普段非着用服のイメ_-_ジのAグル_-_プ:_丸1__から__丸5_と,普段着用服のイメ_-_ジのBグル_-_プ:_丸6__から__丸11_にまとまることがわかった.<br>本研究の一部には,平成15,16年度の栢森財団の助成を受けた.<br>