著者
牧山 正男 伊東 太一
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.73, no.9, pp.793-796,a1, 2005

水田や水路を主な生息場所とする外来種, スクミリンゴガイは, 関東以北ではなじみが薄いものの, 九州・四国地方を中心にそのイネに対する食害, 特に直播イネへの初期生育期における食害が今日では深刻な問題となっている。こうした食害の抑制には浅水管理が有効とされているが, それに対する水田管理の観点からの検討は行われていない。本報ではこのスクミリンゴガイのわが国における移入の経緯や生態について紹介し, 分布や被害の実態などについて独自のアンケートによって把握した上で, 水田浅水管理によるスクミリンゴガイ食害の抑制について, 田面均平精度と湛水深管理に着眼してモデル的に検討し, その有効性と限界について言及した。
著者
牧山 正男 井上 真美
出版者
農村計画学会
雑誌
農村計画学会誌 = Journal of Rural Planning Association (ISSN:09129731)
巻号頁・発行日
vol.31, pp.393-398, 2012-11-20
参考文献数
10
被引用文献数
1

滞在型市民農園(クラインガルテンとも呼ばれる。以下,KG)とは,宿泊可能な小屋(ラウベ)が個別に附設された市民農園である。本報では,KGに東日本大震災がもたらした影響と,それに対してKGの管理運営主体がとった対応について記録し,そこから見えてきた課題や今後の災害への備えについて,今日のKGを取り巻く状況をも一部踏まえながら整理する。対象としたのは,震源地や東京電力福島第一原子力発電所に近い,宮城県丸森町の不動尊クラインガルテンと筆甫クラインガルテン(以下,それぞれ不動尊KG,筆甫KG)である。その結果,震災発生直後,管理人たちは独自の判断により確認作業や奉仕活動を行ったこと,震災の影響でKG利用をやめた人がいる一方で,被災者や復旧工事関係者といった震災由来の新規利用者がいること,などが明らかとなった。さらに,来るべき災害に対し,利用者の安全確保に関する責任の所在の明確化や,KGの特性を活かした災害時のセーフティ・ネットとしての可能性の検討と,それを発揮するための仕組みづくりについて言及した。
著者
牧山 正男
出版者
茨城大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

茨城県霞ヶ浦周辺におけるレンコン収穫の際の濁水について,作業を行う農地や作業時間の調整などによって抑制できるのではないかとの仮説のもとで,各種の調査を行った。その結果,1)全国のレンコン収穫方法およびその変遷について整理した。また茨城県の水掘りの特異性について把握した。2)農作業の実態を踏まえて,作業を休憩している時間における節水や,洗浄水の扱いなどに一考の余地があることを提示した。