著者
大下 誠一 川越 義則 安永 円理子 高田 大輔 中西 友子 田野井 慶太朗 牧野 義雄 佐々木 治人
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.60, no.8, pp.329-333, 2011 (Released:2011-08-29)
参考文献数
11
被引用文献数
9 6

福島原子力発電所から約230km離れた,東京都西東京市における研究圃場において原発事故後に栽培された野菜及び土壌の,134Csと137Csの放射能を測定した。試料は植え付け47日後のジャガイモの葉,並びに,苗の定植40日後のキャベツの外葉を用いた。両者共,134Csと137Csの総量は9Bq/kg以下となり,摂取制限に関する指標値500Bq/kgより低い値であった。土壌は約130Bq/kgであり,天然の40Kの約290Bq/kgと比較しても低い値であった。キャベツの外葉を水で洗浄する前後の放射能像をイメージングプレートにより得たが変化は見られなかった。
著者
牧野 義雄 藤澤 浩子
出版者
一般社団法人 日本食品工学会
雑誌
日本食品工学会誌 (ISSN:13457942)
巻号頁・発行日
vol.2, no.4, pp.147-154, 2001-12-15 (Released:2010-06-08)
参考文献数
16
被引用文献数
2 2

近年, 醤油の消費量が漸減する一方, 嗜好の多様化を反映して加工調味料の需要が増える傾向にある [1] .とくに, 高濃度の天然調味料を含むストレートつゆの需要が増加している.しかし, 微生物の増殖を抑制する成分が希薄であるため, 主原料の醤油から移行する微生物によって容易に腐敗する [2, 3] .さらに, 消費者が食品添加物を敬遠する傾向があるため, 製造者は保存料の使用を控えざるを得ない現状にある.このため, ストレートつゆに対しては, 厳密な衛生管理が必要となる.そこで本研究では, 醤油中に生存する耐熱性菌を分離・同定し, つゆ中での残存および増殖状況を調査した.醤油工場から提供された濃口醤油を100℃で10min加熱し, 市販ストレートつゆの平均値と同じ成分[4] に調製した栄養寒天培地上に塗抹した.出現した2種のコロニーを再度塗抹・培養した.それぞれKP-991およびKP-992株と命名し, 斜面培地上で冷蔵保存した.分離株及び基準株であるBacillus amyloliquefaciens (Fukumoto) Priest et al.IFO-15535, B.subtilis Cohn IFO-13719, B.megateyium de Bary ATCC-14581を以後の試験: に供した.なお, 分離株の生理活性試験と16srDNA解析は, (株) NCIMBJapan (静岡県清水市) に依頼した.既報 [5] に準じて調製した5種の菌株の芽胞懸濁液を90℃で0~45min加熱し, 生存芽胞数を計測した.次に, 野口 [4] の方法でストレートつゆを試作し, 各段階での生存芽胞数を計測した.濃口醤油, 味醂, 上白糖およびグルタミン酸ナトリウムを混合・溶解し, 滅菌濾過して調製した“かえし”2.5mlに, 先に調製した芽胞懸濁液0.1mlを添加し, 80℃で1min加熱した後の生存芽胞数を計測した.鰹節, 宗田節, 鯖節を水道水とともに加熱し, 滅菌濾過して“だし”を調製した.2.6mlの“かえし”と7.5mlの“だし”を混合し, 85℃, 15minおよび90℃, 30min加熱した後の生存芽胞数をそれぞれ計測した.肉汁培地 [6] で前培養した供試菌株を2種の市販ストレートつゆS-AおよびS-B (別に成分分析を実施) に添加して, TN-2612バイオフォトレコーダー (アドバンテック東洋 (株) , 東京) で培養し, 660nmでの吸光度を経時的に測定するとともに, 検量線から乾燥菌体質量 (g・1-1) を算出した.KP-991およびKP-992株の性状をTable1に示した.カタラーゼ陽性を示し, 好気条件下で生育可能な有芽胞桿菌であることから, Bacillus属細菌と考えられた [7] .また, 50℃での生育性, 10%食塩中での生育がともに陽性で, 絶対好気性, 硝酸塩還元陽性を示すことから, 両株はB.subtilisまたはB.amyloliquefaciensである可能性が示唆された [7] .さらに, β―ガラクトシダーゼ陰性およびクエン酸を利用しないことから, B.amyloliquefaciensと同定された [7] .しかも, 16srDNA解析の結果, 両株ともB.amyloliquefaciensとの相同率が最も高いと判定された (MicroSeqTM (Applied Biosystems Japan (株) , 東京) のデータベース) .主な醤油の汚染菌はB.subtilisであると報告されているが [8, 9] , B.aynyloliquefaciensの汚染に関する報告は過去に見当たらない.ただし, この種は以前, B.subtilisに含まれていたため [10] , 醤油から分離されたB.amyloliquefaciensがB.subtilisと報告されていた可能性がある.KP-991およびKP-992株およびB.amyloliquefaciensの基準株は, B.subtilisおよびB.megateriumの基準株よりも熱に対して安定であった (Fig.1) .さらに, 前者の3株は, ストレートつゆの試作品中に最終的に残存することが確認された (Fig.2)
著者
大下 誠一 川越 義則 安永 円理子 高田 大輔 中西 友子 田野井 慶太朗 牧野 義雄 佐々木 治人
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
Radioisotopes (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.60, no.8, pp.329-333, 2011-08-15
参考文献数
11
被引用文献数
4 6

福島原子力発電所から約230km離れた,東京都西東京市における研究圃場において原発事故後に栽培された野菜及び土壌の,<SUP>134</SUP>Csと<SUP>137</SUP>Csの放射能を測定した。試料は植え付け47日後のジャガイモの葉,並びに,苗の定植40日後のキャベツの外葉を用いた。両者共,<SUP>134</SUP>Csと<SUP>137</SUP>Csの総量は9Bq/kg以下となり,摂取制限に関する指標値500Bq/kgより低い値であった。土壌は約130Bq/kgであり,天然の<SUP>40</SUP>Kの約290Bq/kgと比較しても低い値であった。キャベツの外葉を水で洗浄する前後の放射能像をイメージングプレートにより得たが変化は見られなかった。
著者
大下 誠一 牧野 義雄 川越 義則
出版者
東京大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2007

水中にマイクロ・ナノバブル(MNB)を発生させ、ナノバブルに注目して0.6nm〜6μmの範囲にある粒子径を評価した。さらに、バブルの存在が期待される水の動的特性をNMR緩和時間T_1から検討した。水は超純水製造器(Direct-Q,日本ミリポア(株))で調製し、MNBの生成にはマイクロバブル発生システム((株)ニクニ製を改良)とマイクロバブル発生装置OM4-MDG-020((株)オーラテック)を用いた。バブル径測定にはゼータサイザーNano-ZS(シスメックス(株))を用いた。前者のシステム稼備後1時間まではデータが安定せず、バブルのピーク粒径は340nm、分布範囲は120nm〜6μmであった。稼働後1.5時間には、ピーク粒径(190nm)は小粒径側にシフトした。2時間後にバブルの発生を停止した時点で、分布範囲は50nm〜1μm、ピーク粒径は120nm付近であり、これは1日後まで安定して観測されたが、2日後に165nm付近になった。また、後者のバブル発生装置を45分稼働させた場合、酸素MNBの生成後15日間は、ナノサイズのバブルが安定に存在した。一方、酸素MNBにより溶存酸素濃度が上昇し、40mg/L程度の高濃度になった。水中に微細なバブルが存在すると、水分子のネットワークに影響してT_1の変化が期待される。しかし、酸素が常磁性を有するため、単純にはT_1からバブルの影響を抽出できない。そこで、常磁性のMn2+を添加して酸素の常磁性をマスクした。10mM のMn2+溶液を調製し、これに酸素MNBを生成させた水を準備した。その結果、溶存酸素濃度(DO)が7.6mg/LのMn2+溶液に対して、この溶液に酸素MNBを生成させた水(DO=33.6mg/L)のT_1が顕著に増大した。この結果は、水中におけるナノバブルの存在を支持するものであると判断された。