著者
木村 篤信 鈴木 由里子 中茂睦裕 玉木 秀和 小林 稔
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.115, pp.15-20, 2008-11-20

創造性の求められる知的生産活動において,手書きの描画作業が用いられることは多い.われわれは,より創造的な思考を促進するために描画作業を支援する検討を行っている.本稿では,描画作業などによってアイデアを外化する際に,主体が自身の外化(描画)に対して自省的な姿勢を持っていると外化が有効に働くという可能性に着目し,この自省的な思考によって知的生産性を高める検討を行う.思考のプロセスモデルを元にした自省的思考を促進する支援要件として,脳内でアイデアを結合する回数をできる限り増やすための機能と,思いついたアイデアを円滑に形できる機能を抽出し,共同描画ツールに対して実装したので報告する.In this research, we aim to improve intellectual productivity for discussions in the office. Our approach is to activate Reflective Thinking which is to think something by thinking deeper himselffherself and his/her activities. One of the example scenes is share drawing on whiteboards or papers in the office. The prototypes which support the Reflective Thinking smoothly and augment opportunities for it are implemented with the share drawing system. This paper also reports the subjective evaluations of the prototype.
著者
玉木 秀和 東野 豪 小林 稔 井原 雅行
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.96, no.1, pp.35-45, 2013-01-01

Web会議に代表される小規模な遠隔会議システムは利用や導入の手軽さがあるが,映像,音声の品質に制限があるため,大規模で高精細な遠隔会議システムに比べ,円滑な会話がしづらい.Web会議システムを用いて,司会者のいない創造会議を実施すると,複数の参加者の発話が衝突してしまうことが多い.我々はWeb会議において発話の衝突を低減し,快適な会話を実現することを目標に研究を進めているが,発話衝突の原因とその影響は明らかになっていない.本論文では,音声会議において,発話衝突の原因の一つと考えられる音声遅延量を変化させることで,発話衝突確率の変化と,それによる精神的ストレスを測定する実験を行った.実験の結果,音声遅延量が600msの条件で発話衝突確率が最大となり,その後減少することが分かった.また発話衝突による精神的ストレスは,音声遅延量が増えるほど増加するという結果が得られた.
著者
宮狭 和大 坂内祐一 鈴木 雄士 玉木 秀和 重野 寛 岡田 謙一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.134-147, 2007-01-15
被引用文献数
1

実物体に基づいた遠隔コラボレーションでは,遠隔の実空間の間に存在する空間構造の差異を考慮する必要がある.特に既存システムではそれぞれの空間にシンタックスの異なる実物体を配置し,作業対象としてコラボレーションするものが存在しなかった.そこで本研究では,物体の表面に柔軟に貼り付けることができる「シール」の性質に着目し,これを複合現実感(MR)技術と組み合わせた手段として,仮想のシールを遠隔のそれぞれの実物体に基づいて貼り付けることで,実物体の間に存在するシンタックスの違いを吸収してユーザによる作業のセマンティックスを共有する手法を提案する.そして,実物体に対するポインティング機能を有したプロトタイプシステムを実装し評価実験を行った結果,シンタックスの異なる実物体間で,作業の情報をその意味を損なわずに共有できることが確認された.In remote collaboration based on real objects, the difference of the space structure between the remote real spaces should be considered. In conventional method it is difficult for users to collaborate based on the real objects which differ in syntax each other. To address this issue, we focus attention on a sticker or a sheet which can be attached on a physical object according to its surface. And as a method which Mixed Reality (MR) technology is combined with it, we propose an information sharing method of semantics which each remote user interacts with a real object, by using virtual sheet which can be attached to each real object according to its surface and can absorb the difference in syntax between these real objects. Then we implemented a prototype system which has pointing function and conducted experimentation. As a result it proved that it is possible to share the information of the interactions without losing the meaning between the real objects which differ in syntax each other.