著者
光田 寧 林 泰一 竹見 哲也 胡 隠樵 王 介民 陳 敏連
出版者
Meteorological Society of Japan
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.73, no.6, pp.1269-1284, 1995-12-25 (Released:2009-09-15)
参考文献数
12
被引用文献数
14 13

HEIFEプロジェクト期間中において2個のシビアストームが観測された(1992年7月19日・1993年5月5日)。ここでは乾燥地帯で発生したストームの発生機構について述べる。2つのストームは一方が数kmの積乱雲のスケール、もう一方が100kmのスコールラインのスケールであったが、ともに対流性の雲からの強い下降流で特徴づけられるという点で一致していた。これらは本質的に世界の各地で見られるストームと同じであるが、7月19日の場合では、年間雨量の3分の1に相当する30mmの雨が降り、下降流が地表に達したことで生じる発散する風速場がとらえられた。5月5日の場合では、激しい砂嵐をともない、スコールラインが狭いバンドから広いバンドに発達していくとともに、発達した状態では地表で2時間以上にもわたり強風が続いていたことが特徴的であった。
著者
塚本 修 佐橋 謙 王 介民
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.73, no.5, pp.925-935, 1995-10-25
被引用文献数
8

周囲を砂漠に囲まれた張掖(Zhangye)オアシスで放射量と乱流フラックスの観測を行ない、地表面熱収支と蒸発散量の季節変化を明らかにした。ここはHEIFEの基本観測点の一つで、オアシスを代表するものである。オアシスは砂漠に比べて植生が豊かなため上向きの短波・長波放射量が小さく結果的に純放射量が大きくなる。また、地表面での熱フラックスは潜熱フラックスが支配的で平均的なボーエン比は0.2程度である。放射フラックスと顕熱潜熱フラックスから地表面熱収支を評価すると地中熱フラックスを考慮しても年間を通じて大きな残差項があり、今後、水平方向の移流を考慮した熱収支を考える必要がある。渦相関法による水蒸気フラックスの値から季節毎に行われた強化観測期間(IOP)期間中の日蒸発散量は3.4mm(8月),1.7mm(10月),0.2mm(12月),2.8mm(5月),3.9mm(6月)という結果が得られた。一方、IOP以外の期間についても蒸発散量を評価するために、2年間の連続した鉛直プロファイルのデータを用いての推定を試みた。安定度の効果と零面変位の変化を導入することによって、渦相関法による値とほぼ一致する結果を得ることができた。これをもとにして張掖オアシスにおける通年の蒸発散量を評価した結果、535mmという値が得られた。これは気象台で蒸発計を用いて得られている年間蒸発量の約4分の1になる。
著者
光田 寧 林 泰一 竹見 哲也 胡 隠樵 王 介民 陳 敏連
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
Journal of the Meteorological Society of Japan. Ser. II (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.73, no.6, pp.1269-1284, 1995-12-25
参考文献数
12
被引用文献数
7

HEIFEプロジェクト期間中において2個のシビアストームが観測された(1992年7月19日・1993年5月5日)。ここでは乾燥地帯で発生したストームの発生機構について述べる。2つのストームは一方が数kmの積乱雲のスケール、もう一方が100kmのスコールラインのスケールであったが、ともに対流性の雲からの強い下降流で特徴づけられるという点で一致していた。これらは本質的に世界の各地で見られるストームと同じであるが、7月19日の場合では、年間雨量の3分の1に相当する30mmの雨が降り、下降流が地表に達したことで生じる発散する風速場がとらえられた。5月5日の場合では、激しい砂嵐をともない、スコールラインが狭いバンドから広いバンドに発達していくとともに、発達した状態では地表で2時間以上にもわたり強風が続いていたことが特徴的であった。