著者
寺尾 徹 村田 文絵 山根 悠介 木口 雅司 福島 あずさ 田上 雅浩 林 泰一 松本 淳
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2017年度日本地理学会春季学術大会
巻号頁・発行日
pp.100300, 2017 (Released:2017-05-03)

1. はじめにインド亜大陸北東部は,陸上における世界的な豪雨域である。とりわけメガラヤ山脈南斜面には年降水量10000mmを大きく超える地域が広がり,世界の年間雨量極値(Cherrapunjee, 26,461mm, 1860年8月~1861年7月)を持つ(木口と沖, 2010)。この領域の降水は、アジアモンスーン循環を駆動する熱源であり、当該地域に住む人々の生活に本質的な影響を与えている。われわれの研究グループは、現地の観測網の充実による降水過程の解明、過去のデータを取得、活用することによる経験的な知見の集積を進めてきた。災害や農業、公衆衛生をはじめとしたさまざまな人間活動との関係を研究してきた。 2. 観測ネットワークわれわれの研究グループは、2004年以降,当該地域に雨量計ネットワークの展開を開始しており、2007年頃までに雨量計は40台に達し、現在まで維持管理している(図1)。自動気象観測装置も活用してきた。現地気象局等との協力関係を発展させ、過去の各気象局の持つデータの収集を進めてきた。 3. データレスキューインド亜大陸北東部のうち、英領インド東ベンガルおよびアッサムの一部は、1947年にパキスタン領となり、その後バングラデシュとして独立した。そのため、現インド気象局では降水量データのデジタル化がなされていない。バングラデシュ気象局もパキスタン独立以前のデータの管理をしていない。そのため、デジタルデータは1940年代以前が空白となっている。 英領インド気象局の観測は充実しており、バングラデシュでもっとも雨の多いSylhet域の降水観測点は、現バングラデシュ気象局の観測点の数倍ある。バングラデシュ最多雨地点とされるLalakhalには現気象局の観測地点がなく、旧いデータも保管されていない。 われわれの、データレスキューで得られた1891-1942年のSylhetとLalakhalの雨量データから、この二地点の当時の降水量の差を解析した結果、Lalakhalの方が30%近く月降水量が多いことが確かめられている。 当日は、われわれの研究成果を概観し、データレスキューの現状と、われわれの雨量計の観測データやリモートセンシングデータなどを活用した、初期的な解析結果をお示しする。 図1インド亜大陸北東部に設置した雨量計観測網。雨量計は○印で表されている。参考文献木口雅司・沖大幹 2010. 世界・日本における雨量極地記録. 水文・水資源学会誌 23: 231-247.
著者
佐々 浩司 林 泰一 村田 文絵 益子 渉 橋口 浩之
出版者
高知大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

竜巻発生環境を再現する実験装置を確立し、メソサイクロン高度に依存して竜巻発生状況が異なることや竜巻の詳細構造を示した。この知見は竜巻予測精度向上に寄与すると期待される。また、レーダー観測により竜巻発生件数の多い高知県において積乱雲中の渦の8割が土佐湾海上で発生することと、福岡竜巻の事例についてメソサイクロンと竜巻渦との関係を示した。モデル解析においては非スーパーセル竜巻事例の発達過程を示した。
著者
森田 健宏 堀田 博史 佐藤 朝美 松河 秀哉 松山 由美子 奥林 泰一郎 深見 俊崇 中村 恵
出版者
日本教育メディア学会
雑誌
教育メディア研究 (ISSN:13409352)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.61-77, 2015 (Released:2017-09-14)
参考文献数
40

乳幼児のメディア使用については、その賛否や使用のあり方など、わが国でも様々な研究や提言等が見られるが、それらに大きな影響を及ぼしている先行的な知見の1つにアメリカの専門機関における声明文等がある。本研究では、最近発表されたアメリカ小児科学会(AAP)の「Media Use by Children Younger Than 2 Years.(2011年11月)」およびアメリカ幼児教育協会(NAEYC)「Technology and Interactive Media as Tools in Early Childhood Programs Serving Children from Birth through Age 8.(2012年1月)」の内容について、関連する文献と共に調査し、わが国における今後の乳幼児のメディア使用の課題について検討した。
著者
奥田 泰雄 林 泰一 横木 研 丸山 敬
出版者
一般社団法人 日本風工学会
雑誌
風工学シンポジウム論文集 第18回風工学シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
pp.000038, 2005 (Released:2005-07-20)

When Typhoon Maemi passed over the Miyako Island, maximum instantaneous wind speed 74.1 m/s and minimum atmospheric pressure 912 hPa were observed at Miyakojima Local Meteorological Observatory on September 11, 2003. In connection with this high wind, the serious wind damage occurred on the Miyako Island since the 3rd Miyakojima Typhoon in 1968. We already reported on the meteorological situation and the high wind damage in Miyako Islands in some reports. As a result of investigating about the high wind of Typhoon Maemi using meteorological data, such as weather survey data in weather government offices and a weather radar echo charts, it turns out that the high wind were observed under the strong rain band on the west of the ring inside the double eye of the typhoon in this paper. We also classify the damage situation of buildings and structures and compare wind speed records observed at Miyakojima Local Meteorological Observatory with wind loads in Japan Building Code.
著者
松本 淳 林 泰一 山根 悠介 小林 茂 寺尾 徹 山本 晴彦 釜堀 弘隆 久保田 尚之 赤坂 郁美 福島 あずさ 村田 文絵 藤波 初木 加藤 内藏進
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2014-05-30

国内で実施中のデータレスキュー研究活動をまとめ、国際的活動と連携するACRE-Japanを、本研究を中核として組織し、アイルランドと北京で開催された国際会議報告を国際共著論文にまとめた。またMAHASRIプロジェクトの後継となるアジアモンスーンに関する国際共同研究の立案を開始し、国内・国際ワークショップを主宰した。南アジアについては、旧英領インドの現ミャンマー・バングラデシュ領内の日降水量データの原本照合・品質チェックが完了し、過去120年スケールの長期変化傾向についての解析を進めた。インド北東部チェラプンジの104年間の日降水量データから、インド北東部のモンスーン活発期の発生機構を明らかにした。バングラデシュの1955年~1980年後半、インドアッサム州の1930年~1950年代後半までのシビアローカルストームデータベースを構築し、発生日の長期変動について解析した。スリランカの1860年代以降の日降水量データ収集した。東南アジアについては、フィリピンの過去115年間のモンスーン開始期および20世紀後半以降における降水の季節変化パターンの長期変動を解明した。日本とフィリピンの過去120年間の台風活動を調べ、近年の大きな被害を出した台風と類似の台風が過去にも上陸していたことを示した。中国については、日降水量データ(Zi-ka-wei)1890年代~1930年代のデジタル化を完了した。樺太、朝鮮、北支那における気象データの統合と検証を行い、東北部黒龍江省における温暖化解析と水稲冷害のリスク解析、東北部・内蒙古自治区の乾燥地帯における雨季の変動解析を行った。帝国日本の気象観測ネットワークに関する2冊の書籍を刊行した。東アジアの多彩な季節サイクルの長期変動解明を行なった。日本については、東海・四国地方の明治・大正期の日降水量データをデジタル化し、大雨発生の長期変化等を解析した。
著者
西園 昌久 高橋 流里子 対馬 節子 松永 智子 福屋 靖子 土屋 滋 大貫 稔 高橋 美智 浅野 ふみぢ 小松崎 房枝 鈴木 小津江 平山 清武 中田 福市 鈴木 信 壁島 あや子 名嘉 幸一 鵜飼 照喜 福永 康継 浪川 昭子 高田 みつ子 岩渕 勉 森脇 浩一 加藤 謙二 早川 邦弘 森岡 信行 津田 司 平野 寛 渡辺 洋一郎 伴 信太郎 木戸 友幸 木下 清二 山田 寛保 福原 俊一 北井 暁子 小泉 俊三 今中 孝信 柏原 貞夫 渡辺 晃 俣野 一郎 村上 穆 柴崎 信吾 加畑 治 西崎 統 大宮 彬男 岩崎 徹也 奥宮 暁子 鈴木 妙 貝森 則子 大橋 ミツ 川井 浩 石川 友衛 加世田 正和 宮澤 多恵子 古賀 知行 西川 眞八 桜井 勇 三宅 史郎 北野 周作 竹洞 勝 北郷 朝衛 橋本 信也 斉藤 宣彦 石田 清 畑尾 正彦 平川 顕名 山本 浩司 庄村 東洋 島田 恒治 前川 喜平 久保 浩一 鈴木 勝 今中 雄一 木内 貴弘 朝倉 由加利 荻原 典和 若松 弘之 石崎 達郎 後藤 敏 田中 智之 小林 泰一郎 宮下 政子 飯田 年保 奥山 尚 中川 米造 永田 勝太郎 池見 酉次郎 村山 良介 河野 友信 G. S. Wagner 伊藤 幸郎 中村 多恵子 内田 玲子 永留 てる子 石原 敏子 河原 照子 石原 満子 平山 正実 中野 康平 鴨下 重彦 大道 久 中村 晃 倉光 秀麿 織畑 秀夫 鈴木 忠 馬渕 原吾 木村 恒人 大地 哲郎 宮崎 保 松嶋 喬 桜田 恵右 西尾 利一 森 忠三 宮森 正 奥野 正孝 江尻 崇 前沢 政次 大川 藤夫 関口 忠司 吉新 通康 岡田 正資 池田 博 釜野 安昭 高畠 由隆 高山 千史 吉村 望 小田 利通 川崎 孝一 堀 原一 山根 至二 小森 亮 小林 建一 田中 直樹 国府田 守雄 高橋 宣胖 島田 甚五郎 丸地 信弘 松田 正己 永井 友二郎 向平 淳 中嶌 義麿 鎮西 忠信 岡田 究 赤澤 淳平 大西 勝也 後藤 淳郎 下浦 範輔 上田 武 川西 正広 山室 隆夫 岡部 保 鳥居 有人 日向野 晃一 田宮 幸一 菅野 二郎 黒川 一郎 恩村 雄太 青木 高志 宮田 亮 高野 純一 藤井 正三 武内 恵輔 南須原 浩一 佐々木 亨 浜向 賢司 本田 麺康 中川 昌一 小松 作蔵 東 匡伸 小野寺 壮吉 土谷 茂樹 岡 国臣 那須 郁夫 有田 清三郎 斎藤 泰一 清水 強 真島 英信 村岡 亮 梅田 典嗣 下条 ゑみ 松枝 啓 林 茂樹 森 一博 星野 恵津夫 正田 良介 黒沢 進 大和 滋 丸山 稔之 織田 敏次 千先 康二 田中 勧 瓜生田 曜造 尾形 利郎 細田 四郎 上田 智 尾島 昭次 大鐘 稔彦 小倉 脩 林 博史 島 澄夫 小池 晃 笹岡 俊邦 磯村 孝二 岩崎 栄 鈴木 荘一 吉崎 正義 平田 耕造
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.145-173, 1984-06-25 (Released:2011-08-11)
著者
鄭 瑞雄 田中 勝 滝澤 あゆみ 福島 一彰 小林 泰一郎 矢嶋 敬史郎 味澤 篤 今村 顕史
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.96, no.5, pp.215-218, 2022-09-20 (Released:2022-09-20)
参考文献数
16

Herein, we report the case of a 69-year-old Japanese woman who was admitted to our hospital with dyspnea and severe hypoxia. She was diagnosed as having COVID-19 with ARDS. At the same time, her HIV screening test result also returned positive. However, the results of confirmatory tests for HIV, including Western blot analysis and RNA PCR were negative. Finally, the patient was diagnosed as having a false-positive result of the HIV screening test due to cross-reactivity between HIV gp41 antigen and SARS-CoV-2 antibody; similarity between HIV and SARS-CoV-2 spike proteins could yield false-positive results of HIV screening. Our case implies the importance of recognizing the possibility of a false-positive result of HIV screening in patients with COVID-19.
著者
西園 昌久 高橋 流里子 対馬 節子 松永 智子 福屋 靖子 土屋 滋 大貫 稔 高橋 美智 浅野 ふみぢ 小松崎 房枝 鈴木 小津江 平山 清武 中田 福市 鈴木 信 壁島 あや子 名嘉 幸一 鵜飼 照喜 福永 康継 浪川 昭子 高田 みつ子 岩渕 勉 森脇 浩一 加藤 謙二 早川 邦弘 森岡 信行 津田 司 平野 寛 渡辺 洋一郎 伴 信太郎 木戸 友幸 木下 清二 山田 寛保 福原 俊一 北井 暁子 小泉 俊三 今中 孝信 柏原 貞夫 渡辺 晃 俣野 一郎 村上 穆 柴崎 信吾 加畑 治 西崎 統 大宮 彬男 岩崎 徹也 奥宮 暁子 鈴木 妙 貝森 則子 大橋 ミツ 川井 浩 石川 友衛 加世田 正和 宮澤 多恵子 古賀 知行 西川 眞八 桜井 勇 三宅 史郎 北野 周作 竹洞 勝 北郷 朝衛 橋本 信也 斉藤 宣彦 石田 清 畑尾 正彦 平川 顕名 山本 浩司 庄村 東洋 島田 恒治 前川 喜平 久保 浩一 鈴木 勝 今中 雄一 木内 貴弘 朝倉 由加利 荻原 典和 若松 弘之 石崎 達郎 後藤 敏 田中 智之 小林 泰一郎 宮下 政子 飯田 年保 奥山 尚 中川 米造 永田 勝太郎 池見 酉次郎 村山 良介 河野 友信 Wagner G. S. 伊藤 幸郎 中村 多恵子 内田 玲子 永留 てる子 石原 敏子 河原 照子 石原 満子 平山 正実 中野 康平 鴨下 重彦 大道 久 中村 晃 倉光 秀麿 織畑 秀夫 鈴木 忠 馬渕 原吾 木村 恒人 大地 哲郎 宮崎 保 松嶋 喬 桜田 恵右 西尾 利一 森 忠三 宮森 正 奥野 正孝 江尻 崇 前沢 政次 大川 藤夫 関口 忠司 吉新 通康 岡田 正資 池田 博 釜野 安昭 高畠 由隆 高山 千史 吉村 望 小田 利通 川崎 孝一 堀 原一 山根 至二 小森 亮 小林 建一 田中 直樹 国府田 守雄 高橋 宣胖 島田 甚五郎 丸地 信弘 松田 正己 永井 友二郎 向平 淳 中嶌 義麿 鎮西 忠信 岡田 究 赤澤 淳平 大西 勝也 後藤 淳郎 下浦 範輔 上田 武 川西 正広 山室 隆夫 岡部 保 鳥居 有人 日向野 晃一 田宮 幸一 菅野 二郎 黒川 一郎 恩村 雄太 青木 高志 宮田 亮 高野 純一 藤井 正三 武内 恵輔 南須原 浩一 佐々木 亨 浜向 賢司 本田 麺康 中川 昌一 小松 作蔵 東 匡伸 小野寺 壮吉 土谷 茂樹 岡 国臣 那須 郁夫 有田 清三郎 斎藤 泰一 清水 強 真島 英信 村岡 亮 梅田 典嗣 下条 ゑみ 松枝 啓 林 茂樹 森 一博 星野 恵津夫 正田 良介 黒沢 進 大和 滋 丸山 稔之 織田 敏次 千先 康二 田中 勧 瓜生田 曜造 尾形 利郎 細田 四郎 上田 智 尾島 昭次 大鐘 稔彦 小倉 脩 林 博史 島 澄夫 小池 晃 笹岡 俊邦 磯村 孝二 岩崎 栄 鈴木 荘一 吉崎 正義 平田 耕造
出版者
Japan Society for Medical Education
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.15, no.3, pp.145-173, 1984
著者
松本 淳 浅田 晴久 林 泰一
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.237, 2008

<BR> バングラデシュは、日本の4割弱程度の国土面積に日本以上の1億3千万人の人口を抱える世界有数の高人口密度国である。夏に雨が集中する南アジアのモンスーン気候下にあって、ヒマラヤ山脈に源を発するガンジス川・ブラマプトラ川という南アジア有数の大河川下流部にあり、世界最多雨地であるメガラヤ高原を流域にもつメグナ川も国内で合流してベンガル湾へと注いでいることから、しばしば大洪水に見舞われている。またベンガル湾に発生するサイクロンによる被害も大きく、高潮を伴うと数十万人規模の死者が出ることもある。国土の大部分が標高10m以下の低平な平野であることから、今後の地球温暖化の進行による海面上昇によって、洪水や高潮災害がいっそう拡大することも懸念されている。本報告では、バングラデシュにおける洪水およびサイクロン災害の状況に関して述べる。
著者
光田 寧 林 泰一 竹見 哲也 胡 隠樵 王 介民 陳 敏連
出版者
Meteorological Society of Japan
雑誌
気象集誌. 第2輯 (ISSN:00261165)
巻号頁・発行日
vol.73, no.6, pp.1269-1284, 1995-12-25 (Released:2009-09-15)
参考文献数
12
被引用文献数
14 13

HEIFEプロジェクト期間中において2個のシビアストームが観測された(1992年7月19日・1993年5月5日)。ここでは乾燥地帯で発生したストームの発生機構について述べる。2つのストームは一方が数kmの積乱雲のスケール、もう一方が100kmのスコールラインのスケールであったが、ともに対流性の雲からの強い下降流で特徴づけられるという点で一致していた。これらは本質的に世界の各地で見られるストームと同じであるが、7月19日の場合では、年間雨量の3分の1に相当する30mmの雨が降り、下降流が地表に達したことで生じる発散する風速場がとらえられた。5月5日の場合では、激しい砂嵐をともない、スコールラインが狭いバンドから広いバンドに発達していくとともに、発達した状態では地表で2時間以上にもわたり強風が続いていたことが特徴的であった。
著者
西嶋 一欽 丸山 敬 林 泰一 高橋 徹 友清 衣利子 伊藤 耕介
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2020-04-01

本研究は、台風に先回りして容易に設置可能な風圧計測デバイスを開発することで、台風通過時に建築物が密集した都市部に位置する低層建築物に作用する風圧を実測する。さらに、実測した建築物に対して、その周辺の遮蔽物の有無を段階的に変化させた風洞実験を実施し、実測値と比較することで、都市部に位置する低層建築物に作用する風圧特性を決定づける要因を類型化し、周辺環境の何をどこまで再現すれば十分な精度で風圧を評価できるかを明らかにする。得られた知見を用いれば、都市のどこに大きな風圧が作用し得るかを明らかにすることが可能になり、都市型強風災害リスク分析の高度化や耐風補強に関する意思決定に貢献できる。
著者
前迫 孝憲 内海 成治 松河 秀哉 西端 律子 小池 敏英 吉冨 友恭 今井 亜湖 シルバ セシリア 重田 勝介 森川 治 森 秀樹 西森 年寿 奥林 泰一郎 中澤 明子
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

教育用地域情報基盤としての5GHz帯無線アクセスシステム(包括免許を得て運用)や光ファイバ通信網(地域学校のクラウドコンピューティング・システムによる広域支援等)、衛星通信網(JAXA 超高速インターネット衛星「きずな」を活用したeラーニング実験等)と、それらを相互接続した教育情報基盤の検証や高精細HD 映像による遠隔映像対話環境「超鏡」の開発、特別支援や地域教材におけるネットワークや情報技術の活用を試みた。
著者
里村 雄彦 林 泰一 安成 哲三 松本 淳 寺尾 徹 上野 健一
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2004

2004年7月および2005年3月の2回にわたりカトマンズ(ネパール)のネパール水文気象局本局を訪問し,既存の気象・気候データの所在,保存方法・形態,デジタル化の手順や収集の可能性について調査を行った。また,2004年10月7日には,第1回の現地調査の結果をふまえてアクロス福岡にて国内打合せ会議を開き,第2回現地調査項目および将来の国際共同研究計画への戦略について議論を行った。これらの内容は以下の通り:1)国内会議・南アジア(特にネパール・バングラとインド北部)における雨とそれに関わる大気状態の観測に取り組む必要がある。世界的に見て顕著な降水がある領域であるが、観測・データの制約、研究の少なさのために、まだ基本的な事実自体が十分に解明されていない状況にある。改めて降水の実態把握にこだわる意味は大きい。また,降水量予測もターゲットにするべきであろう。・新しい測器・データの利用と、特別観測、更た新しい研究ツールとしての数値モデルを有効に活用することを通じて、南アジアの降水メカニズムに関する知見を深めていくことを重視すべきである。2)現地調査・地上観測点は多いが,高層観測は全く行っていない。24時間観測をしているのはカトマンズ空港1地点のみであり,他は夜間の観測を行っていない。多くの観測点は日平均値,最大・最小のみの報告を行っている。・最新の自動気象観測装置が数点入っているが、試験導入という位置づけであり,機器の維持・整備の状況に差が大きい。カトマンズ市内の機器を調査した結果,カトマンズ空港以外のデータは研究に利用できない可能性が高い。・高層観測を今後の共同研究で実施する重要度は大きいが,技術的な困難も大きい。・DHMのShrestha長官と面談し、低緯度モンスーン地帯の急峻山脈南山麓という世界的に特殊な環境に起因する気象擾乱や災害について情報交換を行った。また、今後の国際共同研究に向けて具体的な観測項目、そのための事務的な準備などについても打ち合わせた。なお,これらの結果をふまえて実際の国際共同研究を行うため,平成17年度科学研究費基盤Aの申請を行った。
著者
坪木 和久 上田 博 篠田 太郎 出世 ゆかり 中北 英一 林 泰一 中北 英一 林 泰一
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2006

2006年にドップラーレーダを、宮古島と多良間島に移設し観測を行った。2006年は梅雨、台風3、5、13号の観測を実施した。2007年は台風12号と15号の観測を行い、これらの台風の詳細な構造を明らかにした。観測領域の36時間予報実験を毎日行った。雲解像モデルを用いて観測された台風の超高解像度のシミュレーションを行い、発達メカニズムや構造を明らかにした。レーダデータの雲解像モデルへのデータ同化法を開発し、高精度量的予測に向けた開発を行った。台湾の研究者と国際協力を進めた。
著者
奥田 泰雄 桂 順治 藤井 健 林 泰一
出版者
Japan Association for Wind Engineering
雑誌
日本風工学会論文集 (ISSN:13493507)
巻号頁・発行日
vol.82, pp.69-80, 2000-01-31
被引用文献数
2

Meteorological elements on the Tyhoon 9807(Vicki) were investigated with the weather observation network at fire stations in the Kinki and Chubu districts. There were 4 areas in Wakayama, Nara and Mie, where the daily maximum instantaneous wind velocities exceeded 50m/sec. At Tanabe City in Wakayama the daily maximum instantaneous wind velocity was measured almost simultaneously with the minimum atmospheric pressure. In the other areas the max instantaneous wind velocity was measured almost one-hour after the daily minimum atmospheric pressure occurred. The other meteorological elements on the ground in Typhoon 9807, temperature, humidity, precipitation and pressure, were measured in detail with the weather observation network at fire stations.
著者
松本 淳 久保田 尚之 藤部 文昭 林 泰一 山本 晴彦 財城 真寿美 寺尾 徹 村田 文絵 高橋 幸弘 山下 幸三 赤坂 郁美 遠藤 伸彦 森 修一 釜堀 弘隆 高橋 洋 山根 悠介 大塚 道子 遠藤 洋和
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-11-18

日本を含むアジア諸国における紙媒体や画像での日降水量データや台風経路等をデジタル化したデータセットを作成し、モンスーンアジア域における降雨強度の長期変化を解析した。その結果、日本では1930年以降、東北日本を中心に降雨強度が大きくなっていた。フィリピンでは1950年以降の夏季には強雨の増加傾向が、冬季には西海岸で乾燥の強化傾向がみられた。1940年代以前の傾向はこれらとは異なり、近年の変化傾向は数十年スケールでの変動の一部とみられる事、エルニーニョと地球温暖化の影響の両方の影響を受けている可能性が高い事がわかった。中部ベトナムでも近年の傾向と1940年以前の傾向に違いがみられた。