著者
田中 秀磨 王 立華 市川 隆一 岩間 司 小山 泰弘
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 D (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.J96-D, no.8, pp.1913-1924, 2013-08-01

情報の発信源の特定や物流の経由地点など,位置情報の利用が普及拡大している.またクラウド環境においては,ユーザ認証やアクセス制御にこれまで以上の安全性が要求され,位置情報や時刻など物理的な情報を組み合わせる手法も検討されている.このように位置情報を利用する場面が多々出現している状況であるが,位置情報とは座標であり不変的な情報のため,発信者の主張を信用するのみで信頼性が乏しいという問題がある.更に位置を詐称していることをネットワークプロトコルで見破ることは難しい,という欠点もある.そこで位置情報そのものの正当性を示す認証方式が必要である.本論文では準天頂衛星及び地上放送の電磁波を利用して,準同型暗号による位置情報を認証するプロトコルを2種類提案する.
著者
王 立華
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ISEC, 情報セキュリティ (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.108, no.473, pp.563-568, 2009-03-02

1996年満保らが初めてプロキシ署名システムを提案して以来、プロキシ暗号システムについては充分に研究され、実り多い研究成果が得られている。プロキシ暗号システムはプロキシ(代理人)の役割より大きく三種類に分けられる。(1)代理復号:ユーザの公開鍵によって暗号化された暗号文を、プロキシ(Proxy decryptor)を介することで、このユーザに代わって暗号文を復号できる暗号手法;(2)代理署名:ユーザの秘密鍵を渡すことなく,プロキシ(Proxy signer)を介することで、このユーザに代わって署名を行うことを可能とする技術;(3)代理再暗号化:ユーザの公開鍵によって暗号化された暗号文を、プロキシ(Proxy re-encryptor)が仲介することで他のユーザの秘密鍵による復号が可能な暗号文へ変換する仕組み。既存の提案は全て単機能を持っているが、実社会の要望に応えるために、多機能を有することが望ましい。例えば、ボスの秘書さんが下記のことを行うとする:ア)受け取った日常仕事内容に関する暗号文をボスの代わりに復号する;イ)業務関係資料の暗号文を受け取った場合は、そのまま無ボスに渡す;ウ)ボスが不在の時、受け取った業務関係資料をボスが指定した方へ内容を読まず再暗号化して転送する。この場合、代理復号と代理再暗号化の機能を同時に有するプロキシ暗号システムが存在すれば、暗号理論的にも効率性がよく、また実社会における利便性も高い。そこで、このような実社会の要請に応えるために、代理復号、代理再暗号など機能を同時に有する二機能付きプロキシ暗号システムを提案する。多機能プロキシ付きセンサーネットワークはその一例である。
著者
王 立華 WANG Licheng CAO Zhenfu 満保 雅浩 SHAO Jun 青野 良範 BOYEN Xavier LE Trieu Phong 田中 秀磨 早稲田 篤志 野島 良 盛合 志帆
出版者
独立行政法人情報通信研究機構
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

従来の公開鍵暗号システムは量子計算機の発展に伴い安全性が揺らぎつつあるため、Lattice暗号と非可換暗号の研究によって、量子攻撃に耐えられる新しい暗号の構築を目指している。一方、クラウドコンピューティングというネットワーク環境が発展するにつれて、利便性が要求されると同時に、安全面やプライバシー保護への需要も高まってくる。そこで、この需要に応じる代理再暗号(PRE)や準同型暗号など暗号プリミティブとLattice、Braidなど非可換代数構造のプラットフォームを結合して、量子攻撃に耐えられ、クラウドなど新な応用環境に適応する長期利用可能な新しい暗号方式を設計することが本課題の目的とする。