著者
田中 大祐
出版者
一般社団法人 日本薬剤疫学会
雑誌
薬剤疫学 (ISSN:13420445)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.77-90, 2017-03-31 (Released:2017-05-25)
参考文献数
37

医薬品は様々な疾病の治療やコントロールに重要な役割を果たしている.しかしながら,医薬品はこのようなベネフィットをもたらす一方で,有害反応を引き起こすこともある.医薬品は,そのリスクとベネフィットを正しく理解し,適正に使用されることにより,その価値を最大限に発揮することができる.そのためには,臨床使用における医薬品の安全性の評価とモニタリングが欠かせない.つまり,適切に機能するファーマコビジランスシステムが必要である.WHO は公衆衛生に関する国連の専門機関であり,世界の人々の健康を守るための広範な活動を行っている.この活動には,ファーマコビジランスも含まれており,国際医薬品モニタリング制度を実施している.WHO のファーマコビジランス活動は,WHO 本部にある必須医薬品部の医薬品安全グループが総括している.WHO はファーマコビジランスを⌈医薬品の有害な作用やその他の医薬品に関連する問題の検出,評価,理解及び予防に関する科学と活動⌋と定義している.⌈その他の医薬品に関連する問題⌋には,例えば,規格外医薬品,医療過誤,有効性の欠如,乱用・誤用,偽造医薬品などが含まれる.国連ミレニアム開発目標をはじめとした国際社会の努力を通じて,必須医薬品へのアクセスは世界的に改善されてきている一方で,ファーマコビジランスシステムの発展は,まだ十分とはいえない状況である.ファーマコビジランスシステムが十分ではない国にも新たな医薬品が導入され始めている現状は非常に懸念される.本稿では WHO のファーマコビジランス活動の中心となる WHO 国際医薬品モニタリング制度について,その経緯,概要および現状について取り上げるとともに,WHO におけるファーマコビジランス活動の中核を担っている医薬品安全グループが実施している活動,業務内容について記載する.
著者
田中 大祐
出版者
一般社団法人 日本薬剤疫学会
雑誌
薬剤疫学 (ISSN:13420445)
巻号頁・発行日
vol.20, no.2, pp.43-53, 2015-12-31 (Released:2016-02-04)
参考文献数
23
被引用文献数
1 1

ワクチンは人類史上で最大の公衆衛生上の成功の一つとされている.現在,予防接種は全世界で毎年250万人の子供の死亡を防いでいる.予防接種は,人の健康に関する権利の重要な要素の一つであり,個人,コミュニティ,そして政府の責任であるとも考えられている.各国における予防接種プログラムに使用されるワクチンは,適正に使用すれば概して安全かつ有効であると考えられる.しかし,他の医薬品と同様にゼロリスクではなく,予防接種後に副作用が生じる場合がある.このため,予防接種プログラムを成功させるためには,ファーマコビジランス活動を通じて,ワクチンのリスクとベネフィットのバランスを継続的に監視し,適切な情報提供を行うことにより,一般からの信頼を得ることが重要である.ワクチンをはじめとする医薬品は,リスクとベネフィットを正しく理解し,適正に使用されることにより,その価値を最大限に発揮することができる.ファーマコビジランスは世界保健機関 (World Health Organization: WHO) により「医薬品の有害な作用または医薬品に関連する諸問題の検出,評価,理解及び予防に関する科学と活動」と定義され,医薬品のリスクとベネフィットのバランスを正しく評価するために欠かせない存在である.WHO では,世界におけるワクチン接種率のさらなる向上を目指していると同時に,デング熱やマラリアなど新たなワクチンの開発にも乗り出している.また,先進国,途上国間でのワクチン接種開始ラグが減少しているとともに,様々な技術協力等により様々なワクチンが途上国でも製造されている.このため,ワクチンの接種率が増加し,新規のワクチンも含め,多種多様なワクチンが世界的に投与されるようになってきた.ワクチンのファーマコビジランスの重要性はますます増加し,ワクチンの安全性を確保するための様々な国際協力も積極的に行われてきている.このような状況の下,ワクチンのファーマコビジランスに関して,WHO の動きを中心としてグローバルな動きについて記載する.
著者
田中 大祐 加賀谷 重浩 中村 省吾 酒徳 昭宏
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

富山県の立山浄土山山頂付近と富山大学屋上の2地点で採取した大気試料中の細菌群集と真核生物群集の特徴をPCR-DGGE法で比較した。その結果,立山と富山大学屋上の2地点の細菌群集構造は大きく異なっていると考えられたが,真核生物群集構造は類似している可能性が示された。また,大気から単離した赤色色素産生細菌3株は,紫外線(UV-B,UV-C),乾燥,過酸化水素などの環境ストレスに対して耐性を示し,大気環境中での生存に適した性質を持っていると考えられた。
著者
松木 則夫 田中 大祐
出版者
Japan Society for Equilibrium Research
雑誌
Equilibrium Research (ISSN:03855716)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.3-6, 2001 (Released:2009-06-05)
参考文献数
10

Suncus murinus belongs to insectivora and has been developed as a laboratory animal in Japan. It is relatively small in size (male: 50-70g, female: 30-50g), and there are no problems in the handling, housing and breeding of the animal. We have found that administration of emetogenic drugs, X-ray irradiation and oscillation easily causes emesis in this animal. Since simple reciprocal shaking (frequency: 1 Hz, amplitude: 4cm) is enough to induce vomiting within as short as 2 min, Suncus murinus is currently the most sensitive animal to motion sickness. Information conserning the purchase and special animal chow is available at the Central Institute for Experimental Animals.Our knowledge of emesis and motion sickness is still very poor. The presence of a "vomiting center" and a "CTZ: chemoreceptor trigger zone" were proposed about a half century ago but substantiating evidence is still lacking. Antiemetic dugs have been developed to reduce the number of vomiting episodes; however, in terms of quality of life, complete blockade of nausea rather than vomiting is desirable. We believe that Suncus murinus will be a useful experimental animal for research on emesis and the development of new antiemetic drugs.