著者
田中 孝幸 安東 敏彦 高橋 三雄 石坂 裕子 谷 瑞希 山門 實
出版者
公益社団法人 日本人間ドック学会
雑誌
人間ドック (Ningen Dock) (ISSN:18801021)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.24-28, 2007-06-29 (Released:2012-08-20)
参考文献数
21

目的:環境の変化や人間関係,過労などに心身の適応が困難な場合,精神的身体的緊張を引き起こし様々なストレス疾患が表れる.一方で,アミノ酸を摂取することによってストレスに対する抵抗性が高まることを示す研究結果が報告されており,ストレス下において血中アミノ酸パターンが変化していると予測された.今回は,アミノ酸を測定することにより,ストレス疾患の早期発見・治療につながる可能性が得られたので報告する。方法:ストレス負荷の定量的評価として当センターで用いているストレス関連問診票より職業性ストレス簡易調査票に対応する問診項目を抽出しスコア化した.また,当センターの問診票からDSM-IV(Diagnostic and Statistical Manualof Mental Disorder,4th ed)診断基準を準用し,大うつ病を判定した.上記ストレス問診結果と血中アミノ酸の解析を行った.成績:「ストレスなし」群をコントロールとして,他の群と各アミノ酸の血中濃度を比較したところ,「抑うつ」群および「大うつ病」で有意にリジンが低下していた.また,うつ病患者においてトリプトファンの低下が報告されているが,今回の結果でも大うつ病にてトリプトファンの有意な低下がみられた.結論:人間ドックにおけるアミノ酸測定は,ストレス群のようなうつ病予備軍の発見・治療において有用な情報を提供できる可能性があると言える.
著者
田中 孝幸 桐野 秋豊 箱田 直紀
出版者
九州東海大学農学部
雑誌
九州東海大学農学部紀要 (ISSN:02868180)
巻号頁・発行日
vol.20, pp.1-7, 2001
被引用文献数
1

ワビスケツバキ19品種について形態学的及び歴史的に調査を行った.その結果,'太郎冠者'はピタルディツバキC.pitardiiとヤブツバキC.japonica間のF1雑種で,'胡蝶侘助'が花壇地錦抄に現れた1695年以前に起源があるものと思われた.さらに,'太郎冠者'以外のワビスケツバキ品種群は2つのグループ,すなわち,狭義のワビスケツバキ品種群と'西王母'タイプのもの及びそれらの中間の形質を持つものに分けられた.広義のワビスケツバキ品種群をピタルディツバキC.pitardiiとヤブツバキC.japonica間のF1雑種('太郎冠者')あるいは戻し交雑世代のもの(多くはBC1)であると定義した.
著者
水谷 高幸 田中 孝幸
出版者
一般社団法人 園芸学会
雑誌
園芸学研究 (ISSN:13472658)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.17-21, 2008 (Released:2008-01-25)
参考文献数
11

レタスの系統維持のため花茎の節培養を行った.レタスとL. serriolaの雑種およびレタスの四倍体は34から40節で花芽を形成し,播種後110日あるいは140日にはそれぞれの株の頂部から順に開花した.2次花茎の節の外植体からの葉芽形成率は四倍体レタスでは44.8%,L. serriola × レタスでは19.9%であったが,これは四倍体レタスの方が発育は遅く,外植体における花芽の形成が進んでいなかったためと考えられた.花芽発育ステージの遅い主茎の低い節位から発生した2次花茎の外植体も上位の節位の外植体より葉芽形成率が高かった.また,主茎の頂部の頭花が開花した株の2次花茎の節の外植体の葉芽形成率は5.6%と低く,発育ステージが遅く頭花の未開花の外植体のそれは55.1%と高かった.さらに,2次花茎の節位が主茎側に近いものほど葉芽形成率が高かった.得られた葉芽は移植後,発根し,馴化した後に,開花結実した.本研究で明らかになった抽だい開花しているレタスの花茎の節を培養して,葉芽形成を誘導する方法は,種子を生産した後においても,その個体を維持することに役立つものと思われた.
著者
原田 二郎 田中 孝幸
出版者
農林省北陸農業試験場
巻号頁・発行日
no.25, pp.65-78, 1983 (Released:2011-03-05)
著者
田中 孝幸
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.452-456, 1988 (Released:2007-07-05)
参考文献数
10
被引用文献数
3 4

ツバキ属植物が自家不和合性を持つことを利用して‘凱旋’と類似品種の同定を次のような考えで行った.すなわち, 1) A×Bの交雑で結実が見られない時, AとBとは同じクローンであるか, または偶然に同じ自家不和合遺伝子を持っている, 2) A×Bの交雑で結実が見られた時, AとBとは異なるクローンである. このことを利用して, ‘紅玲’, ‘楊貴妃’と‘凱旋’とが同じクローンであろうと推定した. その検定期間を短縮し, より正確なデータを得るため, 柱頭内での花粉管の伸長と胚珠内での受精の有無を調べた. 後者の方法で, 受粉後9日目から自家授粉と他家授粉との区別が明らかとなった.
著者
田中 孝幸 水谷 高幸 柴田 道夫 谷川 奈津 Parks Clifford R.
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.74, no.6, pp.464-468, 2005-11-15
被引用文献数
2

これまでに, ハルサザンカCamellia×vernalis T. Tanaka et al.は, 形態, 染色体およびアイソザイム分析からサザンカとヤブツバキ間の交雑により成立したと報告されている.ツバキ属の葉緑体DNAは, 他の被子植物と同様に, 細胞質(母系)遺伝をすることが示されており, ハルサザンカにサザンカの葉緑体が存在すれば, サザンカがこれらの雑種の種子親であると考えられる.atpI atpH遺伝子領域のPCR産物は, サザンカおよびハルサザンカではすべて約800bpの位置に, ヤブツバキでは約1200bpの位置に単一のバンドを示した.これらの結果は, 1)一次雑種と推定されたハルサザンカ'凱旋'の種子親はサザンカである, 2)ヤブツバキへの戻し交雑第一世代と考えられるハルサザンカ三倍体品種群の種子親は'凱旋'と考えられる, さらに, 3)戻し交雑第二世代と考えられる'笑顔型'四倍体品種群の種子親はハルサザンカ三倍体品種群に由来する, ことを示唆している.ハルサザンカは, 平戸島にある古木の樹齢および1630年に出版された本の記録'鷹の爪'などから判断して約400年前にその起源があると推定されている.したがって, 本研究の結果, ハルサザンカの種子親は400年前に遡ってサザンカであると示唆された.