著者
芳賀 理佳 鈴木 幸一 松川 浩 田中 結子 一ノ瀬 昇 竹中 玄 藤田 早苗
出版者
The Society of Cosmetic Chemists of Japan
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.285-291, 2010

香水やオーデコロンなどの香り製品は,身だしなみや香りを楽しむために使用するほか,異性から魅力的に思われたいといった理由からも使用されていると思われる。われわれは,「男性の魅力を香りで向上させることができるのか」を研究目的に,男性の印象を形成する一つの要素である声に着目し,男性の声の印象度試験を行った。試験には声に関するパラメーターを単純化するため,男性1人の声から機械的に基本周波数のみを変化させた高さの異なる6種の声を用いて女性被験者に評価させた。まず,香りを漂わせない状態で印象度試験を行ったところ,男性の声の高さの違いにより女性が感じる声の好みや印象が異なることがわかった。次に,試験に用いる香料を調整した。文献や伝承をもとに心理的な作用があるとされている香料成分34種から,専門パネルが官能評価により男性のポジティブなイメージに合致する香料成分を6種類選定した。その中で高揚感・魅力的なイメージが大きいL─ムスコンに着目して男性の声の印象度試験を行ったところ,L─ムスコンの提示の有無で男性の声の印象が変化した。そこでさらに,6種類の香料成分の中からL─ムスコンを含む1種以上の香料成分を含有する男性向けボディケア製品の香りを3種類創作した。この3種類の香りの中から男女ともに嗜好性が高く,香りのイメージが湧きやすいフローラル・スウィート調とシトラス・ムスク調の香りを試験用香料と選定した。選定した香料を用いて男性の声の印象度試験を行った結果,低い声 (基本周波数が120Hzより低い声) に対してはフローラル・スウィート調の香りに,高い声 (基本周波数が120Hzより高い声) に対してはシトラス・ムスク調の香りに,男性の声の爽やかさを向上させる効果が観測された。さらに,試験後の女性被験者の気分状態は,香りを漂わせなかった場合と比較して香りを漂わせた場合に,イライラする感じ,ほっとする感じ,イキイキする感じ,わくわくする感じが有意に改善された。
著者
田中 結子
出版者
社団法人 におい・かおり環境協会
雑誌
におい・かおり環境学会誌 (ISSN:13482904)
巻号頁・発行日
vol.46, no.6, pp.374-381, 2015-11-25 (Released:2019-02-20)
参考文献数
8

近年の柔軟剤や衣料用洗剤などのファブリックケア製品には,香りの品揃えが多く見られ,これらが生活者の購買意欲を高める一因になっている.ファブリックケア製品において香りは重要な役割を占めるようになり,製品のイメージやコンセプトを伝えること,様々な使用場面での使い心地のよさを与えることやターゲット層の高い嗜好性に応えること等,付加価値を向上させる手段として進化してきた.本稿では,日本の柔軟剤と衣料用洗剤にフォーカスし,その香りの変遷と香りに対する生活者意識の変化について紹介する.
著者
芳賀 理佳 鈴木 幸一 松川 浩 田中 結子 一ノ瀬 昇 竹中 玄 藤田 早苗
出版者
日本化粧品技術者会
雑誌
日本化粧品技術者会誌 (ISSN:03875253)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.285-291, 2010-12-20 (Released:2012-12-20)
参考文献数
4

香水やオーデコロンなどの香り製品は,身だしなみや香りを楽しむために使用するほか,異性から魅力的に思われたいといった理由からも使用されていると思われる。われわれは,「男性の魅力を香りで向上させることができるのか」を研究目的に,男性の印象を形成する一つの要素である声に着目し,男性の声の印象度試験を行った。試験には声に関するパラメーターを単純化するため,男性1人の声から機械的に基本周波数のみを変化させた高さの異なる6種の声を用いて女性被験者に評価させた。まず,香りを漂わせない状態で印象度試験を行ったところ,男性の声の高さの違いにより女性が感じる声の好みや印象が異なることがわかった。次に,試験に用いる香料を調整した。文献や伝承をもとに心理的な作用があるとされている香料成分34種から,専門パネルが官能評価により男性のポジティブなイメージに合致する香料成分を6種類選定した。その中で高揚感・魅力的なイメージが大きいL─ムスコンに着目して男性の声の印象度試験を行ったところ,L─ムスコンの提示の有無で男性の声の印象が変化した。そこでさらに,6種類の香料成分の中からL─ムスコンを含む1種以上の香料成分を含有する男性向けボディケア製品の香りを3種類創作した。この3種類の香りの中から男女ともに嗜好性が高く,香りのイメージが湧きやすいフローラル・スウィート調とシトラス・ムスク調の香りを試験用香料と選定した。選定した香料を用いて男性の声の印象度試験を行った結果,低い声 (基本周波数が120Hzより低い声) に対してはフローラル・スウィート調の香りに,高い声 (基本周波数が120Hzより高い声) に対してはシトラス・ムスク調の香りに,男性の声の爽やかさを向上させる効果が観測された。さらに,試験後の女性被験者の気分状態は,香りを漂わせなかった場合と比較して香りを漂わせた場合に,イライラする感じ,ほっとする感じ,イキイキする感じ,わくわくする感じが有意に改善された。
著者
枡富 由佳子 邉見 蓉子 田中 結子 枡富 健二
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.66-79, 2019-02-25 (Released:2020-01-31)
参考文献数
46

第三大臼歯は,大臼歯のうち最も後方に位置する歯で臨床的問題がしばしば出現することから,それらに対する対応が求められる。しかしながら,第三大臼歯に対する治療の明確なガイドラインが存在しないため,対症療法であったり,個々の歯科医師の経験に基づく判断で治療介入が行なわれているのが現状である。そこで,今回われわれは,当院の患者のパノラマエックス線写真を用いて第三大臼歯のエックス線学的形成時期の調査と治療介入時期に関する検討調査を行った。 本調査から,パノラマエックス線写真で第三大臼歯の骨包の形成が確認できる目安は9.4 歳であり,歯冠は13~15 歳で形成が完了し,歯根は16~17 歳頃形成が開始し,18~23 歳頃に形成が完了することがわかった。18 歳以降の調査から第三大臼歯を1 歯以上有する者は94.8%であり,そのうち60.7%の者に4 歯全て存在することがわかった。第三大臼歯の97.3%は顎骨から歯冠が萌出しており,口腔内に萌出しない場合でも多くの第三大臼歯は粘膜下での埋伏であることがわかった。また,患者の意識調査から,第三大臼歯に対する認識は約80%にあり,そのうち「要らない歯」と認識する者が約60%と多かった。抜歯に対しても「早く抜くべきであれば抜いてほしい」と考える者も多く,抜歯時期については「すすめられたら」や抜歯時期については「定期検診時に情報提供を求める」とする者も多かった。 本調査を通し,第三大臼歯は全ての人に存在することを前提に,骨包の出現が始まる9 歳頃より管理を開始し,周囲の歯や歯列への影響が出現すると考えられる歯根形成時期である中高生時期には特に注視しながら,保存か抜歯の検討を早期から行うことが大切だと思われた。その際には,スクリーニング法としてパノラマエックス線写真は有効であり,また,画像所見や症状に基づいたフローチャートを使用することで客観的な判断が可能となることが示唆された。