著者
谷口 枝穗 増澤 佑哉 島谷 直孝 多村 知剛 上野 浩一 栗原 智宏 本間 康一郎 佐々木 淳一 田口 寛子 新庄 正宜 武内 俊樹
出版者
日本救急医学会関東地方会
雑誌
日本救急医学会関東地方会雑誌 (ISSN:0287301X)
巻号頁・発行日
vol.41, no.4, pp.475-478, 2020-12-28 (Released:2020-12-28)
参考文献数
11

【背景】今回, 水痘を罹患した後に脳梗塞を発症した小児の1例を経験したので報告する。【症例】4歳の男児。右上下肢脱力で当院へ救急搬送された。来院後, 救急外来で一過性の右上下肢麻痺および構音障害が確認された。頭部MRI検査拡散強調画像で左内包後脚に高信号域, MRA検査で左中大脳動脈本幹の血管狭小所見を認め急性期脳梗塞と診断し, 同日入院した。入院5週間前に水痘罹患歴があり, 入院時の髄液検査より水痘・帯状庖疹ウイルス (varicella zoster virus : VZV) DNAが検出され, 水痘罹患後の血管炎による脳梗塞と診断した。アシクロビル (Aciclovir : ACV), プレドニゾロン (Prednisolone : PSL), 抗血栓薬投与により症状は単相性に改善し, 第18病日に自宅退院となった。【考察】小児期の脳梗塞の原因は, 成人と比較し多岐に渡り, 水痘罹患も主要な原因の一つである。小児脳梗塞症例においては, 基礎疾患の検索のほか, 水痘をはじめとした感染症の罹患歴ももれなく聴取することが重要である。
著者
中室 克彦 奥野 智史 高田 聡子 田口 寛 井上 知明 上田 彬博 福永 勲 加賀城 直哉 服部 幸和 厚井 弘志
出版者
公益社団法人 日本水環境学会
雑誌
水環境学会誌 (ISSN:09168958)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.177-181, 2006 (Released:2010-01-09)
参考文献数
14
被引用文献数
9 6

This study was carried out to clarify the influence of sewage effluent on the temperature of urban river water. This investigation focused on the river basin of the Yodo River. The annual mean water temperature of the river depended on the annual mean atmospheric temperatures at all monitoring points except the Katsura River (Miyamaebashi) located on the lower reaches of a large-scale sewage treatment plant. The annual mean water temperature of Katsura River (Miyamaebashi) was significantly higher than the annual mean atmospheric temperature and increased by approximately 1.2°C within the period from 1972 to 2001. The increase in the water temperature of the Katsura River (Miyamaebashi) was attributable almost entirely to effluent from the sewage treatment plant. Because the temperature of the effluent from the sewage treatment plant was higher than the river water temperature before the inflow of the effluent, Katsura River water warmed significantly following the inflow of the sewage effluent. Katsura River water temperature after the inflow of sewage effluent increased considerably within the period from 1970 to 2003. The influence of sewage effluent was remarkable in winter in comparison with summer. These results suggest that effluent from sewage treatment plants is one of the factors causing the increase in river water temperature.
著者
田口 寛
出版者
三重大学
雑誌
特定研究
巻号頁・発行日
1985

先ずトリゴネリンの生合成について検討した。その結果、コーヒー植物体各部位における含量は、生育の段階にかかわらず、トリゴネリンが1mg/gのオーダーであり、ニコチン酸はその千分の1の値であった。また、トリゴネリン合成酵素活性の分布を調べたところ、非常に高い活性が葉に検出され、以下未熟の種子、枝の順であった。さらに、本酵素の精製を試みたが、酸化防止とポリフェノールの除去を完全にしないと活性な酵素は抽出できなかった。酵素の性質を要約すると、基質はニコチン酸とS-アデノシルメチオニンであり、反応の最適pHは7で、重金属イオンによって阻害され、ニコチン酸に対するKm値は0.58mMと計算された。次に【N^1】-メチルニコチンアミドについて検討を加えた。一般的な食品105種類について含量を測定した結果、その含量の多いものは次のようであった(食品可食部100g当りのmg数):干しわかめ(3.19),茶の葉(3.04),ロースハム(2.83),砂ギモ(2.42),しょうが(1.63),しいたけ(1.32),うに(1.15),こうなご(1.14),糸引納豆(1.09),しゃこ(0.88),丸干し(0.87),わかさぎ(0.86),ほたてがい(0.85)。次に、試薬の【N^1】-メチルニコチンアミド(10mg)を小試験管に入れ、種々の温度のオイルバス中で5分間加熱して、ビタミンへの変換を調べてみたところ、240℃以上の高温で変換し、最大変換率は約70%で、生成物はニコチンアミドであった。そこで、実際の食品の調理・加工によっても【N^1】-メチルニコチンアミドなどがビタミンに変換するかどうかを調べるため、この目的に合った食品数種類を選び、焼くのと油炊めとを行った後に、ニコチン酸・ニコチンアミドのマイクロバイオアッセイをした結果、単位重量当りで比較して、生のときより明らかにビタミン効力は増加していた。以上のように、食品中には潜在性ニコチン酸・ニコチンアミドが存在しており、高温にするほどビタミンの量が増加した。