著者
間瀬 知紀 宮脇 千惠美 甲田 勝康 藤田 裕規 沖田 善光 小原 久未子 見正 富美子 中村 晴信
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.59, no.6, pp.371-380, 2012 (Released:2014-04-24)
参考文献数
30
被引用文献数
2

目的 本研究は,女子学生を対象として,若年女性における正常体重肥満者,いわゆる「隠れ肥満」の体組成に影響を及ぼすと考えられる食行動,運動習慣および身体活動量について検討した。方法 対象は京都府内の大学 6 校に在籍する18~21歳の女子学生530人である。体脂肪率,歩数の測定および無記名自記式の質問紙調査を2010年 1 月~2010年 7 月にかけて実施した。質問紙調査項目は生活環境,体型認識,体型への希望,ダイエット経験,運動習慣,睡眠時間および食行動に関する 7 項目であった。食行動調査は EAT–26(Eating Attitude Test 26:摂食態度調査票)を実施した。BMI が18.5以上25.0未満の「標準体重(n=439)」判定者の中で,体脂肪率が75%タイル以上の者を「High group(n=115)」,体脂肪率が25%タイル以下の者を「Low group(n=111)」,この 2 群以外の者を「Middle group(n=213)」と分類し,3 群について比較検討した。結果 質問紙調査より,グループ間に体型認識,体型への希望,やせたい理由,ダイエット経験の有無,ダイエットの失敗の有無および睡眠時間についての回答の比率に有意な差がみられた。しかしながら,身体活動量はグループ間に差がみられなかった。さらに,EAT–26を用いて食行動を検討すると第 3 因子「Oral control」においては High group は Low group と比較し,有意に高値が認められた。結論 標準体重者で体脂肪率が高い者は,やせ願望やダイエット行動が関連していた。やせ願望の強い学生に対し,適正な体組成の維持と適切な食生活を確立させるための健康教育の必要性が示された。
著者
甲田 勝康 河野 比良夫 中村 晴信 奥田 豊子
出版者
関西医科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

「適応能」は生理人類学の中心的概念の一つである。ヒトはその歴史のほとんどを自然環境の中で過ごし、その環境に適応してきた。その結果、様々な生理的多型性が生まれヒトは全世界に分布した。諸民族の問にエネルギー代謝の違いがあることが報告されている。動物性タンパクや脂肪摂取の多いイヌイットは高い代謝水準によって寒さを凌ぎ、食糧事情の悪いアンデス高地の住民は代謝増大をできるだけ抑え断熱型の反応をする。しかし、このような相違が遺伝的要因により決定されるものなのか、もしくは短期的な機能馴化によるものなのかは十分には解明されていない。今回我々は、短期的な絶食および食事制限がエネルギー代謝や他の生理機能にどのような影響をおよぼすかについて検討し、ヒトの環境適応の過程にについて考察した。労働者の健康増進を目的として、軽度肥満者や軽度高脂血症者または健常者に餌や運動指導を行っている企業がある。本研究は、この企業の健康増進活動に参加したものを対象として行われた。対象者を中等度摂取エネルギー制限群および軽度摂取エネルギー制限群の二群に分け、摂取エネルギー以外の健康指導は両群とも同じとした。呼吸商は、エネルギー制限により低下し、エネルギー源が経口の炭水化物から体脂肪に移行していることが示唆された。基礎代謝量も減少し、その程度は中等度制限群において軽度制限群より大きかった。また、この基礎代謝の変化は体重の変化よりも大きかった。このことからエネルギー制限により、基礎代謝は敏速に減少することが確認された。さらに動物を用いた実験系で検証した。その結果、短期の絶食により代謝系を含む生理機能が変化することが観察された。この研究成果は、国内および国際学会で報告し、国内および国際誌上に発表した。以上のごとく、本研究は目的を達成することができた。
著者
間瀬 知紀 宮脇 千惠美 甲田 勝康 藤田 裕規 沖田 善光 小原 久未子 見正 富美子 中村 晴信
出版者
Japanese Society of Public Health
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.59, no.6, pp.371-380, 2012
被引用文献数
2

<b>目的</b> 本研究は,女子学生を対象として,若年女性における正常体重肥満者,いわゆる「隠れ肥満」の体組成に影響を及ぼすと考えられる食行動,運動習慣および身体活動量について検討した。<br/><b>方法</b> 対象は京都府内の大学 6 校に在籍する18~21歳の女子学生530人である。体脂肪率,歩数の測定および無記名自記式の質問紙調査を2010年 1 月~2010年 7 月にかけて実施した。質問紙調査項目は生活環境,体型認識,体型への希望,ダイエット経験,運動習慣,睡眠時間および食行動に関する 7 項目であった。食行動調査は EAT–26(Eating Attitude Test 26:摂食態度調査票)を実施した。BMI が18.5以上25.0未満の「標準体重(n=439)」判定者の中で,体脂肪率が75%タイル以上の者を「High group(n=115)」,体脂肪率が25%タイル以下の者を「Low group(n=111)」,この 2 群以外の者を「Middle group(n=213)」と分類し,3 群について比較検討した。<br/><b>結果</b> 質問紙調査より,グループ間に体型認識,体型への希望,やせたい理由,ダイエット経験の有無,ダイエットの失敗の有無および睡眠時間についての回答の比率に有意な差がみられた。しかしながら,身体活動量はグループ間に差がみられなかった。さらに,EAT–26を用いて食行動を検討すると第 3 因子「Oral control」においては High group は Low group と比較し,有意に高値が認められた。<br/><b>結論</b> 標準体重者で体脂肪率が高い者は,やせ願望やダイエット行動が関連していた。やせ願望の強い学生に対し,適正な体組成の維持と適切な食生活を確立させるための健康教育の必要性が示された。
著者
甲田 勝康 伊木 雅之
出版者
近畿大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

二重エネルギーX線吸収法(DXA法)による体組成(骨量、脂肪量、除脂肪軟部組織量)のデータについては、我が国の母集団を代表としたものはない。本研究課題では、我が国の成人母集団の代表性のある大規模無作為抽出標本調査の15年後の追跡調査対象者の体組成をDXA法によって測定した。その結果、体組成に地域差や年齢による変化がみられた。また、体組成と骨密度の関連や、体脂肪の分布パターンと心血管系疾患等のリスク要因との関連が示唆された。