著者
堀口 敏宏 趙 顯書 白石 寛明 柴田 康行 森田 昌敏 清水 誠 陸 明 山崎 素直
出版者
日本海洋学会沿岸海洋研究部会
雑誌
沿岸海洋研究 (ISSN:13422758)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.7-13, 2000-02
被引用文献数
6

船底塗料などとして使用されてきた有機スズ化合物(トリブチルスズ(TBT)及びトリフェニルスズ(TPT))によって,ごく低濃度で特異的に誘導される腹足類のインポセックスのわが国における経年変化と現状の概略を種々の野外調査結果などに基づいて記述した.1990~1991年の汚染レベルに比べると近年の海水中の有機スズ濃度は低減したと見られるものの,イボニシの体内有機スズ濃度の低減率は海水中のそれよりも緩やかであり,またその低減率が海域により異なっていた.また環境中の有機スズ濃度の相対的な減少が観察されるものの,イボニシのインポセックス発症閾値をなお上回る水準であるため,インポセックス症状については全国的に見ても,また定点(神奈川県・油壺)観察による経年変化として見ても,十分な改善が認められなかった.この背景には,国際的には大型船舶を中心になお有機スズ含有塗料の使用が継続していることとともに,底泥からの再溶出の可能性及びイボニシの有機スズに対する感受性の高さなどが関連していると推察された.
著者
藤巻 可弓 荒川 千夏子 吉永 淳 渡辺 知保 芹澤 滋子 今井 秀樹 白石 寛明 水本 賀文
出版者
日本衛生学会
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.403-408, 2004-11-15 (Released:2009-02-17)
参考文献数
14
被引用文献数
14 21

Objective: The daily bisphenol A (BPA) intake level of Japanese pregnant women was surveyed based on the measurement of the urinary excretion level of a BPA metabolite.Methods: Spot urine samples were collected from 56 pregnant women who visited the gynecology division of a hospital for a routine health check between June and October 2003. The urinary concentrations of the BPA metabolite and creatinine were measured by GC/MS/MS and spectrophotometry, respectively. Daily BPA intake was assumed to be equal to daily excretion.Results: The daily intake of BPA among Japanese pregnant women was estimated to be in the range of <0.3 to 7.9μg/day (median<2.0μg/day), being consistent with the levels in previous studies for non-pregnant Japanese women. This level was far below the current Acceptable Daily Intake (0.01mg/kg/day) which was set by the European Commission. The maximum estimated intake per body weight (0.16μg/kg/day) reached 1/10 of the Lowest Adverse Effect Level of BPA for pregnant mice for a reproductive effect on the offspring (2μg/kg/day).Conclusion: It is desirable to lessen BPA intake from a precautionary viewpoint, particularly in pregnant women.
著者
渡邊 雅之 深澤 均 白石 不二雄 白石 寛明 塩澤 竜志 寺尾 良保
出版者
一般社団法人 日本環境化学会
雑誌
環境化学 (ISSN:09172408)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.65-71, 2004-03-29 (Released:2010-05-31)
参考文献数
16
被引用文献数
4 5

試験用離解機を用いて古紙原料の離解排水を作成し, そのBPA濃度を測定した。8種類の古紙原料のうち, 感熱紙で440mg/lと高濃度のBPAが検出された。さらに, ワープロ用あるいはFAX用の11種類の感熱紙について検討したところ, 1999年以前に製造された感熱紙の離解排水で170~460mg/lのBPAが検出された。しかし, それ以降に製造された感熱紙ではBPA濃度が大きく低下することや, 顕色剤としてBPSあるいはBPS-monoPが検出されることが示された。これらのことから, 感熱紙の顕色剤としてBPAから他の製品への切り替えが進んでいることが示唆された。また, 増感剤としてm-テルフェニル, 4-ベンジルビフェニル, 1, 2-ビス (3-メチルフェノキシ) エタン及びベンジル2-ナフチルエーテルも検出された。感熱紙に含まれる可能性のある物質について酵母ツーハイブリッド・アッセイ法によるエストロゲン・アゴニスト試験を行ったところ, 4-ヒドロキシ安息香酸ベンジルとトリフェニルメタンにBPAより強い活性が認められた。