著者
佐藤 芳樹 菅谷 なえ子 中川 友夫 森田 昌敏
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.135, no.4, pp.631-642, 2015-04-01 (Released:2015-04-01)
参考文献数
41
被引用文献数
1 3

We established an analytical method for the detection of seven phthalates, dimethyl phthalate, diethyl phthalate (DEP), benzyl butyl phthalate, di-i-butyl phthalate, dibutyl phthalate (DBP), diethylhexyl phthalate (DEHP), and di-n-octhyl phthalate, using an ultra high performance liquid chromatograph equipped with a photodiode array detector. This method is quick, with minimal contamination, and was applied to the analysis of aromatic and deodorant aerosol products. Phthalates were detected in 15 of 52 samples purchased from 1999 to 2012 in Yokohama. Three types of phthalate (DEP, DBP, DEHP) were detected, and their concentrations ranged from 0.0085-0.23% DEP in nine samples, 0.012-0.045% DBP in four samples, and 0.012-0.033% DEHP in four samples. No other phthalate esters were detected. Furthermore, we estimated phthalate exposure via breathing in commonly used aromatic and deodorant aerosol products, then evaluated the associated risk. The estimated levels of phthalate exposure were lower than the tolerated daily limit, but the results indicated that aromatic and deodorant aerosol products could be a significant source of phthalate exposure.
著者
森田 昌敏
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.39, no.11, pp.1083-1096, 1981-11-01 (Released:2009-11-13)
参考文献数
73
被引用文献数
1 2

生体に取り込まれた金属は血流にのって移動し, いろいろな臓器に到達し, 様々な化学変化を受けながら, 一部は貯蔵 (あるいは蓄積) され, 残りは排泄されていく。吸収から始まる, これらの一連のプロセスは, 各種のフィードバック回路を内蔵した化学反応系であるが, その内容は非常に複雑精緻であり, 今日においても未解明の部分が多い。本稿では, 重金属の生体内での代謝を, 吸収, 輸送, 体内分布, 排泄にわけて記述した。重金属の代謝に関する研究は, 栄養学, 毒物学を中心とし, 分析化学や生化学のような基礎科学から臨床医学のような応用科学まで広い範囲の研究者によってなされてきており, その記述内容は著者のバックグランドによって, かなり左右される。ここでは科学者から見た代謝が書かれている。分析技術の最近の進歩についても若干触れている。
著者
渡辺 俊一 江種 伸之 平田 健正 横山 尚秀 山里 洋介 森田 昌敏
出版者
公益社団法人 地盤工学会
雑誌
地盤工学ジャーナル (ISSN:18806341)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.147-157, 2010-03-26 (Released:2010-03-26)
参考文献数
10
被引用文献数
1 1

本稿では,2003年3月に茨城県神栖市で発生した有機ヒ素化合物による地下水汚染の実態について報告する。汚染物質となった有機ヒ素化合物はジフェニルアルシン酸である。汚染地域で実施した野外調査では,ジフェニルアルシン酸は主に帯水層深部から検出された。しかし,汚染の発端となった飲用井戸の南東90m付近の人工的に埋め戻された浅層地盤からは,ジフェニルアルシン酸を高濃度に含むコンクリート様の塊が発見され,これが汚染源と推察された。また,地下水の汚染は汚染源から約3km離れた下流地区まで拡がっていることが確認された。
著者
森田 昌敏
出版者
JAPAN TECHNICAL ASSOCIATION OF THE PULP AND PAPER INDUSTRY
雑誌
紙パ技協誌 (ISSN:0022815X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.8, pp.887-901, 1991-08-01 (Released:2009-11-19)
被引用文献数
1

The chemistry and toxic effects of dioxins are reviewed. The possible sources of dioxins are chlorination of dibenzo-p-dioxin, dimerization of chlorophenols and other complex mechanism. The fate of dioxins in the environment is referred especially in relation to soil pollution. Analytical method is based on capillary column GC/MS either by low resolution and high resolution mass spectrometry.Toxicology of dioxins is reviewed especially focussing on their mutagenicity and carcinogenicity. Current regulation standards are also referred.
著者
堀口 敏宏 趙 顯書 白石 寛明 柴田 康行 森田 昌敏 清水 誠 陸 明 山崎 素直
出版者
日本海洋学会沿岸海洋研究部会
雑誌
沿岸海洋研究 (ISSN:13422758)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.7-13, 2000-02
被引用文献数
6

船底塗料などとして使用されてきた有機スズ化合物(トリブチルスズ(TBT)及びトリフェニルスズ(TPT))によって,ごく低濃度で特異的に誘導される腹足類のインポセックスのわが国における経年変化と現状の概略を種々の野外調査結果などに基づいて記述した.1990~1991年の汚染レベルに比べると近年の海水中の有機スズ濃度は低減したと見られるものの,イボニシの体内有機スズ濃度の低減率は海水中のそれよりも緩やかであり,またその低減率が海域により異なっていた.また環境中の有機スズ濃度の相対的な減少が観察されるものの,イボニシのインポセックス発症閾値をなお上回る水準であるため,インポセックス症状については全国的に見ても,また定点(神奈川県・油壺)観察による経年変化として見ても,十分な改善が認められなかった.この背景には,国際的には大型船舶を中心になお有機スズ含有塗料の使用が継続していることとともに,底泥からの再溶出の可能性及びイボニシの有機スズに対する感受性の高さなどが関連していると推察された.
著者
高橋 保雄 森田 昌敏
出版者
一般社団法人 日本環境化学会
雑誌
環境化学 : journal of environmental chemistry (ISSN:09172408)
巻号頁・発行日
vol.7, no.3, pp.495-506, 1997-09-01
参考文献数
16
被引用文献数
5 2

水道水中のハロゲン化消毒副生成物31種類を同定確認した。そこで, ハロゲン化消毒副生成物31種類と標準品が入手できたハロプロピオン酸3種類, 合計34物質のGC/ECDによる多成分系統分析法を確立することにした。そして, キャピラリーカラムGC条件, 抽出溶媒, pH値, 塩濃度について検討した。<BR>試料水中の残留塩素をアスコルビン酸で除去後, 硫酸または水酸化ナトリウムでpH値を6.0以下にし, さらに塩化ナトリウムで過飽和にして塩析した。ヘキサン抽出 (10ml×2) し, その後水溶液を硫酸で強酸性にして, MTBE抽出 (2.5ml×2+10ml) で, 両抽出液にハロゲン化消毒副生成物を抽出した。<BR>その内, 両抽出液に抽出された揮発性ハロゲン化消毒副生成物をキャピラリーカラムGC/ECDで定量した。またMTBE抽出液に抽出された不揮発性消毒副生成物はジアゾメタンでメチル化後, キャピラリーカラムGC/ECDで定量した。<BR>この分析法の回収率はクロロアセトアルデヒド以外の揮発性ハロゲン化消毒副生成物では75.6~118.0%であり, 不揮発性ハロゲン化消毒副生成物では79.6~142.0%であった。定量下限値はクロロアセトアルデヒドで0.2μg/l, それ以外の揮発性ハロゲン化消毒副生成物で0.1μg/lであった。またクロロ酢酸・α-クロロプロピオン酸で0.3μg/l, ジブロモクロロ酢酸で0.5μg/l, トリブロモ酢酸で0.7μg/l, それ以外の不揮発性ハロゲン化消毒副生成物で0.1μg/lであった。また変動係数は揮発性ハロゲン化消毒副生成物では3%以下, ジブロモクロロ酢酸では10%, トリブロモ酢酸では22%, それ以外の不揮発性ハロゲン化消毒副生成物では約5%であった。
著者
高橋 保雄 森田 昌敏
出版者
Japan Society for Environmental Chemistry
雑誌
環境化学 (ISSN:09172408)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.465-472, 1998-09-17 (Released:2010-05-31)
参考文献数
16
被引用文献数
3 3

非沸騰の加熱であるガス瞬間湯沸器では水道原水の質・量が異なると, 給湯水の温度が高くなっても, 総ハロゲン化消毒副生成物が増加する場合と減少する場合があった。また類別毎のハロゲン化消毒副生成物も増加している場合と減少している場合があった。一方大型ボイラー及び電気温水器では使用した水道原水の質・量の影響を受けずに, 総ハロゲン化消毒副生成物, トリハロメタン及びハロ酢酸が増加し, また中間体の揮発性ハロゲン化消毒副生成物が減少していた。非沸騰の加熱と異なり, 電気ポット, やかんの加熱温度・時間は瞬間湯沸器・大型ボイラー・電気温水器より大きい。その結果, トリハロメタン以外の揮発性ハロゲン化消毒副生成物は電気ポットの場合には沸騰後, 保温を0~5分, やかんの場合には沸騰後, 煮沸を0~5分続けると消失した。トリハロメタンは電気ポットの場合では保温3~6時間後揮散消失し, やかんの場合では煮沸を5~10分続けると揮散消失した。トリハロメタン消失後, 残留したハロゲン化消毒副生成物はハロ酢酸だけであった。残留したハロ酢酸は主にジハロ酢酸であった。
著者
米田 穣 吉田 邦夫 吉永 淳 森田 昌敏 赤澤 威
出版者
Japan Association for Quaternary Research
雑誌
第四紀研究 (ISSN:04182642)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.293-303, 1996-10-31 (Released:2009-08-21)
参考文献数
49
被引用文献数
14 16

本研究は,縄文時代中期(4,000年前頃)から江戸時代(250年前頃)にわたる8遺跡から出土した人骨38個体を試料として,骨コラーゲンの炭素・窒素同位体分析および骨無機質における微量元素分析を行い,その結果に基づいて長野県における約4,000年間におよぶ食性の時代変遷を検討したものである.結果として第1に,同位体分析から,当地域では縄文時代中期から江戸時代に至るまで主食は基本的にC3植物であったと考えられる.縄文時代から中世にかけては,非常に強くC3植物に依存していたのに対し,江戸時代には海産物の利用の可能性が示唆された.内陸部で庶民の日常食として重要だったと論じられている雑穀類に関しては,今回の分析試料ではC4植物である雑穀を主食とした個体は検出されなかった.また,炭素同位体比から縄文時代北村遺跡出土人骨17個体について食性に性差の存在する可能性が示唆された.第2に,北村縄文人骨1個体で実施した微量元素分析からは,同位体分析で示唆されたC3植物食の内容がシイ・クリを中心とする可能性が示唆された.
著者
高橋 保雄 森田 昌敏
出版者
一般社団法人 日本環境化学会
雑誌
環境化学 : journal of environmental chemistry (ISSN:09172408)
巻号頁・発行日
vol.8, no.3, pp.455-464, 1998-09-17
参考文献数
15
被引用文献数
5 7

河川水を原水とした水道水では総ハロゲン化消毒副生成物濃度は冬季に最低値 (50μg/l弱) を示した後, 徐々に増加し, 8月に最高値 (200μg/l強) を示した。ハロゲン化消毒副生成物を類別に見ると, ハロ酢酸, トリハロメタンはメジャー成分であり, ハロアセトアルデヒド, ハロアセトニトリル, ハロアセトンは中間成分であり, ハロプロピオン酸, ハロニトロメタンはマイナー成分であった。なお, 中間成分ではハロアセトアルデヒド濃度は必ずハロアセトニトリルより高かった。個々のハロゲン化消毒副生成物を見ると, トリハロメタンではクロロホルムは明白に季節変動を示し, プロモジクロロメタン, ジブロモクロロメタン, プロモホルムの順に濃度は極端に低くなっていた。ハロアセトニトリルではメジャー成分であるジクロロアセトニトリルは季節変動を示し, マイナー成分であるプロモクロロアセトニトリル, ジブロモアセトニトリルは一年中ほぼ一定であった。ハロアセトンではメジャー成分である1, 1, 1-トリクロロアセトンは季節変動を示し, マイナー成分である1, 1-ジクロロアセトンは全く季節変動を示さなかった。ハロアセトアルデヒドではメジャー成分であるトリクロロアセトアルデヒドは季節変動を示したが, マイナー成分であるジクロロアセトアルデヒドは季節変動を示さなかった。ハロ酢酸ではメジャー成分としてジクロロ酢酸, 中間成分としてトリクロロ酢酸, マイナー成分としてプロモクロロ酢酸, ジクロロブロモ酢酸等であった。ハロプロピォン酸では多くは2, 2-ジクロロプロピオン酸, 一部2, 3-ジクロロプロピオン酸であった。<BR>地下水を混合した水道水では総ハロゲン化消毒副生成物濃度は冬季, 夏季で二分し, 約100μg/l~約200μg/lである場合と, 季節間の差が認められず100μg/l弱~約150μg/l強である場合があった。中間成分のハロアセトアルデヒド濃度がハロアセトニトリルより低かった以外では, ハロゲン化消毒副生成物の類別量の順位は河川水を原水とした水道水と同じであった。河川水を原水とした水道水中の個々のハロゲン化消毒副生成と比較して, トリハロメタンではプロムを含有したトリハロメタンが増加し, ハロアセトニトリルではジブロモアセトニトリル, ハロアセトアルデヒドではトリブロモアセトアルデヒド, ハロ酢酸ではジブロモクロロ酢酸が高い濃度で検出されていた。逆に濃度が低かった副生成物としてジクロロ酢酸がある。<BR>高度処理を施した水道水では総ハロゲン化消毒副生成物濃度は季節間の差が認められず, 約50μg/l~約100μg/lの濃度であった。ハロゲン化消毒副生成物の類別量の順位は地下水を混合した水道水と同じであった。そして, 河川水を原水とした水道水中の個々のハロゲン化消毒副生成物と比較して, 全てのハロゲン化消毒副生成物の濃度は低かった。<BR>同一水道水を供給されても, 受水槽・高置水槽を経由した水道水は水道本管からの水道水に比較して, 総ハロゲン化消毒副生成物の濃度は高く, また受水槽・高置水槽中の滞留時間の長い水道水程, 総ハロゲン化消毒副生成物の濃度は高かった。今回調査した受水槽・高置水槽は比較的密閉状態であったので, ハロアセトン以外の類別ハロゲン化消毒副生成物, 及び類別のメジャー成分である個々のハロゲン化消毒副生成物も滞留時間の増加, 即ち有効残留塩素の接触時間に相関して増加していた。