著者
堀口 敏宏 久米 元 児玉 圭太
出版者
国立研究開発法人国立環境研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

1)コドラート法により付着動物の種数と個体数密度、湿重量密度を茨城県、福島県及び宮城県の7定点で調べ、経年変化を明らかにした。また、2)イボニシ個体群解析のため、福島県の旧警戒区域の富岡、大熊、双葉及び南相馬の4定点で定期調査を行い、イボニシ個体群密度、殻高組成、性成熟及び産卵状況を調べ、その経年変化を明らかにした。3)1F周辺で観察されたイボニシ個体群の激減に関する原因究明に向けて、急性影響の観点から、イボニシに対する放射性核種等の曝露実験を行った。また、4)イボニシに対する放射線の影響解析を、イボニシ鰓組織のアポトーシス(細胞死)に焦点を当てて、進めた。
著者
堀口 敏宏 趙 顯書 白石 寛明 柴田 康行 森田 昌敏 清水 誠 陸 明 山崎 素直
出版者
日本海洋学会沿岸海洋研究部会
雑誌
沿岸海洋研究 (ISSN:13422758)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.7-13, 2000-02
被引用文献数
6

船底塗料などとして使用されてきた有機スズ化合物(トリブチルスズ(TBT)及びトリフェニルスズ(TPT))によって,ごく低濃度で特異的に誘導される腹足類のインポセックスのわが国における経年変化と現状の概略を種々の野外調査結果などに基づいて記述した.1990~1991年の汚染レベルに比べると近年の海水中の有機スズ濃度は低減したと見られるものの,イボニシの体内有機スズ濃度の低減率は海水中のそれよりも緩やかであり,またその低減率が海域により異なっていた.また環境中の有機スズ濃度の相対的な減少が観察されるものの,イボニシのインポセックス発症閾値をなお上回る水準であるため,インポセックス症状については全国的に見ても,また定点(神奈川県・油壺)観察による経年変化として見ても,十分な改善が認められなかった.この背景には,国際的には大型船舶を中心になお有機スズ含有塗料の使用が継続していることとともに,底泥からの再溶出の可能性及びイボニシの有機スズに対する感受性の高さなどが関連していると推察された.
著者
堀口 敏宏 太田 康彦 森下 文浩 井口 泰泉
出版者
独立行政法人国立環境研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

イボニシから脊椎動物のRARとアミノ酸配列の相同性が比較的高いRAR様配列(イボニシRAR)が単離された。All-trans レチノイン酸(ATRA)添加時のウエスタンブロットにより、イボニシRARタンパクは発現したが、転写活性は誘導されなかった。イボニシRARとヒトRARαのリガンド結合部位を融合させATRA, 9-cis レチノイン酸, 13-cis レチノイン酸, All-trans レチノール添加時でもイボニシRARの転写活性は誘導されず、イボニシRARのDNA結合部位をヒトRARαリガンド結合部位と融合させると転写活性が誘導された。イボニシRARとRXRは相互作用すると考えられた。
著者
堀口 敏宏 太田 康彦 井口 泰泉 森下 文浩
出版者
独立行政法人国立環境研究所
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

イボニシ(Thais clavigera)を中心に、RXRに関する生物学的特徴と、ペニス及び輸精管の分化・成長・形態形成との関係を解析した。イボニシRXRには2つのアイソフォームが存在し、両者で転写活性能が異なること、並びに9-cisレチノイン酸(9cRA)、トリブチルスズ(TBT)及びトリフェニルスズ(TPT)により転写活性の誘導がみられることなどを明らかにした。イボニシとバイ(Babylonia japonica)における生殖腺の分化及び生殖輸管の発達を組織学的に調べ、明らかにした。イボニシの神経ペプチドに関する基礎知見を得た。イボニシとバイにおける脊椎動物様ステロイドの検出を試みるとともに、ステロイド受容体が見出されないこと、アロマターゼ阻害剤とテストステロンでインポセックスの発症・増進が見られないことを明らかにした。