- 著者
-
直原 康光
安藤 智子
- 出版者
- 一般社団法人 日本教育心理学会
- 雑誌
- 教育心理学研究 (ISSN:00215015)
- 巻号頁・発行日
- vol.69, no.2, pp.116-134, 2021-06-30 (Released:2021-07-21)
- 参考文献数
- 48
- 被引用文献数
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1
8
本研究の目的は,親が認知する離婚後の父母コペアレンティング,ゲートキーピングを測定する尺度を作成し,信頼性・妥当性を検証すること,離婚後の父母コペアレンティング,ゲートキーピングと子どもの適応との関連を検討することであった。離婚後の父母コペアレンティング,ゲートキーピング尺度は,離婚後9年未満の親432名を対象に分析を行った結果,一定の信頼性・妥当性を備えており,同居親・別居親で測定不変性を有していることが確認された。作成した尺度を用いて,2―17歳の子どもと同居する母親166名を分析対象として仮説モデルを検証した結果,葛藤的なコペアレンティングは,SDQの「総合的困難さ」との間に直接正の関連が認められた。一方,協力的なコペアレンティングは,SDQとの間に直接の関連は認められなかったものの,面会交流の促進を介して,同居時の父親の子どもに対する暴力が高かった場合のみ,SDQの「総合的困難さ」との間に正の関連が認められた。以上の結果を踏まえ,離婚後の父母や親子関係の在り方,親に対する心理教育プログラム等への示唆について,考察した。