著者
真坂 一彦
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.95, no.6, pp.332-341, 2013-12-01 (Released:2014-03-03)
参考文献数
132
被引用文献数
1 2

侵略的外来種ニセアカシアについての言説を整理し, 社会心理学的な視点から検討した。ニセアカシアは窒素固定菌と共生することで土壌に窒素をもたらし, 林内に外来の好窒素性植物を繁茂させ, 在来種を駆逐すると説明される。しかし, 報告されている調査事例は因果関係と相関関係の取り違えという試験設計上の問題をかかえ, ニセアカシアの影響を評価できない。一方で, 在来樹種の林内の種多様性と大きな差異がないという報告もある。ロジックに不備がある説明が受け入れられる背景には, 「仮説確証型の情報処理傾向」に基づく「選択的認知」が指摘できる。ニセアカシアの侵略性を紹介する資料の中には明瞭な虚偽記載も認められた。河川敷やクロマツ海岸林への侵入は, 人為的な土地改変や植生管理の停止という影響が大きい。人畜等への毒性については, 事例が限定的なうえに断片的な情報も多く, 「偶然の過大評価」や「証拠隠し」が疑われた。ニセアカシアは養蜂業を通して果樹野菜の花粉交配に貢献している。ニセアカシアの管理においては, 公正な情報に基づいた議論による社会的合意が必要とされる。
著者
真坂 一彦 佐藤 孝弘 棚橋 生子
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.95, no.1, pp.15-22, 2013-02-01 (Released:2013-03-30)
参考文献数
37
被引用文献数
1 3

養蜂業による北海道での蜜源植物の利用実態について, 北海道養蜂協会が毎年集計している「みつ源等調査報告書」をもとに分析した。主要な蜜源植物は, 蜂蜜生産量が多い順に, ニセアカシア, シナノキ, クローバー, キハダ, アザミ, ソバ, そしてトチノキの7種である。これら7種の蜂蜜生産量に占める樹木蜜源の割合は約70%で, これに森林植生であるアザミを加えると80%弱にのぼり, 森林が蜜源域として大きく貢献していた。地域性を評価するため, 振興局 (支庁) ごとに蜜源植物の利用状況についてクラスター分析したところ, 太平洋型, オホーツク型, 道北型, 道央型, そして道南型と, 北海道の地理的区分に対応した5群に分類された。シナノキとキハダについて, 各樹種の蓄積とそれらを対象にした蜂群数の関係をみたところ, 蓄積が多い地域ほど蜂群数も多い傾向が認められた。各地域の主要7蜜源植物の多様性と全蜂群数の間には有意な相関関係があり, 蜜源植物が多様な地域ほど生産性が高いことが示唆された。
著者
真坂 一彦
出版者
養賢堂
雑誌
農業および園芸 (ISSN:03695247)
巻号頁・発行日
vol.91, no.5, pp.518-533, 2016-05

北海道における代表的な蜜源はニセアカシア,シナノキ,そしてクローバーであり,それにアザミ,キハダ,ソバ,トチノキと続くなど,蜜源の多様性が高い。この主要7蜜源植物だけでみると,樹木蜜源は66.6%を占め,さらに森林性のアザミを加えると75.6%に達することから,北海道では森林が重要な蜜源となっているといえる。道内における蜜源植物の分布には,植生や土地利用の在り方を反映した地域性がみられる。ニセアカシアは道央の旧産炭地に多く,シナノキを対象とした蜂群数は原生的な森林が残っている道北やオホーツクで多い。蜜源の多様性や地域性を生む背景には,明治まで過度な山林利用がなかったことや産炭地だったという歴史的要因,そして冷温帯林~北方林に特有の樹種構成などの気候的要因が指摘できる。日本全体でも蜂蜜生産量が多いニセアカシアは,侵略的外来種として外来種問題の俎上に載ったが,ミツバチが果樹野菜のポリネーションに欠かせないことから,2015年,産業管理外来種に指定された。シナノキは林業上,重要な樹種でもあり,戦後,広葉樹林の伐採が進んだことで蜂場の小規模化・分散化がすすみ,ヒグマ被害を誘発したと考えられる。
著者
真坂 一彦 佐藤 孝弘 棚橋 生子
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会大会発表データベース
巻号頁・発行日
vol.124, 2013

養蜂業による北海道での蜜源植物の利用実態について,北海道養蜂協会が毎年集計している「みつ源等調査報告書」をもとに分析した。主要な蜜源植物は,蜂蜜生産量が多い順に,ニセアカシア,シナノキ,クローバー,キハダ,アザミ,ソバ,そしてトチノキの7種である。これら7種の蜂蜜生産量に占める樹木蜜源の割合は約70%で,これに森林植生であるアザミを加えると80%弱にのぼり,森林が蜜源域として大きく貢献していた。地域性を評価するため,振興局(支庁)ごとに蜜源植物の利用状況についてクラスター分析したところ,太平洋型,オホーツク型,道北型,道央型,そして道南型と,北海道の地理的区分に対応した5群に分類された。シナノキとキハダについて,各樹種の蓄積とそれらを対象にした蜂群数の関係をみたところ,蓄積が多い地域ほど蜂群数も多い傾向が認められた。各地域の主要7蜜源植物の多様性と全蜂群数のあいだには有意な相関関係があり,蜜源植物が多様な地域ほど生産性が高いことが示唆された。
著者
真坂 一彦 佐藤 孝弘 棚橋 生子
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.95, no.1, pp.15-22, 2013
被引用文献数
3

養蜂業による北海道での蜜源植物の利用実態について, 北海道養蜂協会が毎年集計している「みつ源等調査報告書」をもとに分析した。主要な蜜源植物は, 蜂蜜生産量が多い順に, ニセアカシア, シナノキ, クローバー, キハダ, アザミ, ソバ, そしてトチノキの7種である。これら7種の蜂蜜生産量に占める樹木蜜源の割合は約70%で, これに森林植生であるアザミを加えると80%弱にのぼり, 森林が蜜源域として大きく貢献していた。地域性を評価するため, 振興局 (支庁) ごとに蜜源植物の利用状況についてクラスター分析したところ, 太平洋型, オホーツク型, 道北型, 道央型, そして道南型と, 北海道の地理的区分に対応した5群に分類された。シナノキとキハダについて, 各樹種の蓄積とそれらを対象にした蜂群数の関係をみたところ, 蓄積が多い地域ほど蜂群数も多い傾向が認められた。各地域の主要7蜜源植物の多様性と全蜂群数の間には有意な相関関係があり, 蜜源植物が多様な地域ほど生産性が高いことが示唆された。
著者
山田 健四 真坂 一彦
出版者
日本生態学会
雑誌
保全生態学研究 (ISSN:13424327)
巻号頁・発行日
vol.12, no.2, pp.94-102, 2007-11-30
被引用文献数
2

旧産炭地である北海道美唄市近郊の100km^2(10×10km)を対象に、侵略的外来種ニセアカシアの分布域と分布の歴史的背景について調査した。人工衛星画像および現地踏査により、対象地域のニセアカシアの分布面積は0.989km^2(98.9ha)と計算された。1962、73、82、93年の空中写真を判読して土地利用を分類した結果、ニセアカシア分布域は過去に伐採を受けたか、農耕地や炭鉱関連施設等に利用された経歴を持つ場所が多かった。伐採跡地では1962〜73年の間で急速に、農耕地や炭鉱関連施設跡地では1962〜93年の間で徐々に森林化が進んだ。ニセアカシア分布域に隣接する非分布域の森林では、過去に伐採や土地利用の形跡のない森林が25.0%を占め、分布域における11.7%より有意に高かったことから、攪乱を受けない森林ではニセアカシアが進入しづらいと考えられた。これらのことから、森林伐採後の不成績造林地や耕作放棄地、炭鉱跡の空き地など、管理放棄された土地の発生がニセアカシアの分布拡大の誘因となっていることが示唆された。
著者
佐藤 創 鳥田 宏行 真坂 一彦 今 博計 澁谷 正人
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.91, no.5, pp.307-312, 2009-10-01
被引用文献数
1 7

2004年台風18号により風倒被害を受けた,北海道美唄市内の防風保安林の風倒要因を解析した。この台風による最大風速は21m/sであった。調査を行った防風林はヨーロッパトウヒ,カラマツ,シラカンバ,ヤチダモ人工林である。防風林に21箇所の方形区を設定し,各個体の胸高直径と「根返り」,「幹折れ」,「無被害」別の被害状況を記録した。また,深さ別の土壌の硬さを簡易貫入試験機により測定した。さらに,樹種別に風倒被害の異なる要因を知るために,幹を側方に引き,根返りを発生させる際の最大抵抗モーメントを測定した。数量化2類による解析の結果,カラマツが最も被害を受けやすく,次いでヨーロッパトウヒ,シラカンバ,ヤチダモの順に風倒被害を受けにくくなった。胸高直径は30cmをピークに被害を受けやすかった。被害の種類については,カラマツとシラカンバは根返りしやすく,ヨーロッパトウヒは幹折れしやすかった。土壌の硬さは被害にあまり影響していなかった。根返り抵抗モーメントはヤチダモ>シラカンバ≒カラマツ≒ヨーロッパトウヒとなり,樹高や葉量の違いとともに,樹種別の風倒被害の違いを引き起こす要因となっていると考えられた。