著者
矢田 勉
出版者
神戸大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本年度も、昨年度以前に引き続き、近世文学研究書の原本調査作業を行った。国文学研究資料館や東京大学付属図書館等において、昨年度までの調査の遺漏を補う作業を継続するとともに、加えて新たに亀田鵬斎・清水浜臣・高橋残夢の三人の文学研究にかかわる著作に就いては特に集中的な調査を行った(高橋残夢については、岡山県立図書館・京都大学付属図書館を中心に調査を行った)。その結果、特に高橋残夢の文学研究に就いては、音義説との関連から、あらためて国語意識史・文学研究史の上に正確に定位する必要があること、特にこれまでの定家仮名遣い派と歴史的仮名遣い派の二派の対立軸から捉えられてきた近世の仮名遣い研究史のあり方について、「音義仮名遣い」とでも言うべき領域を加えて、より多角的に記述しなおす必要があるという知見を得た。その問題については現在論文の準備中である。また、これまでに得られた近世の文学研究に関する基礎的データは、随筆等の非研究書における文字に関する記述の集積も含めて、データーベース化を進めており、公開を目指して今後、整備を継続する予定である。更に、文字に関する思索が研究の形式を採る以前の時代の文字意識史に関する研究も継続的に行い、今年度は、近年、文字研究市場で特別な位置を与えられてきた藤原定家の文字意識について、その書き残した書記資料から実証的に再検討した論として「定家の表記再考」を、また、更に平安時代におけるより一般的な文字意識のあり方を文字教育の実態という方面から検討した論として「平安後・末期における初歩的な書字教育のあり方について」を、それぞれ公にすることを得た。
著者
矢田部 達郎
出版者
京都大学
雑誌
京都大學文學部研究紀要 (ISSN:04529774)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.71-167, 1954-03-30

第一部「綜括的自己診断検査の作製」においてはKiblerの自己診断表から出発し,数次のGP分析を経て,50項目からなる性格診断検査を作製した。これを矢田部Kibler向性検査と名づける。この検査の特徴は各項目が殆んど完全な内的整合性を有し,従つて安心して綜合得点を算出しうるところにある。第二部「特性別自己診断検査の作製」においてはGuilford-MartinのInventoryから出発し,数次のGP分析を経て,各尺度が殆んど完全な内的整合性を有する二つのInventoryを構成した。一つは16特性を各25問の尺度項目によつて測定するものであるが,項目間に重複のあるもので,これを矢田部Guilford性格検査第一型式と名づける。二つは13特性を各12問の尺度項目によつで測定するのであるが,項目間に重複のないもので,これを同じくその第二型式と名づけることにした。第三部「矢田部Guilford性格検査の因子分析的研究」においては,上述の第二型式を200名の京大生に施行した結果から,その因子構造を分析した。一次因子は8個抽出されたが,それらはThurstoneの因子と極めて近親的であつた。ただしかれのImpulsiveに相当するものは明瞭でなく,その社交性は二つに分離された。S^1(D^1).社会的内向性E^1(E^1).情緒安定性M^1(V^1).男子性A^1(A^1).活動性T^1(R^1).思索性F^1(S_1^1).社交性第一(Frustratedness)?(S_2^1).社交性第二(Aggressiveness)(X_1^1)(I^1)この因子の獨立性は疑わしい第二次因子は4個抽出された。A^2.情緒安定性B^2.現実性C^2活動性D^2.社交性これらはBaehrの二次因子A^2,B^2,C^2に対応するが,D^2はBaehrには対応者なく,むしろThurstoneの一次因子社交性に近い。第二次因子間の相関はすべて完全相関を示した。その意味は未だ明らかでない。
著者
矢田 勉
出版者
神戸大学
雑誌
文化學年報 (ISSN:02868105)
巻号頁・発行日
no.24, pp.1-17, 2005-02