著者
矢部 孝
出版者
一般社団法人日本物理学会
雑誌
日本物理學會誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.18-25, 1992-01-05
被引用文献数
4

数値流体と言うととかくテクニックの必要な難しいものとの認識を持っている人が多い. ここでは, 一般的な双曲型の方程式 (所謂, 移流項を含む方程式) の数値解法の, ある方面から見た歴史と, これを簡単に精度良く行う最近の手法を, 肩の凝らないように解説する. また特性線, 誤差 (振幅及び位相) 解析, 通信でよく用いられる標本化定理とエリアジング (エイリアンと同じ語源) など, 一つの手法を色々な視点から複眼的に眺める. 最後に, 現在全く独立に発展してきて, お互いに協調できなくなりつつある非圧縮性流体と圧縮性流体の計算手法を, 一つの手法で統一的に記述する可能性とその実例について紹介する.
著者
矢部 孝
出版者
一般社団法人 レーザー学会
雑誌
レーザー研究 (ISSN:03870200)
巻号頁・発行日
vol.38, no.3, pp.176-179, 2010-03-15 (Released:2015-08-08)
参考文献数
7

Securing energy storing media is an essential factor for utilizing solar power that needs to be leveled out
著者
矢部 孝
出版者
社団法人プラズマ・核融合学会
雑誌
プラズマ・核融合学会誌 (ISSN:09187928)
巻号頁・発行日
vol.83, no.6, pp.578-582, 2007-06-25

再生可能な燃料を用いたエネルギーサイクルを提案する.マグネシウムをエネルギー貯蔵媒体とし,水との反応でそのエネルギーを取り出す.反応生成物である酸化マグネシウムは,太陽光を直接レーザーに変換したレーザーによって元のマグネシウムに還元される.これにより,定常的でない太陽光を貯蔵することができる.レーザーによる還元効率42.5%を実現し,太陽光励起レーザーもスロープ効率14%を達成し,実用化が見えてきた.20年後に深刻となる水問題の解決法についても述べる.
著者
田村 博宣 高木 愼 矢部 孝 樋口 満 柳田 可奈子 中川 豪晴
出版者
一般財団法人 日本小児歯科学会
雑誌
小児歯科学雑誌 (ISSN:05831199)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.520-525, 2010-09-25 (Released:2015-03-12)
参考文献数
15
被引用文献数
1

含歯性嚢胞は,歯牙交換期に好発する歯原性嚢胞であり,下顎小臼歯,下顎智歯によく発生する。これまで,本嚢胞の研究では臨床統計学的研究や病理組織学的な検討がなされることが多く,含歯性嚢胞内に埋伏する歯牙に関して,萌出後の長期経過および長期予後についての報告はほとんどみあたらない。本症例は初診時において,嚢胞の大きさ,含まれる埋伏歯の深さ,埋伏歯の角度,埋伏歯の近遠心的位置のいずれにおいても深刻な状態であったが,これに対し,速やかに嚢胞を摘出し処置後10 年間の長期経過を見たところ良好な治療結果を得ることができた。これにより,含歯性嚢胞内に存在する埋伏歯は,できるだけ早期に摘出することができれば,嚢胞の大きさ,埋伏歯の深さに関わらず自然萌出が期待できることが示唆された。このことは今後の含歯性嚢胞に対する処置の参考に成りうるものであり,小児歯科臨床にとって意義のある症例であると考えたため報告することとした。
著者
青木 尊之 吉田 正典 奥村 晴彦 矢部 孝 塙 雅典 野澤 恵
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2000

昨年度導入した20台のプレイステーション2 Linux kitで、並列の数値流体シミュレーションを行った。非圧縮性流体の場合、大量のネットワーク通信を伴うポアソン方程式の解法が最も大きな課題となる。並列化が容易なSOR法で2次中心差分法による離散化式と、局所補間微分オペレータ法による4次精度の離散化式を解いた。Linux kitに付属するGNUのコンパイラは、プレイステーション2のCPUであるEmotion Engine(EE)の高速化アーキテクチャを利用する最適化が行えず、インライン・アセンブラにより直接EEのベクトル・レジスタVU0を利用することにした。ベクトル・レジスタVU0を4並列で効率よく実行する必要があるが、メモリーからデータをロードするのに時間がかかり、その間はVU0が休んでしまう結果となった。これを回避するために、VU0の演算スケジュールを工夫し、データのロード・ストアを含めて450MFlopsの計算速度を達成した。プレイステーション2が高速のRAMBUSメモリーを用いているために、CPUキャッシュに入りきらないデータに対するアクセスに対しても余り速度が低下しないことが明らかになった。EEのもう一つの問題点として指摘されている「VU0が単精度演算しか行えないこと」を解決する必要がある。倍精度計算に対しては浮動小数点演算プロセッサが働かなくなり、計算速度は100分の一以下に低下してしまう。単精度計算で直接従属変数からポアソン方程式を計算すると桁落ちが生じてしまうので、残差から修正方程式を導出し修正量を求めて従属変数に加算・減算して修正する方法を開発した。修正方程式を解く際に桁落ちなどの誤差が入るが、反復ごとに修正値が小さな値に移行し、従属変数の精度範囲をまかなえることが明らかになった。非圧縮性流体の移流部分や圧縮性流体に対しては局所補間微分オペレータ法が少ないメモリーに対して高精度な計算を行うことができ、プレイステーション2に適していることが分かった。また、ルンゲクッタ時間積分を行うことにより安定な計算ができることが明らかになった。