著者
石原 正仁 田畑 明
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.43, no.4, pp.215-226, 1996-04-30
参考文献数
24
被引用文献数
3

対流雲の雲底付近に発生するダウンバーストは, 地上の人や建物などに被害を与えるだけでなく, 離陸や着陸の態勢にある航空機に大きな影響を及ぼす. こうしたダウンバーストの発生を予測する因子として, レーダーエコーの強い部分 (降水コア) が上空から地上に向かって降下する現象が以前から指摘されていた. 今回, この予測因子の有効性を実測データをもとに検討した. 1987年9月7日, 千葉県佐倉市付近に発生した対流雲を2台のドップラーレーダーを用いて観測したところ, その雲底下に小規模なダウンバーストが認められた. ほぼ7分間隔で得られた反射強度の鉛直分布を見ると, ダウンバーストが地上付近に出現する約20分前に, 高度3.5 km 付近に降水コアが現れた. その後降水コアは6 ms^<-1>の速度で降下し, ダウンバーストの発生とほほ同時刻に地上付近に達した. こうした現象は, 1987年7月25日の羽田空港付近に発生した大型の対流雲においても確認された. これらのことから, レーダーによって対流雲内の反射強度の鉛直分布を連続的に観測し, 降水コアの降下を自動検出することで, ダウンバーストの発生をある程度予測できる可能性のあることが分かった.
著者
飯田 幸彦 泉沢 直 石原 正敏
出版者
日本作物学会
雑誌
日本作物学会関東支部会報 (ISSN:13416359)
巻号頁・発行日
no.2, pp.43-44, 1987-12-01

昭和62年4月1日、14日の寒波の襲来により場内の気温が氷点下に低下したため、麦類の幼穂及び出穂直前の穂が凍死した。そこで、場内の麦類について、早晩性の違いによる品種間差や収量への影響について調査した。
著者
石原 正仁 藤吉 康志 新井 健一郎 吉本 直弘 小西 啓之
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.56, no.9, pp.727-742, 2009-09-30

1998年8月7日にメソスケール降雨帯が大阪湾上を南下し,その中で特に発達した積乱雲が関西国際空港(「関西空港」という)に近づいた.同空港において低層ウィンドシアーを監視している空港気象ドップラーレーダー(DRAW)は,この積乱雲が同空港に到達するまでの間にマイクロバーストを延べ24回自動検出した.このとき低層ウィンドシアーに関する共同調査を実施中であった関西航空地方気象台と北海道大学低温科学研究所は,この積乱雲を対象としてDRAWと同研究所の可搬型ドップラーレーダーによるデュアル観測を行った.この積乱雲は少なくとも4つのマイクロバースト(MB)を,7〜9分間隔で発生させていたことがわかった.このうちの2つのMBについて,その振舞いと内部・周辺の風の3次元分布を詳細に解析した.2つめのMBについては,DRAWの自動検出では水平距離4kmで17m/sの風の水平シアーが測定され,デュアル解析によると高度3kmで7m/sの下降流,及び高度500mで14m/sの水平風が形成されていた.またMB 3が到達した関西空港では21m/sの瞬間風速が記録された.これらのことから,DRAWの自動検出はMBの位置,形状,風の水平シアーの強さを精度よく算出していることがわかった.同時に,MBの非軸対称性が水平シアーの測定に誤差を生じさせる可能性のあることも分かった.MBの微細構造として,1つめのMBにともなう地上付近の発散流は非軸対称的な分布を示し,MBの移動方向の右前方に強く吹き出していた.このMBにともなう発散流の先端のガストフロントでは上昇流が作られ,その上昇流によって上空に形成された降水コアが着地するとともに,2つめのMBが発生した.MBの生成には,降水粒子の蒸発による下降流内の空気の冷却,及び落下する降水粒子が空気を引きずり下ろす力の両者が作用していたと推測された.航空機がこのMBに進入した場合,飛行経路に沿った風の水平シアーにともなう揚力減少の効果は,下降流が航空機を直接降下させる効果より2.7倍以上であったと見積もられた.
著者
石井 譲治 小川 保 内藤 健晴 宮田 昌 石原 正健 馬場 錬 妹尾 淑郎 岩田 重信 横山 尚樹
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.46, no.12, pp.1251-1257, 1997
被引用文献数
3

スギ花粉主要抗原の一つであるCry j Iをラット腹腔内注射にて感作し, さらにCry j Iを点鼻, その6時間後の鼻腔, 喉頭, 気管粘膜に浸潤している好酸球およびリンパ球を観察し比較検討した。ラットはBrown Norwayのオス13匹を用いた。5匹をコントロール群, 8匹にCry j I 10μgとアルミニウムゲル4.5mgを0.4ml蒸留水に溶解し, 12日の間隔をあけ2回腹腔内注射を行った。血清Cry j I特異IgE 抗体価はIgE-capture ELISA法にて測定した。鼻粘膜, 喉頭, 気管はCry j I溶液点鼻6時間後に採取した。血清Cry j I特異IgE抗体価は感作群307.1±185.3任意U/ml, コントロール群0.0±0.0任意U/mlで感作群において有意の上昇 (p<0.01) を認めた。浸潤細胞について鼻粘膜では好酸球 (p<0.01), リンパ球 (p<0.05) ともに感作群に有意に多く浸潤していた。喉頭では感作群で好酸球浸潤が有意に多かった (p<0.01) が, リンパ球は両群で有意差は見られなかった。気管では両群とも好酸球, リンパ球ともにほとんど見られなかった。Cry j I腹腔感作ラットは鼻腔及び喉頭においてアレルギー性病変を起し得るものと考えた。