著者
榊原 均 石原 正仁 柳沢 善次
出版者
公益社団法人 日本気象学会
雑誌
気象集誌. 第2輯
巻号頁・発行日
vol.63, no.5, pp.901-922, 1985
被引用文献数
11

1981年10月22~23日に台風8124号内の日本中部(~36&deg;N/140E)に大雨が起きた。この大雨を主にドップラーレーダーのデータを使って調べた。本研究の主な目的はそれが台風のらせん状降雨帯なのか,それとも他の型の降水系なのかを知ることである。<br>台風は長波の谷の南東部にあり,温帯低気圧に変りつつあった。この大雨は台風中心の北側にある幅の広い雲の帯の南東端で起きた。ドップラーレーダーで観測されたこの大雨の構造で最も顕著な特徴は南東側下層から北西側上層に傾いた強風軸である。これは傾いた中規模上昇流を意味する。傾いた上昇流の軸より下では対流規模の垂直運動が中規模上昇流の中に含まれていた。傾いた上昇流の軸より上では対流規模の垂直運動はほとんど存在しなかった。この大雨の南部では中層の空気が北西側から侵入した。この侵入した空気は降水粒子の蒸発により冷却し,中規模下降流を形成したと思われる。この大雨には顕著な地上収束線が伴っていたが,南部を除き大雨への効果は二次的なものであった。この大雨の構造は台風のらせん状降雨帯,眼の壁雲および中緯度スコールラインとそれぞれ少しずつ似ていた。しかしながら,この構造は温帯低気圧に変化しつつある台風の北側に発生する大雨に特徴的なものと考えられる。<br>大雨の中での降水粒子の生成と輸送の相対的重要性を調べるために,降水粒子の中規模水収支解析の結果とその解釈も示される。
著者
井上 桂輔 中村 悠真 箱守 正樹 豊田 和典 尾形 朋之 石原 正一郎 小川 晋一 神津 文子 高橋 将
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.70, no.1, pp.53-61, 2021 (Released:2021-06-30)
参考文献数
14

COVID-19に対する理学療法における具体的な評価方法や運動療法を示した報告はない。感染対策を踏まえた運動機能評価に基づき,隔離中から早期に理学療法介入をした経験を報告する。COVID-19による隔離中に転倒及び筋力低下を呈し,理学療法を実施した4症例に,身体接触が少なく,簡便に実施でき,かつ筋力及びバランス能力を反映する運動機能評価を実施した。その結果から運動療法プログラムを作成および他職種と連携して運動療法を行った。早期に自宅退院した1例を除き,3例は急性期病棟転帰時までに運動機能及び日常生活動作能力の改善が見られたが,回復期病棟で継続的なリハビリテーションが必要であった。尚,担当した理学療法士に感染徴候はなかった。COVID-19による隔離中の患者に対して,感染対策を踏まえた運動機能評価及び運動療法を実施する事は,運動機能の改善及び早期から回復期病棟への入院の必要性について他職種との情報共有が可能であり,有効であったと考える。
著者
石原 正仁
出版者
一般社団法人 日本風工学会
雑誌
日本風工学会誌 (ISSN:09121935)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.322-328, 2009-07-31 (Released:2011-03-31)
参考文献数
12
著者
石原 正治
出版者
一般社団法人 日本循環器学会
雑誌
循環器専門医 (ISSN:09189599)
巻号頁・発行日
vol.27, pp.128-133, 2018 (Released:2019-07-20)
参考文献数
15
著者
前島 伸一郎 大沢 愛子 山根 文孝 栗田 浩樹 石原 正一郎 佐藤 章 棚橋 紀夫
出版者
一般社団法人 日本脳卒中学会
雑誌
脳卒中 (ISSN:09120726)
巻号頁・発行日
vol.33, no.1, pp.98-105, 2011-01-25 (Released:2011-01-26)
参考文献数
25
被引用文献数
2

【目的】小脳出血急性期の臨床像と機能予後や転帰に及ぼす要因について検討した.【対象と方法】小脳出血45名(男性28,女性17)を対象に,初回評価時の神経症状に加え,嘔気・眩暈などの自覚症状,認知機能,嚥下機能,血腫量と退院時の日常生活活動,転帰先について検討した.なお,入院期間は平均24.6日であった.【結果】意識障害は11名に認めたが,いずれも血腫量が大きく,機能予後が不良で,自宅退院に至ったものはなかった.意識障害のない34名中,嘔気・眩暈を22名,四肢失調を19名,体幹失調を16名,嚥下障害を19名,構音障害を8名,認知機能障害を24名に認めた.自宅退院は12名で,日常生活活動が良好であると同時に認知機能と嚥下機能が保たれていた.【結語】急性期病院において,小脳出血の退院先を決定する要因には,意識障害や日常生活活動だけでなく,認知機能や嚥下機能も念頭におく必要がある.
著者
石原 正
出版者
公益社団法人 計測自動制御学会
雑誌
計測と制御 (ISSN:04534662)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.382-389, 1994-05-10 (Released:2009-11-26)
参考文献数
30
著者
石原 正博
出版者
日本イギリス哲学会
雑誌
イギリス哲学研究 (ISSN:03877450)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.69-81, 1999

<p>Harriet Taylor and J. S. Mill, in the late 1840's and early 1850's, just before and after their marriage, wrote a series of articles on injustice and cruelty, revealing their growing concern over the effects of male violence and authority sanctioned by law. Their intention was to drive legislators and judges to regard violence as a serious crime deserving severe punishment. My analytical approaches are based upon thoughts in their "joint productions"; sometimes Mill comments, "Very little of this article was mine". This paper aims to shed light on Harriet Taylor's ideas and the formative process of Mill's thoughts.</p>
著者
香川 英介 井上 一郎 河越 卓司 石原 正治 嶋谷 祐二 栗栖 智 中間 泰晴 丸橋 達也 臺 和興 松下 純一 池永 寛樹
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.41, no.SUPPL.3, pp.S3_155-S3_158, 2009 (Released:2015-01-23)
参考文献数
6

背景 : 心肺停止患者に対し低体温療法を行うことで社会復帰率が上昇することが報告されている.  目的 : 良好な社会復帰 (FR) 可能な心停止時間について検討した.  方法 : 2003年から2008年に低体温療法を行った80人 (HT-group) と, 2007年4月から2008年5月までの院外心肺停止患者で, 自己心拍は再開したが低体温療法は行われなかった174人 (NT-group) を対象とした. 心停止時間は心肺停止から自己心拍の再開もしくは体外循環の開始までの時間と定義した.  結果 : FRはHT-groupで30人, NT-groupで20人であった. FRにおいてはHT-goupの方がより若年であった. FRに関して心停止から心拍再開もしくは体外循環の開始までの時間は独立した予後因子であった (OR 1.07, 95%CI 1.02-1.13, p<0.01). FRにおける心停止時間は低体温療法を行ったもので有意に短かった (26±15 vs 12± 5分, p<0.01).  結語 : 低体温療法により良好な社会復帰に許容される心停止時間は延長する.
著者
岩並 恵一 石原 正隆 坪田 有史 小林 和弘 松山 喜昭 小久保 裕司 福島 俊士
出版者
社団法人日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科學會雜誌 (ISSN:03895386)
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.109-113, 1995-02-01
被引用文献数
17 1

日常の臨床における支台築造方法や築造材料の種類について,1977年(昭和52年)と1986年(昭和61年)に実施した調査報告に続く第3報である.特にレジン築造を含む成形材料による築造の頻度に注目したが,前回の28%から8%に減少していた.大学附属病院での調査であるため特殊な環境におけるものとの解釈もあろうが,意外の感は否めない.その他,鋳造体としての銀合金の使用頻度の減少や,合着用セメントとしてのリン酸亜鉛セメントの激減などのデータも得られている.
著者
王 鋒 佐川 貢一 石原 正 猪岡 光
出版者
The Institute of Electrical Engineers of Japan
雑誌
電気学会論文誌. D, 産業応用部門誌 = The transactions of the Institute of Electrical Engineers of Japan. D, A publication of Industry Applications Society (ISSN:09136339)
巻号頁・発行日
vol.122, no.7, pp.730-735, 2002-07-01
被引用文献数
9 11 5

This paper describes the development of a driver assistance system for improving passenger ride comfort of automobiles. Based on results of psychophysical experiments of subjective ride comfort evaluation, a linear multiple regression model that evaluates the ride discomfort index (RDI) is proposed using longitudinal acceleration and jerk of the automobile as explanatory variables. In order to reduce the ride discomfort caused by the velocity fluctuation of an automobile, a microcomputer-based driver assistance system that evaluates the RDI and informs the driver of the RDI in real time by both visual and auditory means is developed. Experiments show that, with the help of the system, a driver can improve his/her driving skills and modify his/her driving behavior to provide passenger-friendly maneuvers and improve passenger ride comfort, thus verify the usefulness of the proposed driver assistance system.
著者
石原 正恵 今西 亜友美 阪口 翔太 福澤 加里部 向 昌宏 吉岡 崇仁
出版者
京都大学大学院農学研究科附属演習林
雑誌
森林研究 = Forest research, Kyoto (ISSN:13444174)
巻号頁・発行日
no.78, pp.39-56, 2012-09

近年,日本各地でシカの採食による草地の植生改変が生じている。芦生研究林長治谷作業小屋の開地ではススキを主とする草本群落が見られたが,2007年以降シカの採食により衰退した。防鹿柵によるススキ群落の種多様性および現存量の回復過程を把握するため,柵設置1~3年後に柵内外で植生調査および刈り取り調査を行った。柵設置1年後から柵内は柵外に比べ種多様性が高く,機能形質を元に種を分類した機能群の多様性も高くなり,種組成にも明瞭な違いが見られた。調査地近辺で2003年に見られなくなったと報告されていた種を含む77種が柵内で見られた。群落高,植被率および現存量も2年後には一般的なススキ草地と同程度まで増加した。このようにススキ群落の多様性と現存量が早期に回復したのは,ススキ群落の衰退直後に柵を設置したためと考えられた。柵内では背丈の高いススキ,オカトラノオや小高木・低木種が優占し,一部の背丈の低い分枝型広葉草本は競争排除され,高木種の定着も見られなかったため,今後もしばらくはススキ群落が続き,多様性が低下すると予想された。柵外では不嗜好性のイグサと分枝型一年生広葉草本のトキンソウの被度が増加し,植生の単純化が進行した。