著者
遠藤 由香 石川 匡子
出版者
日本海水学会
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.105-110, 2015 (Released:2016-09-26)
参考文献数
10

にがりを構成する無機塩と塩の味質の関係について官能評価と味覚センサにより検討した.官能評価の結果,塩化ナトリウム0.8 %溶液に,塩化カリウム,硫酸ナトリウムを0.08 %添加した際,味の識別が可能であり,添加濃度の増加とともに味が濃く感じられた.一方,硫酸マグネシウムは0.04 %,塩化マグネシウムは0.16 %添加した際,識別可能であり,添加濃度の増加とともに味が薄く感じられると同時に,苦味も感じられた.味覚センサ測定では,硫酸マグネシウム,塩化マグネシウムのみ,苦味の応答パターンが他の溶液と異なっていた.以上の結果から,にがり成分によって,塩の味質に与える影響が異なると考えられる.
著者
石川 匡子 築舘 亜由美
出版者
日本海水学会
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.67, no.6, pp.340-344, 2013 (Released:2014-09-17)
参考文献数
7

塩の結晶粒径が,調理加工に及ぼす影響を明らかにするため,ダイコンをモデルに,粒径が異なる塩を振りかけた際の塩化物イオン濃度,物性値,味の変化について検討した.塩化物イオン濃度は,塩を振りかけてから15分までの短時間では,結晶粒径の影響が確認できたが,30分以上の長時間では,粒径の違いによる差は小さかった.物性値では粒径の違いによる差は認められなかったが,味の変化では,振り掛けてから短時間では塩味の強さ,漬物としての好ましさ共に識別可能であった.以上の結果から,塩を振りかけてから短時間の調理では,塩の粒径の違いによる影響はあるが,長時間になると影響は小さいことが示唆された.
著者
石川 匡子 内田 詩乃 佐藤 春香 伊藤 俊彦 渡辺 隆幸
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成27年度大会(一社)日本調理科学会
巻号頁・発行日
pp.105, 2015 (Released:2015-08-24)

【目的】生活習慣病のため,減塩が推奨されており,おいしさを損なわない減塩には,うま味や風味の付与が有効だと言われている。日本の伝統調味料である魚醤はその両方を有しており,減塩に効果があるのではないかと考えた。しかし魚醤は魚種や製造法により,その特性は多種多様である。本研究では市販魚醤の成分分析,官能評価を行い,減塩に対する魚醤の効果について検討した。 【方法】市販魚醤33種を用い,塩分,アミノ酸,有機酸、グルコース測定を行った。香りをSD法により評価した。有機酸及びアミノ酸組成に特徴的な5種類の魚醤を塩分濃度0.8%に調整し,一対比較法にて官能評価を行った。また,醤油ベースのお吸い物と魚醤を添加したものを2点比較法にて評価し,調理への利用についても検討した。 【結果】各魚醤の製法は,魚介類と塩のみを原料としたもの,これらに麹や酵素を加えたものの2種に大別された。魚介類と塩のみで製造された魚醤の塩分濃度は,25%以上と高かった。一方麹や酵素を添加した魚醤は20%未満と低かった。アミノ酸はいずれの魚醤もAsp,Glu,Gly,Ala,Leu,Lysが多く含まれていたが,麹添加魚醤のGlu量はわずかに少ない傾向がみられた。グルコース濃度は麹添加魚醤で高かった。香りは魚介類と食塩のみで製造したものは,製品毎に独特の香りが感じられたが,麹添加魚醤は麹由来の甘い香りであった。官能評価の結果、GluやAlaが多い魚醤はうま味や甘味が強く,乳酸が多い魚醤は酸味が強く感じられた。一方,乳酸量が多くてもGluやAlaが多い魚醤では酸味が弱く感じられた。うま味や甘味が強い魚醤はお吸い物に添加した場合,好ましく感じられる傾向にあり,魚醤の添加量を工夫することで,減塩調味料として料理への利用が期待できる。
著者
石川 匡子 内田 詩乃 佐藤 春香 伊藤 俊彦 渡辺 隆幸
出版者
日本海水学会
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.70, no.5, pp.308-316, 2016 (Released:2017-09-27)
参考文献数
30
被引用文献数
2

市販魚醤を用い,品質ならびに呈味評価を行った.魚介類と食塩のみで製造する場合は,魚介類自体のタンパク質の自己消化のみで分解するため,長期熟成が必要であり,微生物繁殖抑制のため塩分濃度が高めに設定されていたが,遊離アミノ酸総量やグルタミン酸量も多いという特徴があった.魚介類に食塩と麹を添加する方法では,短期熟成が可能であり,塩分濃度が低く,麹により甘くクセが抑えられた香りという特徴があった.魚種や製法の違いは,アミノ酸量や有機酸量にも反映された.特に,グルタミン酸,アラニン,乳酸量は魚醤のうま味や甘味,酸味の強さとなって現れた.これらの味質は,お吸い物に用いた際に,まろやかさや好ましさに影響しており,魚醤の味質に合わせた最適添加量を求める必要性が示唆された.
著者
山崎 桃子 石川 匡子 塚本 研一
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017

【目的】おいしさを損なわない減塩にはうま味や風味の付与が有効だと言われているが、魚醤はその両方を有しており、減塩による味の物足りなさを補うことが期待できる。そこで本研究では、魚醤を利用した新規減塩調味料の可能性について検討した。<br />【方法】食塩水(0.234、0.584、1.0%)にグルタミン酸(以下Glu)[0.015%(検知閾値相当)、0.03%(認知閾値相当)、0.08%(認知閾値以上)]、アラニン(以下Ala)[0.0825%(検知閾値相当)、0.1%(認知閾値相当)、0.3%(認知閾値以上)]をそれぞれ添加した水溶液を調製し、二点比較法にて塩味強度の官能評価を行った。また、塩分濃度1.0%に希釈した市販魚醤にAlaを添加し、塩味強度を評価した。この際、食品に用いた際の減塩効果を検討するため、イノシン酸(以下IMP)を添加したお吸い物として呈示した。<br />【結果】食塩水にGlu、Alaをそれぞれ添加した結果、いずれのアミノ酸も認知閾値以上の添加で塩味増強が確認できた。Gluを添加した食塩水にAlaを加え、アミノ酸の相乗効果による塩味増強を評価した結果、Alaを認知閾値以上添加した際に塩味増強が表れ、GluとAlaの混合比が2:1の際に最も効果が高かった。魚醤にIMPを添加したお吸い物を作製し評価した結果、GluとAlaの比が1:8の際、塩味増強が高かった。この際、うま味と甘味の強度が同程度となり、魚醤希釈液よりも香りや苦味が抑えられ、より味強度が増した。また、魚醤希釈液の塩分濃度をさらに低下させてもAlaにより味の物足りなさを補うことができ、減塩効果が期待できることが分かった。以上より、魚醤を用いた減塩調味料の開発が可能であることが示唆された。