著者
遠藤 由香 石川 匡子
出版者
日本海水学会
雑誌
日本海水学会誌 (ISSN:03694550)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.105-110, 2015 (Released:2016-09-26)
参考文献数
10

にがりを構成する無機塩と塩の味質の関係について官能評価と味覚センサにより検討した.官能評価の結果,塩化ナトリウム0.8 %溶液に,塩化カリウム,硫酸ナトリウムを0.08 %添加した際,味の識別が可能であり,添加濃度の増加とともに味が濃く感じられた.一方,硫酸マグネシウムは0.04 %,塩化マグネシウムは0.16 %添加した際,識別可能であり,添加濃度の増加とともに味が薄く感じられると同時に,苦味も感じられた.味覚センサ測定では,硫酸マグネシウム,塩化マグネシウムのみ,苦味の応答パターンが他の溶液と異なっていた.以上の結果から,にがり成分によって,塩の味質に与える影響が異なると考えられる.
著者
遠藤 由香 庄司 知隆 福土 審
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

過敏性腸症候群(IBS)は代表的な思春期心身症である。成人IBSでは幼児期の虐待などのトラウマが発症リスクの一つと報告されているが、思春期IBSでは発症要因の解明は不十分である。そこで本調査では宮城県内の中学校で疫学調査を施行し、東日本大震災のトラウマ的体験がIBS発症率を増加させ、その影響は年余におよぶという仮説を検証する。疫学調査を施行すべく県教育委員会や養護教諭会に調査協力を依頼したが、教育現場では未だ混乱が続いており、協力を得がたい状況であった。そこで海外の疫学調査専門家と討議を重ね、調査法の変更や規模の縮小をして再度協力を依頼したが、最終的に調査を断念せざるを得なかった。
著者
町田 貴胤 町田 知美 佐藤 康弘 田村 太作 庄司 知隆 遠藤 由香 福土 審
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.56, no.11, pp.1134-1139, 2016 (Released:2016-11-01)
参考文献数
9

副腎皮質機能低下症は食欲不振, 悪心・嘔吐, 易疲労感など非特異的症状を呈することが多く, うつ病との鑑別が難しい. うつ病を疑われ心療内科に紹介され, 下垂体性副腎皮質機能低下症と判明した3例を報告する. 症例1 : 59歳男性 : 特に誘因なく悪心嘔吐が出現し体重が6カ月で18kg減少, 抑うつ気分や倦怠感がみられた. 一般血液検査, 内視鏡検査, 腹部CTにて異常なしとして紹介された. 低血糖・低ナトリウム血症のほか, cortisol 1.03μg/dl, ACTH<5.0pg/mlと低値, ACTH単独欠損症と判明した. 症例2 : 77歳男性 : 愛犬の死後に抑うつ気分や腰下肢痛が出現, 一般血液検査や腰部X線で異常なく紹介された. cortisol 4.21μg/dl, ACTH 5.7pg/mlと低値, 脳MRIでRathke囊胞を認め, 続発性副腎皮質機能低下症と診断した. 症例3 : 47歳男性 : 東日本大震災で被害を受け悪心嘔吐や倦怠感が出現, 抑うつ気分がみられ一般血液検査で異常なしとして紹介された. cortisol<0.8μg/dl, ACTH<2.0pg/mlと低値, 部分的下垂体機能低下症と甲状腺機能亢進症の合併と判明した. 心療内科において非特異的な身体症状や抑うつ気分を呈する患者には, 一般検査で異常がなくとも副腎皮質機能低下症とうつ病を早期に鑑別すべく副腎皮質機能検査が推奨される.
著者
福土 審 遠藤 由香 金澤 素
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.108, no.1, pp.46-54, 2019-01-10 (Released:2020-01-10)
参考文献数
20
被引用文献数
1

慢性便秘症においては,偏食,食事量のアンバランス,夜食,睡眠不足,運動不足ならびに心理社会的ストレスが症状の増悪因子であるため,これらの除去・調整を実施する.これらで不十分であれば,食事療法を基本とし,運動療法を加えるが,治療効果が確実なのは適切な薬物療法である.近年,使用可能となった2種類の上皮機能変容薬及び1種類の胆汁酸トランスポーター阻害薬の3種類の薬物は,それぞれ異なる分子を標的としており,エビデンスレベルも高い.それぞれの特性を知り,便秘患者の診療に役立てることが望まれる.
著者
町田 知美 町田 貴胤 田村 太作 遠藤 由香 福土 審
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.56, no.5, pp.460-466, 2016 (Released:2016-05-01)
参考文献数
10

14歳, 女児. 11歳から不登校傾向, 対人恐怖が顕在化しA病院精神科に通院開始した. 中学入学頃から食事量も減りはじめやせ願望も明らかになった. 14歳 (中学2年生) になると30kgまで体重が減少したため神経性やせ症 (摂食制限型) と診断され当科に入院した. 入院時は身長149cm, 体重26.6kg, BMI 12.0. 初めは経口摂取カロリーは1日500kcal以下でほとんど体重は増加しなかったが, コミュニケーション能力の低さと対人恐怖のために心療内科的介入は困難だった. 内科的治療を主体とせざるを得なかったが, 行動観察の中で食行動に自閉症的な独特のこだわりがあることがわかった. これを生かした食事の工夫を試みたことで摂取カロリーを1,400kcalまで増やすことができ, 体重は33.5kgに達して退院した. 自閉症スペクトラム合併症例での治療では, 患者特有の特徴を理解したうえで独自の工夫が必要である.
著者
野崎 あさみ 遠藤 由香 松尾 良子 三石 淳之 塚本 健二 Reva Ivan 高野 智洋 岩尾 泰久 樋口 渉 西山 晃史 山本 達男
出版者
新潟医学会
雑誌
新潟医学会雑誌 (ISSN:00290440)
巻号頁・発行日
vol.125, no.12, pp.686-690, 2011-12

平成17年度から山本正治医学部長 (当時) の支援のもと, 日露学生交流を従来の直流から交流に変えるべく, 学生の訪ロ計画を再開した. 内山聖医学部長 (当時) のもとではレベルアップとchangeに取り組み, 高橋姿医学部長のもとでは最大規模の日露ワークショップを開催した. 活動の基本方針 (キーワード) は強い信念と最低限の費用. この方向性のもとで, 学生交流については部活の趣を前面にだし, 学生は学生目線でロシアを見つめてきた. 活動6年間の軌跡をまとめた.
著者
遠藤 由香
出版者
一般社団法人 日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.50, no.8, pp.733-740, 2010
参考文献数
27

目的:思春期過敏性腸症候群(IBS)の疫学的特徴を明らかにする.方法および対象:中学3年生にアンケート調査を施行した.質問紙にはRIIMQ,SIBSQ,GSES,SF-36v2を用い,さらに睡眠やストレスなど生活に関する質問を付加した.結果:男子106名(12.7%),女子145名(16.3%)がIBSと診断された.全員IBSの治療歴はなく,有症状率に地域差はなかった.IBSの腹部症状に大きな男女差はなく,ストレスによる症状増悪は女子に多かった(p<0.05).IBS群は対照群に比して,睡眠障害,ストレスやトラウマ(各p<0.01)をより多く訴えた.IBS群では,女子のほうが男子よりストレス,トラウマを多く訴えた(各p<0.05).IBS群は対照群よりGSESとSF-36v2の全下位尺度で得点が低かった(各p<0.01).結論:思春期IBSでは性差の面で成人とは異なる傾向が認められた.