著者
石丸 進 石村 真一
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.1-10, 2004-09-30 (Released:2017-07-19)
参考文献数
25

本研究は,わが国の室内・家具と中国家具文化とのかかわりを,坐臥具を中心に比較・検証した。その結果,次のことが明らかとなった。(1)中国坐臥具の床(牀ともかく)は寝台であり,日本の「床の間」「床几」「床子」などの語源や形態に影響した。(2)「榻」は,日本の縁台や店棚形式の坐具と類似する。(3)中国北方の寝床「?」での起居様式は日本と同じ床坐であった。?で使用する「?卓」は、日本の「座卓」の原型であった。(4)?の起源は,古代中国の俎を原型とし,小?子は,日本の踏台や風呂腰掛けと同一構造・形態であった。(5)条?は,日本の床几と構造・形態で一致し,使用法も類似していた。
著者
石村 真一 平野 聖
出版者
九州大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2006

本研究の対象は、電気扇風機、テレビの2機種とする。電気扇風機に関しては、明治期から昭和40年代初頭までの文献史料、特許及び意匠権資料調査、日本国内及びヨーロッパのフィールド調査、テレビに関しては、松下電器産業株式会社の社史編纂室等の社内資料を通して調査した結果、次の内容が明らかになった。(1)電気扇風機の開発と発達日本の電気扇風機は、従来主張されてきた芝浦製作所が第1号を製作したのではなく、別の小規模の会社が先に開発したことが、明治10年代の新聞広告より確認された。明治末期あたりから芝浦製作所が量産体制に入るが、モーターは輸入品であった。大正中期になると三菱等の他のメーカーも電機扇風機の開発に乗り出し、海外のメーカーと提携してモーターの国産化を進めていく。大正後期にはレンタルの電気扇風機も出現し、国産電機扇風機の割合が増加する。それでも海外からの輸入品の方が多かった。昭和初期からガードの意匠権申請が多くなり、戦後までこの傾向が続く。電気扇風機のカラー化は戦後間もない時期から始まり、昭和20年代後期には定番化する。昭和30年代前半には高さの調節できる機能が加わり、電気扇風機の基本的な機能はこの時代に確立される。(2)テレビの開発と発達日本のテレビは昭和20年代後半に開発され、当初はブラウン管を輸入して17インチから出発した。また全体の形態は台置き型であった。ところが、昭和30年代前半には、4本脚型で国産のブラウン管を使用した14インチのテレビが主流になる。昭和30年代中葉には、カラーテレビも開発される。しかし、高価であったため、昭和30年代後半になっても普及しなかった。昭和40年あたりからコンソールタイプの家具調テレビが開発され、昭秘40年中葉には和風のネーミングと共に、カラーテレビとして広く普及した。
著者
石村 真一 平田 由紀子
出版者
日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
vol.46, pp.286-287, 1999

In the lumber processing industry, the first priority is to secure the lumber resources to be supplied uninterruptedly. This study aims at using satoyama-rin(countryside coppices) not utilized so far as materials for lumber processing. We have tried to develop wooden saving boxes modeling a barrel using konara (small Japanese oaks) and kunugi (a kind of oaks) most common in countryside coppices. As a result we found that satoyama-rin can be utilized if processed products are small by paying due attention to drying, cutting and painting of wood. It is necessary to protection of resources for the utilization of satoyama-rin simultaneously, for which we are preparing materials.
著者
宮木 慧子 石村 真一
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.51, no.3, pp.55-64, 2004-09-30 (Released:2017-07-19)
参考文献数
16

日本において,昭和40年代まで陶磁器の流通包装には,ワラ包装が行われていた。本研究は,有田・伊万里をはじめ東アジアにおいて広域調査を実施し,各窯業地の諸形態を明らかにして,日本のワラ包装形態を造形の視点から比較考察する。(1)日本の包装形態は,陶磁器の形状から大型器種と小型器種に対応する2系統8種のワラ包装タイプに類型化される。大型器種に対しては衝撃に強い「太織巻き」,小型器種には円筒形の「ワラ包み」が主に行われており,産地ごとに微妙に意匠の異なるものの,同一産地においては,それぞれ特色あるワラ包装技術を共有していた。(2)各産地における包装形態と意匠の独自性は,保護機能の他に産地識別のための情報機能をも果たしていた。(3)陶磁器包装の伝播は窯業技術の伝播と深い関連が窺える。江戸前期,景徳鎮の包装技術が有田にもたらされており,高品位の磁器創出を目指していた有田の美意識と日本のワラ文化の成熟が優れた意匠のワラ包装技術を確立したと考えられる。
著者
石村 真一
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.43, no.5, pp.37-46, 1997-01-31

木材資源の枯渇化が心配される今日において, 木材を極めて有効に使用した桶・樽の造形文化が再考されることは, 木と人の共生という先進文明社会が直面している問題の解決につながる糸口になると思われる。本論はその第1報として, 我が国における桶の成立時期と初期形態について考察した。その結果次のような内容が明らかになった。従来桶と推定されていた容器の多くは, 縦方向に補強を施した曲物であった可能性が高い。我が国における桶の初見資料は『北野天神縁起弘安本』と推定される。桶は中国から伝来し, 少なくとも鎌倉中期以前に製作技術が成立している。そして畿内においては鎌倉後期に特権階級の間で普及した。桶の初期形態は, 白木で加飾性の少ないタイプであったことが確認された。
著者
石村 真一 林原 泰子
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

戦後の映画930本を対象とし、家庭用電化製品である電気炊飯器、電気洗濯機、電気冷蔵庫、テレビ、食卓を事例に生活の変化について考察した。その結果、家電製品の普及する1950年代は、食卓も含め、伝統的な床坐による生活が未だ定着している。 1960年代になると椅子坐の生活様式が増加する傾向を示す。しかしながら、1980年代後半から、洋室床坐という新たな生活様式が出現し、若い世代に普及する。
著者
宮木 慧子 石村 真一
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.48, no.4, pp.147-156, 2001-11-30
被引用文献数
1

本論は、有田(伊万里)焼のワラ荷造りにおける「輪巻き」と「菰包み(小口切り)」の特色ある形態に関する造形要素について考察することを目的とする。絵画資料および現地調査によって得られたワラ荷造りの造形要素等を考察した結果、次の結論を得た。(1)「菰包み」・円筒形俵タイプは、日本の伝統的包装技術である俵、苞、菰、縄の技術文化の発展とみられる。形態については、海上輸送を主体とする衝撃に強い小型陶磁器専用包装として発展してきた。(2)精緻な「輪巻き」は、造形要素である太縄(ドグラワ)の格別な意匠に特徴がある。意匠の独自性は、大型陶磁器を対象として、遠距離海上輸送における保護機能を最優先して発展した可能性が強い。さらに、調査の結果、輪巻きタイプの成立は、陶磁器包装にみる樽掛け縄の事例や、輪巻きの呼称が示すように、近世、酒の海上輸送用容器として発展した酒樽の〓の意匠や、樽の梱包文化との連関が類推される。
著者
石村 真一
出版者
九州大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
2008

家庭電化製品の普及については、1950年代後半より内閣府によって調査が行われて統計化されている。しかし、それは家庭における使用率を単に示しただけで、具体的な使用場面について言及しているわけでもない。また、家電製品の技術革新について触れているわけでもない。本研究においては、戦後に製作された映画の家電製品に関する使用場面を通して、技術革新をどのように生活者が受容したかを探ることを主たる目的としている。使用したVHS、DVDの映画は400本程度である。特に、洗濯機、扇風機、テレビといった大衆の必需品となっている製品を中心に、映画の中から使用場面を摘出した。こうした使用場面を時系列に整理し、使用場面の増減について統計処理を行った。次に、過去の文献史料、フィールド調査等で得た日本の家電史のデータと比較し、技術革新と製品の形態、製品の変化生活での対応という点を考察した。その結果、電気洗濯機は自動化が進み、乾燥まで含めた完全自動化を生活者も望んでいることが読み取れた。扇風機は脚の短い台置き型から、脚の長さを可変するタイプに一部移行するが、それほど大きな変化がないと読み取れた。テレビについては、技術革新が最も顕著に見られ、ブラウン管の変化から液晶、プラズマと変化する中で、テレビの形態も大きく変化している。しかしながら、居間にて家族がテレビを観るという家族での行為は、現在も継承され、一種のコミュニケーションの場になっている。すなわちテレビも含め、家庭用電化製品の技術革新は、常にユーザーの受容があって、成り立っているということになる。映画の場面は、著作権の問題があり、論文を紙媒体で扱う場合は、著作権法32条の引用で対応可能ですが、電子ジャーナル化には許諾が必要になります。この許諾には高額な費用がかかることから、現状では電子ジャーナルへの掲載は極めて難しいようです。