著者
林原 泰子
出版者
一般社団法人 日本デザイン学会
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集 日本デザイン学会 第54回研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.B05, 2007 (Released:2007-06-09)

本報告では,史料調査により戦後の「Solar」ラインナップを明らかとし,戦前・戦後を通した「Solar」シリーズの変遷について考察を行うことを目的とする。 戦後の「Solar」ラインナップとして,納入型,K型,F型,FW型,P型を確認した。戦前の形状を継承した納入型はF型,FW型,簡素化されたK型はP型へと発展しており,新規のデザインや技術を取り入れながら積極的に改良が重ねられていった様子が認められる。 1953(昭和28)年頃には,20社以上の国内企業が電気洗濯機の製造を行っており,その半数以上が撹拌式を手掛けていた。これら撹拌式の製造にあたり,外国機と共に「Solar」が参照されたことは間違いないと考えられる。「Solar」は,戦前より特許や実用新案の取得を含めた積極的な製品展開を行っていた。更に,戦後のFW型,P型においては意匠面についてもいち早く注意が向けられるなど,戦前戦後を通して日本の家庭用電気洗濯機市場を牽引する存在であったといえよう。
著者
林原 泰子 石村 真一
出版者
日本デザイン学会
雑誌
デザイン学研究 (ISSN:09108173)
巻号頁・発行日
vol.54, no.1, pp.31-40, 2007

初期国産機「Solar」に関し, 文献史料を中心に調査研究を行った結果, 以下について明らかとした。1)「Solar」は, 1932(昭和7)年に成立した国産初の縦型撹拌式洗濯機である。製造元は芝浦製作所であり, 東京電気により全国販売が行われた。2)「Solar」は, アメリカからの技術導入により成立した。原型機は, 1928(昭和3)年頃, 東京電気により輸入・販売されたThor Appliance Company製の撹拌式「Thor」である。3)「Solar」は戦前だけで, A型, B型, C型, D型, E型のラインナップを持つ。国内で開発された新規の技術を取り入れながら, 改良が重ねられていた。4)1937(昭和12)年頃には, 「Solar」に対する認知は一部で広がっており, この時期に, 現在にも続く洗濯機=(イコール)縦型のイメージが創出されたといえる。
著者
林原 泰子 石村 眞一
出版者
Japanese Society for the Science of Design
雑誌
日本デザイン学会研究発表大会概要集
巻号頁・発行日
pp.D11, 2004 (Released:2005-06-15)

日本における国産第1号家庭用電気洗濯機は,1930(昭和5)年に株式会社芝浦製作所の製造した攪拌式洗濯機「Solar」であるとされている。しかしながらこれは誤った認識であり,実際にはそれ以前に円筒式洗濯機が国産されている。この誤った認識は1977(昭和52)年の『東芝百年史』に起因するものであると考えられる。 「Solar」以前の輸入機を含む洗濯機は非常に高価であり,取り扱い企業もこれらの価格の引き下げ、つまり販売に対し積極的ではなかった。当時,家庭用電気洗濯機は産業としてさほど重要視されていなかったと考えられる。そのような状況下で、大企業の資本を背景に「Solar」は高価でありながらも生産が継続され,その結果,「Solar」の認知度は高まり,国産第1号機との誤った認識が生まれたと推測される。
著者
石村 真一 林原 泰子
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

戦後の映画930本を対象とし、家庭用電化製品である電気炊飯器、電気洗濯機、電気冷蔵庫、テレビ、食卓を事例に生活の変化について考察した。その結果、家電製品の普及する1950年代は、食卓も含め、伝統的な床坐による生活が未だ定着している。 1960年代になると椅子坐の生活様式が増加する傾向を示す。しかしながら、1980年代後半から、洋室床坐という新たな生活様式が出現し、若い世代に普及する。
著者
鈴木 秀和 森崎 巧- 渡邊 香 林原 泰子 西 仁司
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
知能と情報
巻号頁・発行日
vol.24, pp.1012-1022, 2012

本研究では,動物型4脚歩行ロボットAIBOの歩行動作に焦点を当て,ロボットセラピーにおける複合動作に対する印象評価を行う.一般的なAIBOの歩行動作と著者らが提案してきた生成法を用いた“動物らしい”歩容の印象比較実験により,著者らが生成した歩容が人に親近感を抱かせていることを確認する.さらに,3つの複合動作を用いた印象評価実験により,各動作における印象の顕著な相違と,部位動作と印象の関係性を示し,人の感性に影響を及ぼす複合動作生成の具体的な指針を報告する.