著者
石橋 源次 石松 成子
出版者
九州女子大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1992

目的:イシクラゲは地表に自生する。新しいタンパク質源,食物繊維源として有望な藍藻類である。食用として利用することを目的とし,調理科学的性質を知ることと,イシクラゲ食物繊維の血中コレステロール低下作用とそのメカニズム及び血液ー肝臓系の脂質代謝に及ぼす影響について調べた。方法:イシクラゲと比較するために,同じ種類である川茸を実験材料として用いた。調理科学的性質を検討するために,粘度,吸水量,色調について測定した。一方,動脈硬化食にイシクラゲ,川茸を5%添加及びイシクラゲより抽出したペクチン様成分(1.65%),NDF(0.93%),ADF(0.2%)を含む飼料で3週間飼育した後,血清,肝臓及び糞中の脂質濃度を測定した。結果:イシクラゲは血清・肝臓コレステロールなどの脂質代謝を改善させることができたが,川茸にはそのような効果は認められなかった。この有効成分を食物繊維と考え、イシクラゲのペクチン様成分,NDFを与えるといずれも血清・肝臓コレステロールを低下させた。特に、HDL-コレステロールがイシクラゲ及び食物繊維添加で高濃度となった。しかし,トリグリセライドとリン脂質濃度は変化がなかった。一方、ADF部分を添加した飼料では,血清コレステロールが上昇した。この理由は,排せつされる胆汁酸量がイシクラゲの食物繊維を与えることにより,多くなっていることによると考えられる。イシクラゲの粘度は,ペクチン・川茸のおおよそ1/2で,吸水量は24時間で150%となった。結論:イシクラゲに血清中及び肝臓コレステロール濃度を低下させる機能があり,イシクラゲの広い利用は栄養改善に有益であり,将来,他の藍藻類の研究に役立つと考える。
著者
石松 成子
出版者
公益社団法人 日本栄養・食糧学会
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.227-233, 1988 (Released:2010-03-01)
参考文献数
13
被引用文献数
2 2 2

1985年北九州地区の食事調査の結果から成人男女6名の3日間の日常食を分析試料としてニッケル含有量を測定した。また料理の原材料となった食品39品目とさらに米は九州各県・山口県各地から71種収集して測定した。この分析値から1日のニッケル摂取量を推定した。得られた結果はつぎのとおりである。1) 主食である米中のニッケル含有量の分布は対数正規分布を示し, 算術平均22μg/100g, 幾何平均14μg/100gで試料間に差がみられた。2) 大多数の食品中のニッケル含有量は10.0μg/100g以下であったが, ある種の食品たとえば大豆・しょうゆ・米・ほうれん草・キャベツはニッケル含有量が高かった。全体的に植物性食品が動物性食品よりニッケルの含有が高値であった。3) 1人1日当たりのニッケル摂取量は, 男280±90μg, 女190±40μgであった。4) 1日に摂取するニッケル量のうち, 主食である米からの摂取が30%, 米以外の植物性食品から65%, 動物性食品から5%の割合であった。
著者
石松 成子 石橋 源次
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.45, no.8, pp.719-722, 1994-08-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
10

イシクラゲを調理の食材料として利用することを目的として, 川茸と比較しその特性を調べた.イシクラゲの特性として吸水性がよいことで, これは保存食料としての一つの特色とみることができる.また, 主成分は食物繊維であり, このほか各種ミネラル類やタンパク質の含有量も多く, このような食品は, 健康を志向する人々への新しい食品素材すなわち健康食品として, また医療用食品としての開発も可能である.一方, 食糧不足を救う新しい食糧として注目されている, 藍藻類のスピルリナについて, その食品素材として応用が試みられるなど, 藍藻類はこれから期待できる食品素材であると考えられる.
著者
石松 成子 石橋 源次
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.45, no.8, pp.719-722, 1994

イシクラゲを調理の食材料として利用することを目的として, 川茸と比較しその特性を調べた.イシクラゲの特性として吸水性がよいことで, これは保存食料としての一つの特色とみることができる.また, 主成分は食物繊維であり, このほか各種ミネラル類やタンパク質の含有量も多く, このような食品は, 健康を志向する人々への新しい食品素材すなわち健康食品として, また医療用食品としての開発も可能である.<BR>一方, 食糧不足を救う新しい食糧として注目されている, 藍藻類のスピルリナについて, その食品素材として応用が試みられるなど, 藍藻類はこれから期待できる食品素材であると考えられる.