著者
石澤 恵美子 坂本 恵
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.18, pp.167, 2006

【目的】女性の社会進出と核家族化により食の外部化が進み、家庭の味や食文化の伝承が難しくなっている。現代の食環境で成長してきた若者たちが、どのような料理を受け継ぎ、次世代へ伝えたいと考えているのかを目的として、大学生を対象に調査を行ったので報告する。<br>【方法】調査対象者は本学管理栄養士課程の1年生118名とし、平成18年4月から5月に実施した。内容は次世代に伝えたい料理2品を選び料理を作成し、材料・調理方法・出来上がりの盛り付け図(写真可)を提出してもらい、併せて作成時の様子や料理する時に大切なことなどについて自由に記入してもらった。<br>【結果】作成した料理では、肉じゃが8.5%、ハンバーグ3.8%、餃子3.0%、オムライス3.0%、ロールキャベツ2.1%の順であった。また、特徴としてエスカロップ、くるみ餅、ほうろく焼きなどの地域性に富んだ料理も作られていた。調理するときに指導を受けながら作ったの回答は72.0%であった。指導は母親から受けたが64.4%と圧倒的に多く、次いで祖母5.1%、父3.4%の順であった。指導を受けながら一緒に調理をしたのは35.6%、しなかったの回答は33.1%であった。一緒に調理をしなかった者は、TVで見たのを自分流にアレンジした、電話で指導を受けた、料理本を参考にした等の回答が多かった。今回作成した時に一番大変だったことについては、味の再現(味付け)、材料・調味料の計量、じゃがいもの皮剥き等が多かった。調理する時に大切なことは、食べる側のことを考えて作る、衛生面に気をつける、心を込め丁寧に作るの回答が多かった。料理を作成した感想は、母が簡単に作っている味と同じにするのは難しいと思った。母と一緒に料理ができて楽しかった。大変ではあったが、少しでも母の味を覚えられてよかったなどであった。