著者
伊木 亜子 菊地 和美 田中 ゆかり 土屋 律子 木下 教子 坂本 恵 佐藤 恵 菅原 久美子 畑井 朝子 藤本 真奈美 宮崎 早花 村上 知子 山口 敦子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.29, 2017

【目的】日本調理科学会特別研究(平成24~25年度「次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理」)の資料とすることを目的として,昭和30~40年頃までに北海道に定着した家庭・郷土料理に関する書誌情報の調査および聞き書き調査を実施した。これらの調査から得られたおやつ・間食について,主材料や調理操作を分析し地域性を検討したので報告する。<br />【方法】調査は,北海道を道央・道南・道北・道東の4地域に区分し,平成25年4月~26年12月に実施した。<br />【結果】北海道全域で特産のじゃがいもを使った「いも団子」「いも餅」が多く,調理法や食べ方も多様である。また各地にデンプン工場があったため,「でんぷん焼き」や煮豆を加えた「でんぷん団子」もみられる。かぼちゃも各地でつくられ,「かぼちゃ団子」など利用が多い。穀類の利用も各地にみられるが,道南には特に古くから伝わる伝統の菓子が多く,米粉を利用した「こうれん」や「べこ餅」がある。その他では,雑穀のそば・キビなども,まんじゅうや餅に利用されている。全般的に,いもやかぼちゃ・豆類などの農産物,穀類の利用が多く,調理法は,煮る・蒸す・焼くなどが多い。<br />また北海道らしく,干した鱈・鮭(トバ)・かすべ・鰊・数の子など海産物が道北海岸やその他内陸においてもおやつになっている。自家栽培の果物ばかりでなく自生していた桑・野イチゴ・こくわ,胆振地方特産のハスカップも生や加工して利用している。牛乳を用いたおやつは,酪農が盛んな帯広を中心とする道東で,自家製の「牛乳豆腐」や「ヨーグルト」などあるが他での利用は少なく,酪農品を早くからとりいれた札幌で若干みられる。以上より,北海道のおやつ・間食は,各地の産物をうまく利用した地域性があることを確認した。
著者
土屋 律子 坂本 恵 鐘ヶ江 あゆ美 菊地 和美 木下 教子 坂本 佳菜子 佐藤 恵 菅原 久美子 田中 ゆかり 庭 亜子 畑井 朝子 藤本 真奈美 宮崎 早花 村上 知子 村田 まり子 山口 敦子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.26, 2014

【目的】日本調理科学会特別研究(平成24~25年度)「次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理」の先行研究・資料とすることを目的に昭和30~40年頃までに北海道に定着してきた家庭・郷土料理に関する書誌情報を収集した。地域を道央、道南、道北、道東に分け、北海道のみの記載、地域の特定のないものは、「北海道」としてまとめた。今回は、これらの資料に記載されている料理の地域性、主材料、調理操作について検討したので報告する。【方法】書誌収集は、平成25年3月~12月に実施した。収集された資料は62冊、料理数は1066件であった。料理の主材料を日本食品標準成分表2010年に基づき分類、調理操作は調理方法の記載、および明らかに推定できる操作を加え分類し検討した。【結果】料理数は、道東が多く全体の30.2%(322件)、道南23.5%、道央13.3%、道北10.2%であった。「北海道」は242件で、地域の記載がない28件を含めた。主材料を見ると、魚介類が37.9%と魚種、調理法も多く、中では鮭、鰊、いかの利用が多い。鯨、ごっこ、サメの利用もみられた。次いで野菜類(14.6%)、穀類(13.4%)、いも類(12.6%)と北海道の特産物の利用が多い。地域別では道南、道央は魚介類、道北は野菜類、道東はいも、野菜類の利用が多い。穀類は道央(29.6%)が多く道南、道北と続き、道東は6.4%と少ない。調理操作では、「煮る」が31.4%と最も多く、次いで「漬ける」(18.0%)、「焼く」(10.9%)、「和える」(7.2%)の順であった。「煮る」では、鰊の三平汁、鮭の石狩鍋、「漬ける」では、鰊、ほっけの飯ずし、いかの粕漬け、松前漬けなど、「焼く」では、いか焼きやいももち、ジンギスカンなどがあげられていた。地元の食材を多種多様に調理・加工し、利用している様子を窺い知ることができた。
著者
曽我部 夏子 丸山 里枝子 中村 房子 土屋 律子 井上 美津子 五関-曽根 正江
出版者
日本公衆衛生学会
雑誌
日本公衆衛生雑誌 (ISSN:05461766)
巻号頁・発行日
vol.57, no.8, pp.641-648, 2010 (Released:2014-06-12)
参考文献数
14
被引用文献数
1

目的 乳幼児期の栄養摂取は,個々の子どもの成長•発達段階に合わせて適切に対応することが大切である。そこで,今回,乳幼児期の食生活状況について,乳歯萌出状況と調理形態•調理方法などとの関連について検討を行った。方法 東京都 K 区保健所および各保健センターにおいて,1 歳 2 か月児歯科健診を受診した455人に,歯科医師による歯科健診と保護者への自記式調査票を用いて,離乳食の開始時期,離乳食の進行の目安,現在の食事の調理形態などについて調査を行った。記入漏れがあった18人および在胎期間が36週未満の出生児17人を除く420人を解析対象とした。結果 離乳食の開始時期は,生後 5, 6 か月齢頃が81.4%と最も多く,離乳の進め方の目安は,「月齢」と回答した者が最も多かった(71.2%)。乳歯萌出状況により,前歯上下 8 本(乳中切歯 4 本と乳側切歯 4 本)が生え揃っていない段階(ステージI:27.4%),前歯上下 8 本が全て生え揃っているが奥歯(第一乳臼歯)がまだ生え揃っていない段階(ステージII:61.9%),奥歯(第一乳臼歯)が上下 4 本すべて生え揃っている段階(ステージIII:10.7%)の 3 段階に分類した。「おかずの固さの目安」は,ステージI,II,IIIすべてにおいて「歯ぐきでかみつぶせる」がそれぞれ53.5%, 54.4%, 40.0%と最も多かったが,まだ第一乳臼歯 4 本が生え揃っていないステージI,IIにおいて,「奥歯でかみつぶせる」と回答した者が,それぞれ14.0%, 15.1%も認められた。さらに,「大人と同じ固さ」と答えた割合が,ステージI,II,IIIで,それぞれ7.0%, 9.7%, 24.4%であった。また,調理の味付け(塩味,しょうゆ味)については,「大人と同じ」と答えた割合がステージI,II,IIIで,それぞれ13.2%, 17.3%, 22.2%であった。結論 今回の調査結果により,乳歯萌出状況は個人差が大きく,個々の口腔の発達段階•咀嚼機能を把握せずに,調理形態•調理方法が進められていることが推察され,今後の食育支援の必要性が示された。
著者
菊地 和美 菅原 久美子 木下 教子 酒向 史代 坂本 恵 高橋 セツ子 土屋 律子 芳賀 みづえ 藤本 真奈美 村上 知子 村田 まり子 山口 敦子 山塙 圭子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.24, 2012

【目的】年中行事や通過儀礼を行うハレの日には、食事も日常とは区別され、各家庭や地域で独自の習慣がみられている。食生活が多様化する中、地域における年中行事や伝統食を大切にし、次の世代への継承にむけた取り組みが推進されるようになってきた。そこで、本研究は北海道の行事食と儀礼食について、親子間(学生とその親)からみた認知状況や摂食状況などの実態把握を行い、地域性を明らかにすることを目的として検討した。【方法】調査は日本調理科学会特別研究(平成21~23年度)に基づき、北海道に居住する親181名と子181名(計362名)を対象として、調査時期は平成21年12月~22年8月に実施した。データは単純集計および親子間によってクロス集計を行い、χ2検定により分析した。【結果】親子間で認知・経験が一致する回答は、行事食が74.0%、儀礼食は49.8%であった。行事食と儀礼食を認知している割合は親が子よりも多く、親子間で有意差がみられたのは盂蘭盆、お七夜、百日祝い、初誕生、厄払いであった(p<0.01)。行事食と儀礼食の経験がある割合も親が子よりも多く、有意差がみられたのは春分の日、端午の節句、盂蘭盆、土用の丑、お月見、秋分の日、出産祝い、お七夜、百日祝い、初誕生、成人式、結納、婚礼、厄払い、長寿であった(p<0.01)。北海道の正月料理のうち、親子間で「現在、家庭で作る」という回答が一致していたのは、たこ刺身が7組(親子間一致なし12組)、くじら汁が2組(親子間一致なし3組)、いずしが2組(親子間一致なし2組)であった。今後はさらに、北海道における特徴的な行事食・儀礼食の親子間による伝承を検討する必要性が示唆された。