- 著者
-
石田 雅樹
- 雑誌
- 宮城教育大学紀要
- 巻号頁・発行日
- vol.47, pp.27-36, 2012
本稿はハンナ・アーレントの政治理論をシティズンシップ教育論の視点から検証したものである。アーレントが能動的市民の政治参加を強調しながらも、シティズンシップ教育の可能性に至らなかったのはなぜなのか。この疑問に対して、本稿はアーレントとバーナード・クリックの政治理論とを比較し考察を行った。アーレントもクリックもともに能動的市民の政治的意義を認めながらも、前者はシティズンシップ教育に消極的であるのに対して、後者はそれを強く推進した。本稿は、この両者の相違が「政治」と「市民」の認識の隔たりに由来することを論証した上で、両者の隔たりの中にシティズンシップ教育のジレンマがあることを明らかにした。